リコリス・リコイル感想※ネタバレあり

今回はいつもよりも構成少し凝ってみた。箇条書き感はあまり変わってなくてただ順序を整理したって感じだけど…

放送時見たけど、今日改めて見返した。自分にとってのわかりやすさを正直にいうと、誰の目線ではこう思っている、みたいなことが少しわかりにくいなと思った。でも、13話でアニメオリジナルでとても満足感がすごい。人間の成長も見られるしバトルシーンも見応えがあったし濃かったり揺るがなかったりするキャラクターが多くてその人その人の発言とか考え方に着目するだけでも面白いし、キャラクターが可愛いし、EDが大好き。

たきな

エンディングの花の塔が完全にたきなの目線の曲になっている。たきなのように真面目で内向的な子を千束が積極的に接していくことで変わっていくのが『花の塔』とマッチングしていて本当に良い。
DAが絶対だったのにDAよりも千束を助けることを優先したのが、彼女の変化を物語っていてアツかった。あんなに冷静で感情の動きが少なかったたきなが吉松を殺そうとするシーンで「心臓が逃げる」と言ったり、そのときの声の獣のような様子が迫真で感情的でゾワっとした。
たきなが千束と話していてしんみりしたときに、空気を変えるときとか勇気づけるときに、彼女なりにわざとふざけてみたりするのが微笑ましくもあり嬉しくもあった。「さかな〜」のところもそうだし幼稚園で配ったキーホルダーをあげるところもそうだ。たきなのことだしこんな話題にした責任感とかあってやってたりもするんだろうな。DAに復帰することを伝える時のデートは彼女なりに必死に最後のお別れを考えたんだろうな、よかった。でもなんかもし自分がたきなだったら、柔軟で外交的でポジティブな千束になんだか人間として負けているな、と思ってしまいそうな感じもリアルだった。
あとたきながかわいい。あのちょい毛量多くね、って感じがなんかめっちゃかわいい。

千束

殺しをしない、というこだわりが吉松の綿密な計画で邪魔されそうになって自分は「もう撃てよ」と思ったがこだわりを貫いたのがすごかった。一回撃った時の動揺し切った千束の声の演技力もすごかった。千束の戦い方は縛りプレイみたいなもので、よく続けられるなと思った。この縛りは祈りがないと敵を倒さない炎炎ノ消防隊と重なった。
自分の命を助けてくれた、という事実はとても人を盲信的にさせるものなのかな、と思った。千束は犯罪者をも支援するアラン機関の構成員の吉松を、人を殺さない平和を願うような善人と思い込もうとしすぎだなと思った。
千束の幼少期の電波塔の事件の描かれ方がカッコよかった。敵キャラにいたら絶望しそうな感じだ。
余命2ヶ月とわかってからの行動がいつも通りの明るさで、正直から元気かな、とかも全く思わなくて彼女の真の考え方で根本がポジティブなんだなと思った。生き残る方法もう少し模索してもいいんじゃないかと思うけど。
千束は「自分が嫌な思いしたくないから」殺しをしないとたきなに説明したが、たきなが殺そうとするのも止めていたしきっと「人が死んでほしくない」って思いがあるんだろうな。
最終話で真島と千束が話している時「世界なんて見なくても私は好きなことが多いよ。大きな街が動き出す前の静けさ、一生懸命な友達、仲間、美味しいもの」とか言っていて周りに溢れてるものばかりだな、と思った。俺もこれは全部好きだし、好きなことが実は俺にももっと多くあるのかもな、と思った。

他の人物、全体

真島が指針としている考え方が「バランスをとる」「自分が好きなように」とブレなさすぎるのも印象的だった。最終話のジュースのシーンなど、「なんなんだそれは」と思ってしまうようなシーンもあった。
吉松も吉松ですごく練られた配置とか計画で二重にも三重にでも千束に絶対に殺人をさせようとする。
たきなが千束とお別れになるのが嫌でDAを辞める決意をしたこと(階段のシーン)は逆に言えば自分が出会ってこなかったものに出会うことで当初の自分の方針が揺らいだ、とも言えると思うしそれが普通だと思うがそんな多くの人とは違い、己を貫く真島や千束や吉松のように全くブレないキャラクターがこの作品には多く、感覚が麻痺する。
別に心変わりがあるのはダサいとか悪いとか言ってるわけではない。
ミカは千束に情が移って人間らしいと思うが、子ども(千束)に教えられた価値観を信じてかつての恋人を撃ち殺して心臓を抉り出したのが勇気のいる決断だと思った。かっこいい。まあでもきっと前々からこんなことは覚悟していたのだろうと思う。
リコリコを閉店しよう、と言って閉店までが早すぎたが、結局みんな戻りたくて(2人は海外行こうとしたのに助けたし)戻ってきたのもよかった。店じまいをした後の静けさが寂しかったから。

初回搭乗時はフキもサクラもうざすぎて大嫌いだったし、流石に酷い発言だと思う。結局DA側のミスならやっぱりたきなは悪くないし。けど本人間で円満ならいいやと思う。フキが自分の昔言ったこと(命令に背く奴はいらない)を頭で思い返してから、自分も規則を破るのが印象的だった。
他の作品でもそうなんだろうけど、指示役の人間もすごい判断力だなと思ってしまった。楠はリリベル代表が退出してすぐに指揮を始めるしリコリスのリーダーも判断が速いと思う。

2期がありそうな終わり方をしたし、人気もきっとあるので見てみたいと思う一方で、これほど色々な側面での満足感を得られたのはこの13話だからであり、中途半端な内容で続きがおんなじような話とかだと嫌かもしれない。だらだら真島と戦うだけとかでも嫌かもしれない。EDのテーマになってるように、たきなの人間的成長と色んな主要人物の硬い信念の衝突と織り合わせがこの作品の肝だと思う。そのうちの片方がなくなってしまえば少し満足感が減りそうだなーと思ってしまう。まあキャラ可愛いしみてみたいけど。

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