また会えたね
昔、友人の家に居た猫は「たまにしか会えない。」と言っていた。なんだ、それ。飼っている意味あるのか?と思ったものだが、何度も遊びに行くうちに、「なるほどー。これはこれでいいなー。」と思った。
まったく接触がないわけではないし、置いておいた餌を食べた形跡があった。時折気まぐれで客である私の膝にも来てくれた。
一昨日、保護猫のシェルターから連れ帰ったブランカも、人とあまり接触しないタイプなのかも知れないな、それでなくても抱っこされるのが嫌いな子っているもんな。
白ちゃんとそっくりだからと言ってあまりしつこくしないでおこう。ブランカらしく暮らして貰おう。
そう思っていたのだけど、昨夜、突然ゴロゴロ言いつつ甘えて来て、3時間ほどに渡って「遊んで!」と絡んで来たし、一緒に眠った。
そして今夜は初めてその声を聴いた。
シェルターから山の手線を乗り継いで連れて帰って来る途中、気を付けていてもキャリーが相当揺れていたというのに一声も発しなかった。
昨夜からゴロゴロと喉を鳴らすようになったけど、この子は声帯が傷ついて声が出ないのかな?とさえ思っていた。
ところが、二日目の今夜は「にゃっ!にゃっ!にゃにゃっ!」とよく喋る。それも高くて不思議な声で。
餌も走り寄って来て食べてくれた。水も飲んだ。というか、油断していたらテーブルの上のハーブティーを飲んでしまった。このマグカップに顔を突っ込んだり、手で救って飲む様子。白ちゃんもやっていた。白ちゃんの場合は珈琲党だったけど。
今夜に至ってはさすが月齢5ヶ月。走り回って壁に立てかけておいた大きめの絵画をバッターン!と倒してくれた。
危険なのでさっそく片づけた。
遊ぶようになったし食べるし飲むし、声も聴いた。
そう言えば、以前暮らした白ちゃんと一緒に昼寝をしている時に、生涯で初めて飼った犬の夢を見た。真っ白な犬で名前をチロと言った。目覚めたとき私は「あ!」と声を出した。白ちゃんはチロの生まれ変わりだ!と思ったのだ。白ちゃんも同時に目を覚まし私を見詰めていた。
この思い込みがもしも現実だとすると、一つの魂が人生で3度もやって来てくれたことになる。
嘘か誠かそんなことはどうでもいい。
今は夢のように可愛い存在に感謝しかない。