20190616_坂本弘道

坂本弘道さんのパフォーマンスを見る

2019/06/16(Sun.)

今日はFIGYAでダンサーの大歳芽里さんがパフォーマンスされるとのことで見学に行きました。僕自身は本格的なダンスパフォーマンスをあまり見たことがなかったのですが、大歳さんと出会ってからパフォーマンスを見るたびにダンスへの理解が深まる体験をします。
前回の篠田栞さんと金田金太郎さんとのパフォーマンスでは、大歳さんの動きを自分に重ねることで動きの難しさを見ることを覚えました。今回はチェロ奏者の坂本弘道さんとのパフォーマンスだったのですが、大歳さんと坂本さんが共に「小道具」を使ってパフォーマンスしているのが印象的でした。大歳さんはロール紙を使ってダンスを展開され、坂本さんもチェロに向かって鉛筆を放り投げたり金属片を弦に挟んだりして演奏されました。
人は道具を身体の延長化させることで自在に操ります。自分の体の一部のように道具を操ることで私たちは新たな身体性を獲得して、新たな身体表現を手に入れます。例えば、楽器の演奏技術を習得することは楽器を体の一部のようにコントロールすることであり、楽器を見なくても自由に操れるようになり高度な表現が可能になります。

大歳さんのダンスは紙を自在に操るというより、紙の状態に応じながらダンスの内容を変えているようでした。つまり、大歳さんにとって紙は身体化された道具でなく、あくまで身体の外にある小道具のように見えます。旗のように風になびかせる動きや服のように紙を体に巻きつけ、ひとりの人物を演じているようなシーンもありました。紙という同じ道具でありながらダンスの展開によって、紙の機能が変わっていきました。
坂本さんの演奏は、演奏者の身体の一部となった「チェロ(楽器)」とまだ身体の一部になりきっていない「小道具」の対比が印象的なパフォーマンスでした。チェロという共通のテーマ(身体化された楽器)は維持しながら、チェロにさまざまな小道具を組み合わせることで新しい音を奏でます。
少ない小道具で多様な使い方を示す大歳さんのダンスと、チェロの可能性を引き出すために大量の小道具を用いる坂本さん。2人のパフォーマンスにおける小道具の使い方の対比が面白かったです。

▲坂本弘道さんと大歳芽里さん

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