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インプロと演劇は「仕事」ではなく「趣味」です

ここ数日体調が悪かったので、昨日一日をシャバットしてみた。
シャバットとは、ユダヤ教の戒律にある「安息日」のことで、7日間に1日設けられる「何もしない日」のこと。
その日は仕事や家事などの「やるべきこと」を一切やらず、ただただ何もしない。ぼーっとして、自分の心身と向き合い、魂を癒すのだそう。

今の自分の人生は限界である、と。

僕は演劇を18年、インプロを14年やってきて、ここまでのキャリアや実績は、自分で言うのも何だが申し分ないと思う。
生業にして飯を食えているし、需要もそれなりにあるし、評価もそれなりにされている。このままやっていけばより高みに行けるぜってルートに乗っている。

しかし、裏を返すとそれだけしかやってきていないわけだ。
僕は就職したことないし、バイトもそんなにやってこなかった。7年前の26歳で演劇で生計を立てられるようになって以降は、演劇とインプロしかやってきてないと言っても過言ではない。
そうなってくると、段々と未来が一本道に見えてきて面白みがなくなってくる。
やりたいことや、なりたい自分を探ってみても「インプロバイザーとして」「俳優として」「演技指導者として」という上の句がいつも付いて回ってくるし、たくさん海外に行っても、結局インプロや演劇の糧になるかどうかを考えている自分がいるのだ。
そんな自分に、どことなく不自由さと途方もなさを感じていることに気が付いたのだ。

だから僕は決めた。

インプロや演劇は「仕事」ではなく「趣味」だと言い張ろう、と

飲み会の席かなんかで酔っ払った年上の演劇人から「プロフェッショナルとは、どんな体験をしても、自分の仕事に結び付けて考える人のことだ」と聞いたことがある。
人伝の話だった気がするが、それを聞いた時にはかっこいいなあ思った。
そこからはそうなれるように頑張ってきたし、現に今の自分はそうなっていると思う。
だが、だんだんとそういう自分が窮屈になっていることも同時に感じていた。

先述したシャバットの話をしてくれたのは、インプロ仲間のこーろくという人なのだが、彼は僕の知ってる人の中でも一番ハッピーな人で、大好きなプレイヤーだ。
彼は僕と同時期くらいにインプロを始めているため、そのパフォーマンスにプロフェッショナルを感じるのだが、そのマインドはあまりプロフェッショナルっぽくない。
むしろ「楽しければいい」くらいのアマチュアマインドだ。
※ちなみに「アマチュア」には「素人」の他に「愛好家」と言う意味もあり、ここでは後者の意味で用いている。

同じ団体をやってた頃の僕とこーろく(右)

そんなこーろくを、僕はずっと羨ましく思っていたが、これが正しく答えなのだと思う。
彼は仕事としてというか、趣味でインプロをやっている。
いや、実際仕事にはなっているが、感覚としては趣味のような感じ。少なからず僕にはそう見える。
だから変な力みがないし、毎回見ていて楽しい。かといって下手でいいかと思っているわけではなく、より自分がインプロを楽しむために学んだり探求したりする精神がある。
とにかく何をするにも「楽しい」がいつもある感じだ。

僕もインプロすることは楽しいが、続けていく毎に自分の中に使命感のようなものが生まれつつもあった。
劇団を作ったり、海外のインプロを日本に伝えたりという活動を続けることで、日本のインプロの代表のような扱いを受けることが多くなったし、自分もその自覚を持つようになった。
次第に、純粋な楽しさよりも「日本のインプロのために」という使命感で動くようになっていたのだ。

こーろくと稽古休み中「自分の寿命が残り1ヶ月なら何をするか」という話をした時、僕は「インプロ会のために遺せるものを遺す」という話をした。
それに対してこーろくは驚き「遺すなんて発想なかったわ!俺はいかに美味いもん食うかしか考えないわ。はっはっは(笑)」と答えたのだ。

ちなみにシャバットによってそんな想いを巡らせた後、定期的に通ってるゲシュタルト療法のワークショップに行った。

↓ゲシュタルト療法についてはこちら↓

そこでもシャバットでの気づきをシェアし、その気づきを更に深ぼっていった。

そして僕は結論する。

インプロ界や演劇界がどうなろうとどうでもいいんだ、と

今まで「何とかしなきゃ!」という謎の使命感を持ってきたけど、それがあることで純粋な楽しさを味わえなくなっていた。
だったらそんなもの捨てちゃえばいい。ただ楽しいからやる、それだけでいいのだ。

だから僕にとってインプロや演劇は仕事じゃない。仕事じゃないから責任なんかない。ましてや業界に対する責任なんぞ。。。

インプロや演劇は、趣味です!

こう言い切ることで、僕は本当の自分に出会い直した気がした。
18年前、高校演劇の舞台に初めて立った興奮、14年前、インプロのワークショップに初めて参加した時の爆笑を思い出した。

そして上の句から「インプロバイザー」「俳優」「俳優指導者」が消えたことで、次から次へとやりたいことも出てきた。

ゲシュタルト療法のファシリテーターになりたいし、数学また教えたいし、脚本書いてみたいし、歌のライブやってみたいし、占い勉強してみたいし、三国志研究してみたいし…
今から人生リセットしてやり直すと考えると、今まで隠されてた道がどんどん見えるようになってきた。

人生はまだまだ豊かで、まだまだ面白くなりそう。

今後の忍翔は、もっと自由になります。

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