PLAYER'S INTERVIEW #05|中川 テルヒロ
こんにちは!「一緒になってワクワクし、世の中の問題に立ち向かう」プロトタイピングチーム・PLAYERSです。
チームメンバーとして活躍するひとりひとりへのインタビューを通じてPLAYERSの原動力となる個性を紹介する「PLAYER'S INTERVIEW」5人目は、理事メンバーのひとり中川テルヒロさんです。
「世界中の一人ひとりと、豊かさを分かち合い、みんなで幸せになる。」を個人理念に掲げる彼について深堀っていきます!
まず、これまでの経歴についてご紹介いただけますか︖
ソフトウェア開発の仕事を17年やってきました。いまは独立してフリーランスです。株式会社ミライロのユニバーサルマナー検定のパートナー講師もやっています。
でも実は、最初からソフトウェア開発をしていたわけではなかったんです。
僕は中途の視覚障害で、10歳のときから段々見えなくなって、24歳の時に障害者手帳を取得しました。これからは目が不自由なことを理解してもらえるところで仕事をしないといけない、と考えて、履歴書にもそう書いて就職活動をしました。
アルバイトとしてアンケート調査のデータ入力の仕事に採用され、徐々にリサーチャーとしても仕事をするようになったころ、「理学部出身ならプログラミングできるだろう」と同じ会社のソフトウェア開発部門に引き抜かれました。
偶然のようにソフトウェア開発のキャリアはスタートしましたが、今では、自分の得意なことと才能をうまく使えている、やりがいのある仕事だと思っています。
PLAYERSに加入したきっかけは︖
2017年11月にインクルーシブデザインのワークショップに参加した時に、たまたま(PLAYERSの)タキザワさんと同じグループになりました。さらにその2週間後に、僕が講師をしているユニバーサルマナー検定に、タキザワさんが参加されて。
そんな偶然が重なって、次第にPLAYERSの打ち合わせにもユーザーインタビューとして呼ばれるようになって、じゃあ一緒にやっていきましょうということになりました。2018年の2月のことです。
ユニバーサルマナー検定の講師をやってはいますが、もっと自分の視覚障害という側面を活かした社会貢献をしたい、と思っていたんです。
もともと街中の募金活動や、スーパーにある盲導犬の寄付ボックスにお金を入れたりみたいなことを積極的にやっていました。お金だけの関わりだけではなく、自分の身体をつかって貢献したいと思っても、一般のボランティア活動だと、僕個人では参加しづらい。例えばゴミを集めるような場に行っても、かえって主催者を困らせちゃう。ぼんやりとですが、自分にできる社会貢献の形を探していました。
PLAYERSでは具体的にどんなことをしているのですか︖
PLAYERSが企業と共創する際に、視覚障害の当事者としてフィードバックするなど、コンサルタント的な役割を担っています。直近だとスポーツメーカーのミズノの白杖(ミズノケーン)を共同企画しました。
またPLAYERSは、これまで様々な視覚障害者向けのプロジェクトを行っていましたが、感染症対策で対面のワークショップが難しくなり、新しくできることを考えました。
僕たち視覚障害者は、晴眼者から質問をされる機会が多いですが、逆はあまりありません。
視覚障害者側からも質問をすることでお互いに打ち解けることができ、新しい活動にもつながるのではないかと考え、生まれたのが「視覚障害者からの問いかけ」です。
これは、例えば「声かけをしたことはありますか?」「視覚障害者をどう思いますか?」など、視覚障害者から晴眼者へ問いかけることで対話を行うオンラインワークショップです。
参加する視覚障害者と健常者の双方が、新たな気付きや問いを持ち帰る機会を提供することを目的にしており、僕はそのファシリテーションをしています。
PLAYERSの活動から、どんな影響を受けていますか?
普段の生活にはない、色んな人と会ったりかかわったり、YouTubeやメディアイベントといった、公の場所に出ていくきっかけをもらえるのはうれしいですね。
必要とされている場所で、自分の役割を担うことができている実感があります。
「一緒になってワクワクし、世の中の問題に立ち向かう」というPLAYERSのスローガンのとおり、ワクワクが増えたと思います。
理事になって、PLAYERSの見え方は変わりましたか?
PLAYERSには誘われるがまま、活動内容もよく分からないまま入って、いつのまにか理事になっていました(笑)
たしかに当事者の僕がメンバーであることはPLAYERSの価値だと思いますが、僕という存在が世の中でもっと役立つ場所があって、そこで自分が必要とされているなら、頑張ってみたいと思ったんです。
やはり1つのグループ、コミュニティ、チームをまとめていったり、マネジメントしたりする経験から学べることは多い。時間とエネルギーが必要になりますが、失敗と成功の両方を味わいながら、確実にチームが一つにまとまっていく過程を体験させてもらえるのは、有難いです。
PLAYERSで印象に残っている活動は?
点字ブロックの「VIBLO by &HAND(ビブロバイアンドハンド)」かな。
プロモーション映像(下記)の撮影が印象的でした。家族も一緒に出演しましたし、スタジオをかりて、何日もかけてしっかりPLAYERSとして表に出るものをみんなで作っていく。そのプロセスを実際に体験したこと、そして自分という存在がなければこれが成り立たないんだ、と考えた時は、緊張感もあったけど楽しかったですね。
点字ブロックをスマートスピーカーやLINEと連携させ
視覚障害者の外出を「声」で支援する「VIBLO by &HAND」
PLAYERSで課題に感じていることはありますか?
メンバーのひとりひとりがPLAYERSに入ってよかったとか、活動をやっててよかったと感じられるチームでいられたらいいなと思っています。
足りていないこと、できていないことは運営上、もちろん色々あります。もっとお互いが思っていることを話す時間や、対面で会う機会などを増やしていきたいと考えていますが、家族でもチームでも会社でも、逆境や突然のネガティブイベントといった課題や過程があるからこそ、1つにまとまっていけるんじゃないかと思うんです。
何の問題もないチームは、その人がいる意味がないことになっちゃいますから。
今後どんなことをやっていきたいですか?
PLAYERSの活動では、ミズノケーンのように、企業と一緒に新しい商品の企画や開発をやっていきたいですね。初めての試みで大変な事も多かったですが、得た経験は大きかったから。
これまで僕は、社会貢献に熱心な会社と協働するのがいいと思っていたんですが、逆にこれまで取り組んできていない会社とやるほうが、大変だけどお互いに気づいたり、学びあえることが大きいのかもしれないと感じるようになりました。あえて困難なほうを選択する、というのはPLAYERSらしいのかもと思ったりします(笑)
また、PLAYERSでやるかどうかは分かりませんが、視覚障害者のコミュニティを運営する可能性もあります。
プライベートでは、ラジオやポッドキャストなど音声の配信をしてみたいですね。
「どういう場所からでも、幸せを選択して生きることができる」ということをテーマに、本も書きたいと思っているんです。
自分が視覚障害という状況の中で、本業もPLAYERSも家族も、楽しく生きているということを、世の中に役立つ形で発信できたらいいなと。
実は今日(インタビュー実施日)もたまたま大阪にいるんですが、1人で知らないところにいくのが楽しいんです。慣れない場所に行って、その場の人と偶然の出会いを楽しんでいます。自分の頭の中に地図がない場所を1人で歩くのは、いいストレスになっている。そういう時間が楽しいから、仕事と遊びと旅がセットになっていけたらいいなと思います。
未来のPLAYERSメンバーに対してメッセージをどうぞ
本業ではできない挑戦ができる場所です。この4年間、もしPLAYERSの活動がなかったら、僕の人生はもっと彩りが少なかったと思う。
「自分に何ができるか分からない」という人でも、毎週の定例会に参加しているうちに、やってみたいことが見つかるかもしれないし、こちらからのお願いもでてくると思います。
何か世の中のためにできるんじゃないかと思っている人は、ぜひチャレンジしてほしいですね。
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以上、理事メンバーでもある中川さんのインタビューをお届けしました。
視覚障害の当事者であるという個性を機会に変えながら、新しいチャレンジやアウトプットを続ける彼の姿はまさにPLAYERSの思い描くPLAYERS像そのものです。
もし、少しでも共感してくれた方がいらっしゃればこちらのフォームから気軽にご連絡もいただけると嬉しく思います!それでは、次回のPLAYER'S INTERVIEWでお会いしましょう!
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