平成生まれの百恵ちゃんLOVERSがおくる 「伝説から神話へ…武道館さよならコンサート」みどころ紹介!
昭和55年(1980)10月5日、山口百恵は日本武道館での「さよならコンサート」でマイクをおいた。
その模様はTBSテレビで生放送され、後々映像商品・音楽商品化された。
それが、引退40周年の令和2年(2020)、リマスターされNHKBSプレミアムで放送。
そして、令和3年(2021)1月30日、NHK総合テレビで地上波放送される。
平成5年生まれの山口百恵LOVERSのわたくしが、僭越ながら、独断と偏見まじりに簡単にみどころを紹介する。すべて見どころなのだが…。
【第1部】
① Overture ~ This is my trial
あの日の日本武道館の熱気が伝わる冒頭。伝説のステージは幕を開けた。ちなみにこのコンサートの音楽監督は服部克久。《This is my trial》はラストアルバムの表題曲。
② 横須賀サンセットサンライズ・I CAME FROM 横須賀
山口百恵「横須賀3部作」のうちの2曲。
百恵の原点「横須賀」を歌う彼女の姿は美しい。
《I CAME FROM 横須賀》は京急・横須賀中央から京急品川までの道のりを当時の快速特急の停車駅を列挙していく歌。そう、このコンサート第1部冒頭は「ふるさとの風景・原点」~「上京」というアイドル歌手山口百恵の歴史を追うものに他ならない。
③ プレイバックPART1~MC
有名なPART2ではない、「もうひとつのPlayback」。この曲のあとのMCで百恵は自身の楽曲に関して語る。
④ シングルヒット曲
宇崎・阿木コンビのシングル楽曲から7曲。
《プレイバックPART2》・《絶体絶命》・《イミテイション・ゴールド》・《愛の嵐》・《夢先案内人》・《謝肉祭》、そして《横須賀ストーリー》。《横須賀ストーリー》は間違いなく山口百恵の進化を見せつけた曲である。
ツッパリ系の曲がひしめくが、その中で魅せる多彩な表情はこの歌手が女優としての側面を持つことを改めて感じさせる。
⑤ スター誕生AGAIN
第1部の締めくくりはこの曲。過去への別離と未来への一歩。
【第2部】
① INTERMISSION
本編で歌われないシングルヒット曲がインストメドレーで流れる
② 初期曲のメドレー
挑発的な《ひと夏の経験》のイントロは、百恵の登場をもったいぶるかのようだ。続くは《禁じられた果実》・《冬の色》・《湖の決心》・《春風のいたずら》・《青い果実》そしてデビュー曲《としごろ》。大人になった百恵の「青い性路線」や「文芸路線」の歌は違う魅力が出てくる。
③ ロックンロール・ウィドウ
結婚発表後の百恵に未亡人を歌わせるというチャレンジングなこの曲は、とてもセクシー。レコード音源よりも拡大された間奏は見どころ。
④ いい日旅立ち・一恵
しっとり歌い上げるこの2曲。国鉄キャンペーンソングの《いい日旅立ち》は百恵にとってザ・ベストテンで初めて1位を獲得した曲でもある。《一恵》は百恵最後のシングル曲。
⑤ 曼珠沙華
レコード音源は制作スタッフ曰く「山口百恵の最高傑作」。百恵もコンサートでは必ず歌っていたとか。まさに「女の情」を歌い上げる隠れた名曲。
⑥ 秋桜
さだまさしが「いつか分かる日が来る」と百恵に渡した曲の当初のタイトルは《小春日和》。結婚が決まり「送り出される娘」の立場となった百恵が歌う。
⑦ イントロダクション・春/不死鳥伝説/歌い継がれていく歌のように
この3曲はアルバム曲から。稀代の表現者たる山口百恵の表現の真骨頂。
⑧ さよならの向う側
言わずもがな、マイクを置く曲である。そう、この曲で山口百恵の「歌手」としての時間は幕を閉じる。涙ながらの歌唱は美しくはかない。しかしその瞳には確かに輝きがある。未来を見据えた百恵の最後の歌唱である。
この原稿を書いているとき、あと20分で放送開始となっていた。少しでも多くの人に山口百恵の歌唱を見て・聴いてほしい。7年半という短い間にここまで人々の記憶に残り、歴史に名を残し、いまだに影響を与え続けた歌手はいないだろう。稀代の表現者・山口百恵。その表現力は今でも多くの人の心を動かし、目標となることであろう。