遠く離れて行く
二日連続病院に入り浸り。昨日とはまた別のご利用者様を連れて。
しかし、今日は入院させて貰えなかった。
なんだようっ!と言いたいところだけど、冷静に話を聴いてみると、もしかしたら外来通院の治療でも大丈夫なレベルだとのこと。
油断するつもりはないけれど、少しだけ安心。
それは良いのだけど、大病院だ。名物先生が幾人か居るし、専門外来も他分野に渡る。そりゃ繁盛するはずだわ。でも、通院する側としては混み過ぎて大変。
やっと外来点滴が終わった頃、施設長が心配して電話をかけて来る。あまりに帰りが遅いからだ。
『あとはお会計だけです。やっとここまで来ました。』と言った時には午後3時。
朝から居るわけだからさすがに電話も来る。
『じゃあ、早く帰って来て休憩して。お会計は〇〇さんに行かせるから!』
割と近い距離にあるので歩いて帰って来れるのだが、昔ながらのデカい車椅子が重くて重くて。
長時間外来で待たされることを見越してなるべく楽な形状のものを選んだのだけど道路を行き来するには重かった。
それをリクライニングさせたまま進むものだから、私はスクワット状態で全身したり下がったり回ったりしている。もしかしたら腰やったかも。
もしも街の往来で、わざわざ車椅子を最大限にリクライニングさせてガニ股で進んでいく白衣のおばさんが居たら、それは私です。
大変な日々が過ぎて行く。ずる休みしている人はまた来ない。
良いんだか悪いんだか分からないけれど、ジンクスとしては、辛いときにも思い切ると、もっと良いことが待っている。大人になってもダメなものはダメだ。いや、大人だからこそ、皆が辛いときに逃げている人はやはりダメなのだ。
その通説が約束を守るかのように色んなことが正されてくると、口だけが上手い人、あるいは被害妄想が強い人の表情が変わって行く。
人に見せるためだけの歪んだ笑顔や、人に聞かせるためだけの高笑いが消えて行く。
もうその自然な流れを止めようとするのは止めよう。
その人たちは幼児が立てるような浅瀬で溺れたふりをしているだけなので。
本当の海原を泳ぐ人たちと話すだけで人生の時間はいっぱいいっぱいだ。