とある春の日に
道を歩いているとき、時々発作的に「あ、あの曲、聴きたいな。」と思うバンドの曲の一つに、エレファントカシマシがある。その他、ブルーハーツの歌もよく浮かんで来るのだけど。
何だか、人生の中で苦しかったな、あの頃・・・と思う時代の曲ほど、耳に残っていて後世まで離れないというのは、不思議なものだなと思う。
今日みたいな晴天の、寒くもなく暑くもない日に聴きたくなる。そう言う時に限ってヘッドフォンを持ち歩いていないので残念だわ。
でも、そのエレファントカシマシの曲を脳内BGMで流していたところ、急に一つ二つ離れた駅の公園へ行きたくなった。
その曲の中でのカップルは、どうやらもうすぐ別れそうな雰囲気だけど、それはさておき、私たちも出かけようよと誘ってみた。
「え?ほんと?行く!行く!」と言う返事。「あたし、井の頭公園、行ったことないんだよね。」と。
東京生まれ東京育ちなのに意外。
公園をゆっくりお散歩して、ボートに乗った。神社にお参りもした。
そう言えば、私、東京でボートに乗ったのは初めてだった。いざ漕ぎだしてみると、何と公園の池の狭いことか。東京って、池ですら混雑しているのね。皆のボートを交わすことに苦労した。
一方でKちゃんは「どこが狭いの?もう、こんな端っこまで来て!あと7分で戻らなきゃならないんだよ!」と騒いでいる。
楽勝で戻ったけど。
水面がキラキラして綺麗だった。
池には沢山の鴨が泳いでいたけれど、途中でクロサギらしき鳥を至近距離で見つめてボートを止めた。「あなた、何の鳥?形がシラサギに似ているから、サギ?黒いからクロサギ?」
鳥は、逃げもせず、かと言って返事をするわけではなく、ひたすら私の顔を見て首を傾げていた。何と言っているのか分からなかったからだろう。あたりまえか。
そして、無事に制限時間内にボートをお返しして池を後にするとき、「見て!さっきの鳥と似ている。」とKちゃんが指さす方向を見ると、確かに同じクロサギらしき鳥がいた。(間違っているかも知れないけど。)
うーん・・・。あの、もしかして、頭の後ろの毛のボサボサのある無しが、雄と雌の差?
そう思ったので「ねえねえ、もしかしたら、彼氏らしき人が池の一番向こう側に居たよ。」と声をかけたところ、次の瞬間、ばさーっ!と羽根を広げたのでビックリした。真っ黒ではなくて、少し紫がかっていて綺麗な羽根だった。案外大きいのね。
2人が出会えると良いなあ。
水鳥たちと共に大きく深呼吸した春の一日だった。