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ヒッチレース2022・早稲田大学編
耳栓、目隠しで何も持たずに車に乗って、降りたところからヒッチハイクをスタート!何とかして寮まで帰ってきてください。
京都大学には吉田寮があり、吉田寮には吉田寮祭があります。そして吉田寮祭にはヒッチレースがあります。
この記事は、2022年のヒッチレースに参加し、早稲田大学まで飛ばされて戻ってきた記録です。
ルール
手ぶらで参加してヒッチハイクで帰ってくる
面白かった人の勝ち
また、例年は5月なのに対し今年は7月2日スタートだったので、例年よりも安全側に傾ける追加ルールがありました。
【重要】【緊急】暑いです。熱中症のリスクがあります。ヒッチレース参加者は万が一のために、保険証、スマホ、お金、帽子必ず持参してください。持っていない方は参加できません。
— 【公式】吉田寮祭ヒッチレース (@hitchrace) July 1, 2022
スマホは実況用のカメラとTwitter、生存確認用の電話だけに使うことにしました。
いざ出陣
23:30 吉田寮に着きました。寮は初めてだし知り合いもいなかったのでボッチでビール飲んでました。蒸し暑かったのでおいしかったです。
00:00 開会宣言。なんか自治貫徹みたいなこと言ったり、「よしだ寮祭のうた」を歌ったりしていて、楽しそうでした。その後くじ引きでどの車に乗るかを決めました。
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00:50 ドライバー1人ヒッチレーサー3人で京大吉田寮を出発しました。ここからはマスクを目に掛けて外の景色が見えないようにします。ドナドナが脳内に流れました。
ドライバーが不敵な口調で「この車は高速ガッツリ使うから」みたいなこと言ってきて、勘弁してくれと思いました。
4時すぎ マスク越しの視界が白くなってきたので、東に移動していることを悟ります。トンネルが多いということは日本アルプスのあたりでしょうか。高速道路の配置を知らないため当てずっぽうです。
05:14 一人目を降ろす場所に到着したことを告げられ、マスクを外すと、こんな景色が広がっていました。
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ドライバーの発案で、現在地を予想してもっとも外れていた人が降ろされることになりました。勇敢なヒッチレーサーが「フランス」と答え、レースが開始しました。正解は長野県の姨捨だそうです。
また高速に乗り、今度は南に向かっているようです。
08:18 次のポイントに到着しました。下道に入った時から人間の声がちらほら聞こえたので、姨捨よりも難易度は低そうです。
みんなで降りてちょっと歩くと、きれいな池がありました。
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観光客は高速道路まで乗せてくれるかもしれない。
私はジャンケンに負け、さらに2時間目隠しで移動します。
10:07 最後の目的地に到着しました。早稲田大学でした。
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ドライバーにポカリ2Lを買ってもらい、ヒッチレーススタートです。上の地図をよく見ると神楽坂という文字がありますね。飯田橋の友人宅に行ったとき、神楽坂でご飯を食べた記憶があるので、たぶん友人宅に歩いて行けると思いました。地図の左にはキラキラ早稲田大生がいっぱいいましたが、劣等感で気が狂いそうになるので話しかけられませんでした。
この時の装備
服と靴とメガネと帽子
ポカリ2L
ペン
寮祭のパンフレット*5
もしものお金と保険証(靴底に仕込んでいる)
ビニール袋
スマホ
10:30 初めて他人に話しかけました。おばあさんによると飯田橋まで歩いて30分だそうです。これは楽勝かもしれません。
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11:15 飯田橋の友人宅に到着しました。アポなしですが在宅していてよかったです。食べるものとノートを恵んでもらいました。国会議事堂前まで行けば首都高に乗れそうなので、まずはそこを目指します。
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首都高の仕組みは未だによくわかっていない。
13:06 九段下のマダムたちに国会議事堂への道を尋ねると、歩いていくのは間違っていると断言されました。電車に乗るカネがないんだよとは言えず、35度の猛暑の中歩きました。この頃は、二度と会わない人と接するときの心の準備が、まだできていなかったのでしょう。
皇居の周りにはランナーがたくさんいて、その元気を分けてほしいと思いました。
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高速道路へ
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国会議事堂の手前で「東名」を掲げると、一瞬で警察官が向かってきました。警官に気づかないふりをして立ち去ろうとしましたが、向こうのほうが足が速くてダメでした。要点をぼかしつつ状況を説明すると、意外と怪しまれず、職質などはされませんでした。おまわりさんは同い年でした。
13:45 その後場所を変えてリトライすると、あっさり1分で停まってもらえました。年齢は一つ下の二人組でした。東京湾で船の仕事をしているくせに船は好きじゃないそうですが、よく考えれば私も勉強が嫌いな大学生なので似たようなものです。
この車は高速には行かないので、15分ほど走って池尻大橋のあたりで降ろしてもらいました。
14:03 大橋JCTの麓で再び「東名」を掲げますが、一向に止まる気配がありません。30分後に、自分が不可能な位置に立っていることに気づきました。
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14:38 ここでBの位置に移動しました。Bの位置は左折する車にアクセスできます。さらに、細いほうの道なので赤信号になりやすい(=チャンスが多い)です。この作戦を閃いたときは我こそが天才だと思いましたが、さらに60分間空振りでした。
15:41 腕は疲れてきましたが、次第に暑さが引き、風も強かったので元気でした。気分転換のため本部に生存報告すると、すでに帰ったヒッチレーサーもいるということをニヤニヤした声で教えてくれました。私はまだ10㎞程度しか進んでいません。
そんな私を見かねてか、歯が一本しかないおじいさん(上の図で歯の位置にずっといた)に水とえびせんをもらいました。おじいさん、ありがとう。
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首都高から東名に
15:46 一台の車が停まってくれました。東京で道路の舗装をして町田に帰るお二人です。運転手のイイダさんは30年前にヒッチハイクをしていたそうで、当時のことなど楽しく教えてもらいました。凍らせたアクエリをいただいて、港北PAで降ろしてもらいました。
16:13 高速道路に上がってしまえばもう楽勝だろうと思って、港北PAにいる人の咀嚼回数を数えたりしていました。
16:44 ビニール袋が飲み物の重さに耐え切れなくなったので、ゴミ箱の前で待ち伏せて新しい袋を譲ってもらいました。その後、疲れたので外のベンチで仮眠をとりました。
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17:40 暑くて起きました。自分で声をかけないと帰れないことに気づきました。人に話しかけるのは、ノートを掲げるのとはまた違ったテレがあるのです。
17:45 なんと声掛けをはじめてから3組目で乗せてくれる人が見つかりました。私と同い年の2人組で、ヒッチハイクしてる人を初めて見たといっていました。海老名で降りて、SA名物のパンを買ってくれました。まだまだ空は明るいです。
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18:40 海老名で一休みして、さあ次の声かけ……と思っていた矢先に、別の二人組ヒッチハイカーを発見しました。滋賀から東京までヒッチハイクで来て、東京観光ののちにまた滋賀までヒッチハイクするというツワモノです。彼らが女性二人組と交渉して乗れそうだったので、便乗して載せてもらうことにしました。
後部座席に3人で乗りました。真ん中の人が陽キャ(背が高い・元サッカー部・声がでかい・イケメン)だったので、私は押し黙っていました。こんなところでも陽キャのおこぼれをもらって隙間で生きているのかと思うと、みじめでなりませんでした。
19:20 足柄SAで降ろしてもらいました。2人組ヒッチハイカーと別行動で声掛けをし、3人乗せてくれる人を見つけたら3人で乗るという約束をしましたが、正直もう勘弁してくださいという気持ちでした。
足柄SAも海老名に劣らず巨大なSAで、ぶらぶら散歩したりしました。
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20:00 もう日は暮れてしまいました。一日目は静岡あたりまで行きたいと思っていたので、頑張って声を掛けます。(書いてて気づきましたが足柄は神奈川で足柄SAはギリ静岡だそうです。) すると兵庫まで行く老夫婦が大津まで乗せていってくれることになりました。すごくラッキーでした。神奈川に住むお孫さんに会いに来て、泊って行けと言われたのに日帰りするそうです。意味不明なガンコさに偶然救われました。細い月がきれいでした。
おじいさんは最大150km/h、平均でも130km/hで運転するスピード狂だったので、あっという間に大津SAに到着しました。最後まで親切にしてくれましたが、お金はくれませんでした。また、私もお金くださいと言えるほど図太くありませんでした。
23:33 大津SAでヒッチハイク再開です。ここでは「京都で降りる」かつ「汗臭い男を乗せてくれる」というレアな人を探さなければいけないので、ちょっと苦戦しました。心が折れて七夕の短冊を読んだりしていましたが、24時過ぎに大学生5人組に乗せてもらいました。
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ヒッチレースで行くのはやめた方がいいですよ。
0:59 大学生たちは京都で降りて北の方まで行くということだったので、京大まで運転してもらいました。正門前で最後に記念撮影をしてヒッチレース終了。
完走!
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きわめて幸運で順調なヒッチレースでした。順調すぎたため、残念ながら優勝はできません。
着いた後は、吉田寮でビール飲んだり別の完走者と喋ったりしてダラダラしました。
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教訓
ヒッチハイカーを乗せてくれる人は、タバコ吸う率がめっちゃ高い。