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真夏の影と光
先日、褥瘡が劇的に治って来ている人の話を書いたが、例えば今日のように、月曜日はガーゼを取る時にドキドキする。今のところ、うちの施設は、日曜日はナースが居ない。だから、ガーゼを取るのが二日ぶりになってしまうのだ。
これはいずれ毎日ナースが居る施設にして行きたい。色々と構想はあるけれど、全てはそこからだ。
ところで、正確にはガーゼではなくてもモイスキンパットを使いたいのだが、それは高額になるのでメロリンガーゼを代用している。ここの施設の事務方が購入を許してくれる中で一番ましな素材と言える。もっと言えば、メロリンも若干吸湿性が高いので傷を乾かしてしまう。本当はメロリンではなく、ペットシーツを使いたい。
が、まだまだ『何?ペット?犬や猫のあれ?』ということで、信じて貰えないのでメロリンを使うが、本当はモイスキンが使えないのならプロペト+薄いペットシーツが良い。
それはともかく治って来ているのだ。齢100歳越えであまり食事が摂れない方の褥瘡がドンドンドンドン小さくなって行く。
これまで気が付かなかった介護の人々も「何、これ。すげー。」と素に戻って呟くほどに。
『良かったね、良かったね。』と皆に言われるものだから、難聴の本人も、うんうんと頷いているところが可愛い。
***
『7月の運営会議の日に正社員になることと、同時に看護師長になって貰うことを発表するから。』とボスが言っていた。
前の首脳陣も参加するらしいから気まずいなあ・・・と思っていた。でも、まだ日があるからいいや、その時考えよう・・・くらいに思っていた。
ところが今日”施設長便り”なる印刷物が2ページくらいに渡って回覧されて来た。
そんなものを書いて回すようになったのですか。そうですね。ボスも変わったのだから色々と変わるのでしょうね。
しかし、H先輩が『あ、ほら、もう書かれているよ。』と言うので読んでみてビックリした。
”8月1日を持って正社員へ。それと同時に看護師長へ。”
会議で言うんじゃなかったんですか。それとも驚き最小の法則を狙ってのことですか。
ずっと以前から正社員だった看護陣も約数名ビックリしているような顔色だったが、予想とは違った。全然あたりは強くなかった。『もしかしたらそうかなあ・・・?って思っていた。』とか、『これから色々と変わって行きますね。』とか。
今回、役割を果たさなかった介護の主任や副主任計3名が解任された。全施設長も解任された。ここは、職員の声が反映される施設と言えるのだろう。
ということは、私もあまり阿呆なことやっていると解任されるということなのだが、何だか、良いね、それ。
やれるところまでやろう。ちゃんと皆と歩幅を揃えて、しかし、決して臆病にならず施設と共に成長して行こう。
皆の前では若干冷たい施設長がニコニコ&ウキウキしながら『Ohzaさんの名刺も作ったよ♪』とやって来た。誰も居ないときに。
この人は仕事以外は少女のようだ。
***
暑い日差しの喫煙所。
何だろう?と思った小さな影に上を見上げると、それはアゲハ蝶の影だった。
東京にも居るんだ。