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Around the test #2

2019/09/07(Sat.)

コントの企画「Around the test#2」に参加しました。Around the testは彼らが京都精華大学に在籍していた時に開催したパフォーマンスイベント「Around the test#1」が前身となっています。#1では出演者として梅田哲也さんと捩子ぴじんさんが出演されたそうです。#2からは持木さんの祖父のガレージを改装したスペース「@thetest」にてシリーズ開催する予定です。

これからAround the testはコントとおおしまたくろうを定期メンバーとして外部ゲストを1名を招待して開催します。#2ではIAMASの卒業生の松本和史さんをお呼びしました。僕がIAMAS在籍時にカセットテープを使った作品を制作していた際に、同じくカセットテープを使った活動をされていた卒業生として教員から松本さんを紹介していただきました。IAMAS卒業後に京都に移住してから、マテリアル京都のトークイベントで松本さんと偶然知り合いました。その時から、どこかのタイミングで共演できると良いなと考えており、今回のイベントでやっと実現しました。

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▲@thetestの様子(壁のセーターは持木さんのお母さん作)

当日のパフォーマンスでは、現在アッセンブリッジ・ナゴヤ2019でのパフォーマンスで実験中のピアノ線を使った音響装置の実演をテーマにしました。また最近のブームとなっているワイヤレスマイクを使ったパフォーマンスの発展系として、角田俊也の作品をヒントにワイヤレスマイクを鉄パイプの中に入れて、周辺の音響を変調して発音する装置を用意しました。ちょうど@thetestの前に国道が通っているので、車の通過する際のノイズがパイプ内の固有周波数で変調されてドローン音楽のように聴こえました。個人的には新しい技法ばかりの「まさにテスト」的な内容でしたが、面白い音が聴こえてよかったです。

コントのパフォーマンスは2人がギターを抱えたまま抱き合うというものです。会場には「何もできないことが私の誇りであった」といった趣旨の音声が再生されていました。コントのパフォーマンスはできていない感じや失敗する雰囲気が醍醐味ですが、パフォーマンスの場数が増えるほどにパフォーマンスがスペクタクルとして強度を持つようになっています。当初は「できないからできること」がテーマでしたが、だんだんとパフォーマンスの見せ方の技術が上がっていき、パフォーミングアーツとして「できている」ようにも見えます。これを成長と捉えるか、コンセプトの矛盾と捉えるかは難しいところですが、それらのせめぎ合いの状態にある今のコントは面白い時期だと思います。パフォーマンスの技を磨く道に進むのか、それとも能力としてできない状態を維持する仕組みを発明するのか、彼らはどんな方向性を選ぶのでしょうか。

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▲リハーサルを行うコントの2人

松本さんのパフォーマンスは、別人格の未来学者が制作した詩を書いたカセットテープのケースを読み上げるパフォーマンスでした。カセットテープのケースを回転台の上に乗せてカメラで撮影し、プロジェクターを介して回転するケースの様子を会場に投影していました。音楽のライブというより川柳の発表のように、読み上げられる詩に耳を傾け、ケースの回転する様子を愛でる(目で見る)体験でした。
詩を読み上げてから回転するケースを見つめるという段階的に区切られた体験が、これまで見てきたサウンドパフォーマンスと異なり時間軸の区切りが明確という点で印象的でした。僕も最近は「語り」を用いてパフォーマンスのレイヤーを分けて見せることを意識していますが、その見せ方の発展系としてヒントを得ました。

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▲パフォーマンスの準備を進める松本和史さん

新しいスペースでの実験的な企画だったので集客の面が不安でしたが、当日は10人ほどのお客さんが来てくださり、イベント後も様々なフィードバックをくださいました。@thetestでは僕のZineやTシャツも置いてくださり、販売しています。今後はコントとコラボした@thetest限定のグッズも用意しても良いかなぁ。是非ゲットしてください〜

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▲会場ではTシャツを売ってもらっています

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