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散歩と啓示とホットケーキ
いくらコロナ渦だと言えど、仕事オンリーでは疲弊することは身に染みて理解した。
それで最近よく散歩なんてものをする。
5~6年前まで散歩することに魅力をまったく感じられなかった。極端に言えば旅をするにしても、出来れば何かのセミナーを受けるために地方に行くとか、何かしら目的が欲しいと思うような人間だった。
しかし、Kちゃんと出会ってからは歩くことの楽しさを知った。そしてスッピンで散歩をするようになったのもこの時代からだった。
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今日はと言うと、散歩から帰って来た後、寝転んでWeb漫画を読んでいた。
少し前まで山岸涼子さんの漫画はWeb漫画のどこを探しても無くて、検索している過程で、何故電子書籍にしないのか?という理由も知った。
が、今日、ある作品を見つけて、『あ。Webでも読めるようになりましたか。』と嬉しく思い、読みふけった。
昔は彼女が描く怪談に惹かれた。それは、その描写が、自分が幼い頃から体験した感覚とよく似ていたからだった。しかし、これもどこかの解説で読んだのだけど、山岸先生は特にそういった体験をなさったわけではなく、全くの創作というのだからビックリだ。これが創作出来る人の才、想像力というものか。
今日読んだのは、怪談ではなく『レベレーション(啓示)』。かのジャンヌダルクの物語だ。一気読みした。
結末は火刑に処されると分かっているので、私のように結果重視の怠け者は、読んでどうする?と思ってしまうのだが、そんな人間ですらラストまで持って行くのが、この方の凄いところ。
そして、この手のものでは初めて、最後まで読んで良かったなあと思った。
宗教的な観点だけに留まらない。精一杯生きることの素晴らしさと尊さを感じさせられた。
何事も、プロセスが重要だ。
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と、そう思ったところで、眠りに落ちて、目覚めた午後にホットケーキを焼いて喜んで貰ったり。
多分私はその日まで、こうしてホットケーキを焼いたり、夕飯にパエリアを作ったり、頑張って疲れを溜めてはまた眠り、精一杯考えて、色んな選択をしていくだろう。
自分が好きな人との時間を選び、笑ったり泣いたりで仕事をしたり遊んだり。
いつかこの肉体から解放されるその日まで、そんなプロセスを丁寧に過ごして行くのだろう。一秒一秒を自分自身のままで。