見たことがないあの人の裏側(2014年)
2014/12/23 20:47
CROOZブログに掲載された記事のアーカイブです。校正せずに転記します。誤字や文法のミスはそのままです。段落が多いのはガラケーブログであった為です。
人には誰でも優れているところがある。
というのは、いつもどこかで聞く言葉だよね。
確かにそうだなって思うよ。人にはどこか優れているところや良いところがあるもんだよ。
こいつ本気で殺してやろうかと思うほどの人でなしの男も、自分の子供には優しく教育熱心な父親だったりさ。
どうしようもなく無能で、人から嫌われてばかりのおっさんでも、プライベートでは社会の弱者のための正義を貫く男かもしれない。
ありえないほど女たらしで浮気ばかりの男でも、意外と本気で人を想うことができる人かもしれない。
俺の会社員時代の仲間にこんな女性がいた。メンタルに病気や障害を抱えていて、作業や感情の処理能力に問題があったのだろう。だから仕方ないのだが、周囲の人を必ず怒らせるんだ。
他人に対する共感や感受性が、これも病気のせいか、欠落してるんだよね。平気で無神経なことを言ったり、身勝手な理由で職場の約束事を破ったりする。
同僚の間ではとても嫌われていた。
俺も正直言って嫌っていたよ。病気なのは分かっていたけれど、それでも腹が立っていた。
彼女は周囲から孤立してしまい、残業の時も手伝ってくれる人がいなかった。だから俺が見かねて残業を手伝ったことがある。一人だと朝までかかる量だったから。
でも俺はにこやかに優しく手伝うわけじゃなく、だるそうに手伝ったと思う。仏頂面でね。
そしたら深夜1時くらいになって、彼女が「本当にありがとうございます」って言いながら缶コーヒーを買ってきてくれたんだよね。温かいやつ。
俺はびっくりした。
彼女はたぶん本当に困っていたのだと思う。
そして、この女性は仕事以外の場面では、とてもやさしい人なのかもしれないなと想像した。社会性や感受性に問題があるだけで、人との繋がりに何か独特の癖がある人なのかもしれない。
俺はそれから、その女性には笑顔で接するようになった。もちろんそれで仲良くなることはないのだけど、君を悪く言ったり拒否したりすることはしないよっていうメッセージを発しているつもりだった。
コミュニケーションがあるなしに関わらず、人は他人の一面しか知らない。
真面目そうなあの男性は、もしかしたらぽっきい師匠かもしれない。
あの落ち着きのない、いかにも頭の悪そうな男が、予想通りアキラ師かもしれない。
でも断っておくけど、人は第一印象でしか判断されない。人は見かけによる。
でもその裏には、見たことがないあの人の裏側があるのかもしれないってことを、どこかで意識するといいかもしれないよね。
想像以上のいいところがあるんだってことを。