今日もね
一夜明けて、昨日のAさんは、朝食を召し上がらなかったとのこと。
血圧を測りながら胸が苦しくなって「言葉もない・・・」と声に出た。そしてすぐ、「あ。喋ってるか。言葉出しているよね。うるさいよね。」と慌てて言うと、爆笑された。
え?早いな。
昨日奥様にお別れを告げて来たばかりなのに。
でも、まだまだ何となくお元気がない。あたりまえか。
今日は入浴も拒否されるかな?と思った。結構ガタイが良いお爺ちゃんなので怒っているときは怖い。手を振り上げたりもする。しかし、予想とは裏腹にニコニコして頷きつつ歩き出してくれた。
ニコニコ、ニコニコして、時々、多分本人も知らぬ間に涙が零れている。その度に黙って手を握るのだが、段々段々忙しくなって来ると、見かける度に急いで手を握ろうとして、しかし、先に進まなければならなくて、タッチアンドゴーのようなことになっている。
それもツボにはまるらしく、本当によく笑っておられた。
私たちは生きて行かなければならない。ね?ね?と言う押し付けを、彼は笑って受け止めてくれる。