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まさかのセ〇ンナウ
病床数を確保するために入院を長引かせる病院。まあ、ざらに在る。
でも、意思表示がしにくい高齢者や、毎日働いてへとへとの家族につけいられては困る。
治療がとっくに終わっている患者さんを退院させてくれるようにと施設長がプッシュしてくれて、やっと帰って来れたのだが。
IVHが入れられている。普通胃婁だのIVHだのを入れる場合は施設にも知らせるべきなのだけど、こともあろうか、事態はもっと最悪で療養型病棟の方へ勝手に移動させていた。
『食べられないんだからしょうがないでしょう。』という決まり文句。そのまま抱え込もうとしたのだな。
その状態で施設長が退院させてくれたのだけど、さて、どうしよう。電話で話を聴いた時は自信がなかった。(いつも自分が正しいと思っていることなのに。)
元気な状態で入院したが、今や高カロリー輸液に繋がれて、食べれるのは昼食に出るソフト食の半分弱くらいで、痰も終始絡んでガラガラだという。
そんな状況を休日の電話で聞かされて、大丈夫だろうか?と自信がなくなったのだ。
しかし、翌朝になり出勤すると自動装置が働くもので、悩みゼロ。この状態の人を如何に元の本人のように戻すか?その方法だけを考える。
まずは、色々と話しかけるのだ。とにかく話す。
最初はボーっとしているけれど、段々言葉を発するようになってきて、昼食のゼリー状のご飯が出て来ると『そんなものは食べれない。』とハッキリ意思表示した。
嚥下力が落ちているからゼリー食が出されているわけだが、余計に食べたくない見てくれとなっているので無理もない。
『何か食べないと、いつまでも点滴が抜けないし、死んじゃうでしょ?いったい何が食べたいの?』
すると、病院では意識レベルは極めて低く昏睡状態の方が長いと聞いていたその人が、きっぱり答えた。
『羊羹!』
・・・・・・・・・・・・・。どうしよ。羊羹なんて無い。それにほんとに食べれるのか?食べれたとしても持ち場を離れるわけにはいかない。羊羹を買いに行けないし、他のスタッフだって大忙し。
短い思案の末、私は初めて施設にセブンナウ!を使って、羊羹やら梅干しやらふりかけやら、本人が食べたいと言うものを注文した。
コンビニ店員も他のスタッフもビックリ。
ところが。
食べたんだな。これが。
小さくティースプーンで刻んだ羊羹をしっかりと咀嚼して美味しそうに、しかも!3本も食べた。(もちろん傍らには吸引器があるよ。万が一のためにね。)
しめて450キロカロリーである。むせ込みなし。
何故だか痰がらみも突然無くなった。
よーし、よしよーし!
その後、以前のその人のように、廊下に罵声が響き渡っていた。
『おーーーーい!!!誰か!羊羹持って来いーー!この野郎!』と。
よし!いいぞ!あなたらしいぞ!
ちょっと、一日二回も施設からセブンナウはきついから、明日また買って来るよ。
そう説明したのだった。
明日は、例の医師が『食べれないんだから病院へ返せ。』と言うので話し合いの予定だったのだが、会議の必要はなし。
食べれるから必要なし。
『そんなわけないでしょ?!意識なかったんだから!一口食べては痰ガラガラだったんだから!』と言われることが予想されるが。
そちらの病院の世界では、全ての人がそうなるかも知れないが。
もうほんとに縁を切らねばなあ・・・と思わされる病院、医師、看護師。
自分一人の問題ではないので今すぐそうも行かないが、とりあえず今回は言おう。あっち行け。(心の中で)