20191017_屋合

「屋合」の初日オープン

2019/10/17(Thur.)

 9月から京都と名古屋を行き来して準備を進めてきた山下残さんの新作「屋合」の公演がオープンしました。今日は朝からリハーサルを重ねて本番直前にゲネプロを行いました。全体の進行の難所として、ステージが変形してドライアイスが会場を覆う演出があります。このシーンでは舞台装置を人力で動かすため、何度もタイミング合わせの練習を行いました。僕は舞台装置の操縦には関わらないのですが、朝のリハーサルではドライアイスを砕く動きも試してみました。やはり音響装置の操縦も行いながら舞台装置も動かすとなると集中できず散漫な動きになってしまい、結局ドライアイスを砕く動きも舞台装置を動かす方にお願いしました。
 本番直前でのゲネプロ前には山下さんから音響装置に対する修正も入り、現場は緊張した雰囲気でした。さらにゲネプロでは舞台装置がうまく作動せず中断して、急いで修正が入りました。本番までに全体を通したリハーサルができず、ドライアイスの演出はぶっつけ本番になりました。

 本番では定員30名を超える来場者に来ていただき、会場は満員御礼となりました。リハーサル中は小雨が降っていたので雨を心配していましたが、本番中に雨が降ることはありませんでした。
 パフォーマンス中に印象的だったこととして、あれほど滞在制作やリハーサルでは強く吹いていた風が全く吹かなかったことです。自然は気まぐれなもので人間が完璧にコントロールできるものではありません。それゆえにピアノ線の装置から発生するサウンドは有機的で面白いのですが、風が全く吹かなかったため無音のシーンがとても多くなりました。なんとか微風でも音が鳴るようにアンプの設定を細かく調整していましたが、観客の方からは僕が細かくアンプをいじる様子が演奏的な姿に見えたと感想をいただきました。当初は自然の力を借りてパフォーマンスする予定でしたが、結果的に「自然対人間」という構図のパフォーマンスになったようです。

20191017_屋合

▲公演開始直前の確認作業

 パフォーマンスの後は山下さんによるトークが行われ、僕は撤収作業を中断してトークの様子を見に行きました。観客からの質問を聞いていると「予定された部分と予定されていない部分の曖昧さ」に関する質問が多かった印象です。パフォーマンスは全体を通してきちんとした流れがあるのですが、細かな部分は即興によるものやシステムエラーを意図的に演出している部分があります。そのため、どこまでは思惑通りに進行して、どこからがハプニングやエラーなのか曖昧に見えて、それらのバランスが緊張感のある内容として見えたようです。
 明日もパフォーマンスがあるので、今日のところはこんなもんで終わりましょう。明日は台風が近づいているので無事に開催できることを祈ります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?