秒針
数日前、Kちゃんからのプレゼントが届いた。が、その時計のベルトのサイズを調節して貰わなければならない。
「でも、高級時計だとベルトの調節だけで何万円もかかるんだって。何とかしてネットで安いところを見つけるね。」とのこと。
何故に調節まで無料でやってくれる正規店で買わなかったのだろう?と思ったのだが、私が好きそうな時計が、今や正規店では売り切れで、日本で置いてあるお店が札幌と大阪と中野の3店舗にしかなかったのだと言う。
しかも、迷わず「近場の中野でしょ!」と、そう思った時には既にSOLD OUTだったそうだ。
かくして、時計は大阪のとあるショップから届いた。
そして、ベルトの調節をしてくれそうなところは、どこのお店も数千円から数万円と書いてあるそうだが、一生懸命探してくれる様子を見ていて忍びなくなり、「ベルト調節代くらい自分で払います。」と言って、これまた近場の荻窪のショップに行くことにした。
その名も時計の病院。
何故にここにしたのか?というと、発想が面白いの一言。
脳神経外科、心臓血管外科、整形外科、美容外科・・・というように、時計を人体に例えて扱っているのね。神経内科までありますよ。凄い。なんか、大切にしてくれそう。
というわけで、二人でここにお散歩へ出かけ、例のブツを持ち込んだ。
ついでに、今まで私が使っていたタグホイヤーをKちゃんが使いたいと言うので、こちらの電池交換もお願いすることにした。
入院も出来るらしい。
やっぱりお預けする・・・つまりは入院かな?
と思いきや、「いえ、30分で出来ますよ。」とのこと。「というか、ベルトのコマ取りは5分もかからないんだけど、こっちのホイヤーの方の電池交換して磨いたりで30分。」
早い。今日から着けられるなんて嬉しすぎる。
しかも、お値段は如何ほどか?お伺いしたところ、「550円になります。」
え?何と仰いました?550円?
何万円もするというあの情報は何だったんだろ。
「でも、ホイヤーの電池交換とクリーニングの方は2500円しちゃうのね。ごめんなさいね。」。
とんでもない。何てありがたい話なのでしょう。
でも、こんな値段でこのお店、やっていけるのかな?と思いきや、大きなお世話だった。何店舗もあるらしい。今度から時計で困ることがあったらこのお店にしよう。
それはさておき、主にジュエリーメーカーとして有名な会社の時計だが、デザインはどれも素敵。でも何故今まで着けなかったのか?というと、私にとっては値段が張るという理由の他に、もっと重要な事があった。
秒針が無い商品がほとんどだったからだ。ジュエリーメーカーだからか?
オシャレに飾るだけだから秒針は要らないのかも知れない。はたまたお金持ちの方々は時間などに、特に秒数などには縛られないので、必要なかったのかも知れない。
でも、私は秒が大切だ。脈拍や呼吸数を測る仕事だから・・・と言えばそれまでだけど、何だかそれだけではない気がする。
静かな夜に今しがた、夜勤へ行った人のことを思う。あなたとは、もう何年何か月、何秒いっしょに居ることが出来たのでしょう?
時計は買えるけれど、この日々、この瞬間はお金では買えない。
これからも沢山の時を共に刻んで行きたい。
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