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PLAY!高架下 広場開発秘話

2024年7月6日にオープンした石神井公園-大泉学園駅間高架下の広場について、設計を担当した建築家の武田清明さん、同地域にお住まいのライター 赤井恒平さん、PLAY!高架下プロジェクトを担当する㈱西武リアルティソリューションズの渡井の3名で、広場の開発秘話を石神井公園にある武田さんの素敵な事務所からお届けします。

建築家/武田清明(たけだ きよあき)
株式会社武田清明建築設計事務所 代表
2007年イーストロンドン大学大学院修了。08~18年隈研吾建築都市設計事務所勤務、同事務所設計室長歴任。18年現事務所設立。日本女子大学、神奈川大学非常勤講師。

石神井公園エリアの好きなところ
三宝寺池に生息するいろいろな鳥たちの鳴き声が好きです。ちょっとほっとしたいとき、散歩に出かけ、耳を澄ませると、東京にいることを忘れるほど贅沢な体験ができます。都市と自然の二つの環境を行ったり来たり、気軽にモードチェンジできる石神井公園エリアは住んでいて最高です。

ライター/赤井 恒平(あかい こうへい)
リクルートメディアコミュニケーションズで情報誌の制作ディレクターとして勤務。その後、ライター・フォトグラファーとして独立。埼玉県飯能市を拠点に株式会社Akinaiを立ち上げ、空き物件活用・メディア運営など地域活性にも携わる。

石神井公園エリアの好きなところ
農家さんが多いので新鮮な野菜が買えたり、子どもと農業体験ができるところです。

PLAY!高架下担当/渡井(わたい)
株式会社西武リアルティソリューションズ 都市開発事業部
西武線沿線で、エリアの価値向上を目指したまちづくりに携わる。

石神井公園エリアの好きなところ
「井のいち」をはじめとする、エリアの魅力たっぷりな、洗練されたイベントがたくさんあるところが素敵です!


赤井 本日は武田さんの事務所にお邪魔していますが、こちら武田さんが設計された空間なんですよね。とても素敵な場所です!

武田 ありがとうございます(笑)

赤井 模型もご用意いただきありがとうございます。

渡井 まず、わたしからPLAY!高架下プロジェクトについてお話させていただきます。現在、西武池袋線の石神井公園駅と大泉学園駅間の高架下約1kmは使われていない状態となっています。

このプロジェクトは、この1km区間の活用を目指していますが、地域の方の暮らしの中で憩いとなるようなパブリックスペースを先行して整備し、まずはこの高架下を知ってもらおう!というのが今回の計画です。

赤井 パブリックスペースというと公園みたいなイメージでしょうか。

渡井 そうですね。ただ過ごすだけではなく、地域の事業者、住民の方が中心となってその場に賑わいを生むような広場をつくりたいと思っています。
例えば、地域の方が企画したマルシェとか、お店を始めたい方や起業したい方がチャレンジできるようなイベントなども開催していければと思っています。

今までも実験的に「PLAY!高架下」というイベントを高架下で開催しまして、多い時は1,900人ものお客さまに来ていただいたりと手応えは感じています。地域の方からは、「イベントを継続して開催してほしい」「自分もこの高架下を使って何かやってみたい」などのお声をいただき、今後もこの高架下で様々な活動が生まれることを願い、常設の広場空間をつくろうと計画しました。

赤井 おお、高架下の可能性を感じますね!普通の公園よりも自由度が高そうでワクワクします。その広場のデザインを武田さんが手掛けたのですね。どんな空間になるのでしょうか?

武田 「高架下を地域にひらく」というお話を聞いた時、とてもいいなぁと思ったんです。そこで考えたデザインのコンセプトは「コミュニティを育む」「自然の力を使って豊かな環境をつくる」としました。

コミュニティに関してはすでに「PLAY!高架下」という動きがあるので、その運営母体をベースにより日常に向けて高架下をひらいていければと考えました。
具体的なデザインとしては、道と広場のあいだに植え込みなどで境界をつくらないようにし、道の延長のように見えるように空間をつなげています。また、歩道に対して斜め45度の線をつくることで歩いている人が自然に入ってこられるようにしました。

赤井 そこがデザインの力ですね。「自然の力を使って豊かな環境をつくる」の方はどういった工夫をされているのでしょう。

武田 通常、公園の植栽って「誰かが管理している」ものですよね。

この広場では住民の方と一緒に楽しみながら植栽を育てていけるようにしていきたいなと思っています。例えば、ちょっとしたスペースにハーブを植えてみたり、子どもたちがポンプで遊ぶと植栽に水が行き渡ったり、「ここを耕して畑にしてみようか」なんて人が出てきても面白いかなと(笑)。

「自然」をきっかけにして日常的にこの場所へ来てくれたら嬉しいですね。

赤井 確かに、広場に自分が植えた木や花があったら「ちゃんと育ってるかな」と様子を見に行ってしまいそうです。
ちなみに広場にあるテーブルやイスはパレットですか?

渡井 そうなんです。以前展示会で使ったパレットを再利用しています。他にも、閉園した『としまえん』の伐採木を使ったベンチもあるんです。同じ練馬区の大切な文化を新しい形で引き継いでいます!

赤井 廃棄してしまうものを活用しているんですね。

渡井 パレットは組み方次第でイスやテーブル、舞台としても使えます。開催するイベントに合わせて活用していただければと思っています。
   
武田 キッチンカーエリアも作るので、買ったものを広場で食べられますよ。

赤井 想像するだけで楽しそう!練馬区の日常が豊かになりそうです。


【事務局より】
2022年3月のイベントから始まったこの「PLAY!高架下」プロジェクトですが、地域の皆さまと一緒に、ついに「広場」としてひとつかたちにすることができました。今後も、この広場を通して様々な活動に取り組んでいきます!是非、広場に遊びに来てくださいね。

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