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アメリカ留学から得たものは、バスケのスキル以上の、人間としての成長と当たり前ではないという経験だった。

最近は昔に比べ、日本人バスケ選手が聖地アメリカに留学することが増えてきていると思います。

代表的な人といえば、NBAでプレーする八村選手や渡邊選手の2人。私自身、高校までバスケ部に所属していたので、アメリカ留学に行くような選手は2人のような日本トップレベルの選手だけだと思っていました

しかし、セントジョセフカレッジに通う酒井達晶さんとアースフレンズ東京Z監督の東頭俊典さんの対談を聞き、それは単なる思い込みに過ぎなかったと気が付きました。

アメリカ留学で得られるものはバスケのスキルだけでは無い。

人間としての成長と、日本にいると気づけない「当たり前だと思っていたことが当たり前ではないということに気づく」という経験を得られるのです。

アメリカという地で言葉や身体能力のハンデに打ち勝つためには、行動することが何より重要。行動することで得られる経験が、バスケのスキル向上よりも大きな財産となるのです。

BASKETBALL DINERさん公式YouTubeにて、セントジョセフカレッジ所属の酒井達晶さん(@ta2basketball)と、Bリーグに所属するアースフレンズ東京Z監督の東頭俊典さん(@SeanTodo)の対談が行われました。今回特別に許可をいただき、その対談の様子をnote記事にしました。

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日本のバスケのために情報発信をする


酒井さんはコロナ期間中に、アメリカを目指す選手やスタッフに向けたセミナー「Get better now セミナー」に参加した。ここで主催者である東頭さんに初めて出会った。

セミナーの内容はとても濃く、戦術やコーチングなど、バスケについてたくさんのことを学ぶことができたという。さらに興味を強めた酒井さんは東頭さんについてもっと調べ、ある取材記事に行き着いた。

酒井さん「その記事で東頭さんが話していた『自分の得た情報を隠したり優位性を保つのではなくて、皆に共有することで日本全体のバスケのレベルを上げたい』という考えにとても共感したんです。それをきっかけにYouTubeやInstagramで情報発信を始めました。」

東頭さんはYouTubeなどで酒井さんの存在こそ知っていたものの、まさか自分が情報発信をしていくきっかけになっていたことは知らなかったようだ。

東頭さん「それは嬉しい、正直。いきなりYouTubeやTwitterに動画や名前が出てきて活躍しているからすごいなこの子と思っていたけど、情報発信に力を入れたきっかけが自分だったというのは嬉しい。」


大切なのは経歴ではない。行動することだ


多くの人はアメリカで日本人が活躍できるのか不安に感じていると思う。また、渡米する人は高校で全国大会に出たり、選ばれた一部の選手だと考えていると思う。私もそのような考えの1人だった。

しかし、渡米経験のある2人は意外にも「そうではない。みんな行ける。」と口を揃えて言った。

酒井さん「アメリカにはアメリカの文化や特徴があって、爆発的な能力やキャラは確かにあると思います。しかし、日本人には練習や勉強に対するまじめさという良さがあります。そういう姿勢がスタッフたちの信頼につながり、身体能力や体の大きさに関係なく試合に出ることが出来ると思います。なので練習中から細かいことに気を配って注意することが大事です。日本での経歴に関係なく、何よりも行動することが大切だと思います。」

酒井さん自身170㎝という小ささで最初は苦労していた。試合に出れず泣いたこともあった。しかし、できることに取り組み、努力を続けていた結果、試合に出るチャンスを掴んだ。現在はスタメンで活躍している。

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一方、東頭さんの経歴を見るととても華々しい。

アメリカの有名大学でコーチングを学び、日本代表コーチも経験、現在はプロチームで監督を務めている。誰もが東頭さんはエリート街道を歩んできたと思うだろう。

しかし、このような経験を持つ東頭さんだが、実は高校では全国大会に出た経験もなく、伝手もなくアメリカに渡り、なかなか試合に出れない経験をした。だが、東頭さんも行動し続けた結果、プロチームの監督へと至るまでになる。

東頭さん「酒井くんやその周りの選手たちはアメリカで活躍して、日本でも有名な選手ばかりだと思います。日本にいる多くの人は、日本で結果を残した選手でなければアメリカに行ってはいけないと思いがちなんです。しかしそんなことはない。誰もがアメリカに行けると思います。」

過去アメリカでプレーに挑戦した選手たちがまとめられているサイトを広げ、東頭さんは話を続ける。

東頭さん「これだけ渡米した人がいるんです。数え切れないほど多くて、日本で結果を残していない選手もたくさんいます。そう、アメリカに挑戦すること自体は難しくないんです。そしてこの中には、僕も含めてアメリカで活躍できなかった選手もたくさんいますが、多くの人はコーチや他の仕事で今もバスケに関わっているんです。」

思い込むのでなく、経験をする


東頭さんが海外に行くべきだと思う理由は、人間としても成長するということ、皆が当たり前だと思っていることが当たり前ではないということが体感できるからだという。

そしてアメリカに行く前と後では見えるものが変わってくるという。自身にあった経験を話した。

東頭さん「20歳で帰国した時に、一度も日本を出たことがない兄に『アメリカはこういうものだ』と意見され、怒られました。アメリカに行ったことないのに、と思いました。

やはり、みんな目に見える世界ですべてを知っていると思い込んでしまっていると思います。最近では日本にもいろいろな国の人がいるけど、いざ外に出て見ると日本の良さが本当にわかるし、自分が日本人だということを思い知らされるんです。」

アメリカに行く前と後では見える世界が大きく変わった。海外に出ることで、自身が日本人であることを再認識できたのだ。

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Life is unfair」。だからこそ努力して結果を出す


東頭さんの言葉で印象的だったのが「Life is unfair(人生も人間も、全てが平等なわけじゃない) 」という言葉だ。

渡米してまだ英語が話せなかったときに教わった最初のフレーズだと言う。

東頭さん”Life is unfair”というこの言葉が当時すごく腑に落ちました。自分は日本人で、アメリカ人とは元々の身体能力もバスケ文化も何もかもが違う。日本にいた時はみんな平等であるべきだと思っていたんです。しかし、アメリカで日本人というマイノリティーになってみて、みんな自分の現状を受け止めて割り切っているんだと初めて気づきました。

もちろん諦めてしまう人もいましたが、ハングリーな人はすごくハングリーにやっている”Life is unfair”だからこそ、それを理由に辞めるか結果をだせと言われたとその言葉を解釈しました。そういう意味で渡米してメンタルが変わったと思います。」

他人が選択しない決断をすることで、新しい世界が見える


対談の最後に、留学しようと思っている人たちに向けて東頭さんが言葉を残してくれた。

東頭さん「100人がいた時に、何人がそれをやるかを考えてほしい。100人いるときに99人が選ぶことをしていたら突出することはできず、夢をつかむことできないと思います。100人に1人、1000人に1人、他人が選択しないことを選んで欲しいし、それを怖がらないで欲しい行動することが出来ればいろいろなことがつながることが出来る。」

この2人の対談を聞いていると、アメリカ留学のイメージがガラッと変わる。プレーがうまい選手が渡米している、留学したらバスケスキルが得られるだけ、そんなものはすべてが思い込みだった。アメリカ留学に興味がある人もそうでない人も、ぜひ見て常識や思い込みという殻を打ち破って欲しい。

酒井達晶さん
Twitter:@ta2basketball
Instagram:@ta2basketball
YouTube:BASKETBALL DIARYBASKETBALL DINER

東頭俊典さん
Twitter:@SeanTodo
サイト:Coach Todo's BASKETBALL DIARY

今回の対談の全容はこちら


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