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治療終了
昨年の秋の終わりに始まった猫のブルーノ君の闘病。病名は絶望的なFIPというものだった。
この話はもう何度か書いたのだけど、そこから一週間レムデシビルの静脈点滴に通った。
予定では次の一週間は同薬の皮下点滴予定だったのだけど、効き目が良かったのでこれを省いて、そこからは飲み薬に変わった。何十日飲み続けたのだろう。
まだ子猫なのにこんなに長いこと抗ウイルス薬を飲み続けて大丈夫なのか?と心配だった。ステロイドも最初の20日間くらいは一緒に飲んでいた。
でも、こちら人間の治療は何万通り見て来ても、猫の治療は初めてなので、先生の言う通りに頑張った。生憎、薬を上手に飲める子ではなかったので最初は大変だったけれど、毎日『ごめんね。』と謝罪しつつ、その小さな牙が見える可愛い口に薬を放り込み続けた。
約10日ほど前、とうとうその薬も終了となった。
そして今日はいよいよ、久しぶりの採血とエコーの日だった。
本当は途中経過で何度もするべきらしいのだけど、運よく早期に薬効が出て、よく食べ、良く遊び、よく眠り、よく甘える活動性が出て来ていたので「まあ、大丈夫でしょう。この次にしましょう。」と言う先生は、多分痛いことをするのが嫌いだ。怖がらせるのも嫌いだった。多分、この人、人間より動物が好き。
採血結果は数十分で出た。まるっきり人間と同じ項目。
結果は採血もエコーも極めて健康。
いつぞやはガリガリに痩せて黄疸が出て貧血もあったのに、今はふくふくと太った。
そして、これもいつぞやと同じ。いや、薬効が出始めた頃の先生のあの顔。
あの時の何倍もの笑顔。嬉しそうな顔。
『早期に治療に踏み切る決断をして下さったから・・・。ダメだった子もいるんですよ。』と、何度もキャリーの中のブルーノ君を覗きつつ話してくれる。
視線がそこから離れないので、途中、先生からブルーノ君が見えやすいように台の上に置いて話を聴いた。
今はこの薬は海外から取り寄せなくてはならなくて、一時は中国産の偽物も流通していたりもした。
でも、うちのブルーノ君のような子が増えて、FIPが必ずしも死の病気ではないと認知されれば、需要が増える。需要が増えれば薬価もきっと下がって行く。
今は保険を使っても我ら一般市民からは目玉が飛び出るような費用がかかる。でも、需要が増えれば・・・。
先生の話を聴きながら色んなことを思っていたら、キャリーの中のブルーノとブランカ(彼女の場合、単に爪切りに連れて来たのだけど)が一緒になって先生の話を聴いていた。
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ボンビーになってしまった私たち。でも、今夜、伸び伸びとした猫たちが居る。猫だけではダメなのだ。ブランカとブルーノじゃないと。だからこれは、何億もの価値がある素敵な夜だと思う。
仕事があって働ける身体があって、出会いがあって、運があって・・・、これは海より深く感謝する夜なのだと思う。