人生は色々だ
『今日、道で、犬に飛び掛かられたよ♪』と嬉しそうに言うKちゃん。
犬に飛び掛かられるのなんて日常茶飯事のことでしょう。でも、あまりに嬉しそうなので話を終わらせずに、いちおう『どんな犬?』と訊いてみた。
すると。
『キャバリア キング チャールズ スパニエル!』
と、早口でそう言われたので一旦は『・・・・・・・・・・・・。』。
一回で覚えるのは至難の業だったが、頑張ってPCに打ち込んで検索して写真を確認。ふむふむ。こういうワンちゃんか。理解するや否や、振り返り、
『そりは可愛かったことでしょうっ!』
と、やっとのことで答える。
その他にも、一緒に歩いていると、舌を噛みそうな犬の名前を叫ぶことがある彼女。そう言えば、動物の専門学校に通っていたと言っていた。詳しいのは、そのせいもあるのか。
トレーナーとか飼育員を育成するような学校らしいのだけど、聴いていると、そのカリキュラムは過酷だった。
でも、それより何より、身体的に過酷だったからではなく、動物が好きだからこそ、”ちょっと、動物専門の仕事は出来ないなあ・・・”と一旦は就職したものの、辞めたそうだ。(色々とえぐいことがあったらしい。)
その後は、ペットショップに勤めたり、そうかと思うと、〇〇大学病院の医療事務をしていた。
ある時は作業着を来て真っ黒に汚れた顔の写真があるので、『これは?』と訊くと、何と、車の整備員だった。ガラガラー!と車の下に潜り込んで作業したりタイヤ交換したりと、小柄な身体でよく出来るなと思う。
ご両親が昔から居酒屋を経営していたこともあり、飲み屋さんの店員は得意らしいし、某蟹料理のレストランにも居たらしい。道を歩いていると『あ、あそこにも勤めてみたことあるよ。』とよく言っている。なかなかに自由な人生を歩んでいらっしゃる。器用でもあるんだね。
一番長い職歴が今や介護福祉士となったが、最近は知り合いが建てるマンションの間取りや外観やらのデザインなどを頼まれて制作したのをきっかけに、やたらと設計図やら見取り図などを真剣に眺めている。何でも、言われた通りにすると、すぐに借り手がつくとかで好評らしいし、本人も楽しいとのこと。いったい、どういう頭の構造をしているのだろう。何やっても優秀で、どこ行っても無敵だったんだろうなあ。
と、尊敬してやまない彼女だが、これを書いている途中で背後から、
『ぐわあああっー!』
という声がして、次に
ゴンっ!
と鈍い音がした。いったい何?
見ると、ずぶ濡れの彼女が仰向けで床に倒れていた。
金魚がぶっかっけて来る水を交わすために、よけながら餌をあげていたところ、濡れた床で滑って転倒した姿だった。頭、打ったらしい。
今の彼女の最大の敵は、たった2匹の金魚に過ぎない。(でも、とても可愛がっている。)
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