ありがとうございます / 文句たれが文句たれに同情した
いつも独り言を聴いて下さる上にスキを押して下さりありがとうございます💗
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歳を取れば取るほど文句が多くなるもので、私なんぞは、その最たるもので。
しかし、「良さげなホテルを予約したよ!」と嬉しそうに言ってくれていた相方の手前、何か「あれ?」というものを目にする度、口を貝のように結んでいた。言ってはいけない!と。
いくら何でも人の真心を傷つけてまで批判すべきではない。「Ohzaちゃん、いつも頑張っているからね、少しでもゆっくりして欲しくてね。」という真心を。そうそう、連れて来て貰った手前、決して言ってはいかんだろう。
ところが、早くも一日目の夜から、何とKちゃんの方から言い出した。「あのさあ・・・。とてもじゃないけど、酷いよね。」と。
一回り歳下なのでババア度は私よりずっと低いはずなのに、それでも言わずにいられないのだね。良かった。かえってホッとした。私だけが感じているのかと思った。
まず、巨大な生け花が置いてあるのは良いが、枯れ果てていた。あそこまでカラカラになるまで放置するとは。メンテできないなら造花にした方が良い。
そしてフロントの説明が長すぎる。20分。さらに、館内の案内が20分。長い。長すぎる。ペラペラ早口で話しているが要領を得ない。人の時間を何だと思っているんだ。野暮だ。部屋に着いてからもなかなか退室しない。いいから早く出ていけ。
しかも、見取り図を観る限り、その説明すら間違っている。さらには1泊目と2泊目に予約したレストランの順番が間違っている。決して突っ込みはしなかったが。
極めつけは、レストラン。私たちは決してグルメではないが、その庶民の舌でもビックリするほどだった。前菜に出て来た鶏ハムが臭いし、グリーンピーズのポタージュと言われたものは、水っぽくて味がしなかった。
「フォンドボーでコンフィした牛肉です。60度で調理していて、とても柔らかい一品となっております。」と言われたものは、味がなく、さらにはナイフを鋸のように使ってもなかなか切れないほど固かった。
そして、Kちゃんは無類のパン好きなのだが、これが一番ガッカリしたそうだ。「パンが独特の匂いなんだけど、何、これ?」と言われて手にとってみると・・・ああ、発酵し切れていない匂い。嘘でしょ。
観ないようにしていても、廊下に埃が目立つ。ああ、これがほんとに4つ星のホテルなんだろうか。
二日目の夜。これも有名和食店の名前を使ったレストランだったけれど、絶対違うって。名前だけ買ったでしょ。
しかもそのレストランがホームページ上で条件を記していた。「テーブルマナーが出来るお客様に限ります。ドレスコードをお守り下さい。お子さんはご遠慮下さい。」などなど。
そんなわけで、わざわざきちんとした格好で臨んだのだが、話の腰をへし折って突然無言で左脇から皿を出して来たり、無言で下げて行ったり、そうかと思うと店員同士で何か雑談していて、フロアのお客さんのほとんどの人が「まだ?」という顔であちらを観ている。間の取り方、0点。客が全員疲れ切っていた。
中には一生懸命働いているスタッフも居るのかも知れないし、「この予算でやってられっかよ!」という台所事情があるかも知れない。
しかし、本当に四つ星か?多分、どこかの偉い人がやって来るとか、取材が来るとか、そういう時だけホテル中を清掃して花をいけたりするのだろう。
いずれにせよ、一般人をなめた時点で終わっている。
考えてみれば本当に良い店って、テーブルマナーがどうのこうのとか、ドレスコードがなんだかんだって条件出したりしない。どんなお客も大切にするし、お客にもそれが伝わってそれなりの空気が出来る。
せめて温泉だけでも良い湯でありますように!と二人で歩いている時に見えた看板。
”近道”と書いてある。
これを観たKちゃんが呟いた。
「これも罠なんだろう?」
・・・・・・・。可哀そうに。苦労して人が信じられなくなったんだね。なかなか万円した旅だもんな。せめて大好きなパンとポタージュくらいは美味しくあって欲しかったよね。
3日目の夜、自宅へ戻ってから、落胆し切ったKちゃんに、ささやかだけれどポタージュを作りブリオッシュを焼いた。
今日日、パンなど家庭のホームベーカリーに材料をぶっ込むだけで美味しく焼けるのだ。
プロには頑張って欲しい。
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