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神様 あの“運命の再会”なんやったんですか?
ドラマや映画で、しばしば描かれる“運命の再会”。ロマンチックだったり、主人公のターニングポイントであることが多いですよね。では、現実世界で運命の再会を果たした場合、誰が“その意味”を教えてくれるのでしょうか。
〈これは、全て実話です。〉
4年前、初めて家族でハワイに行った時に日本からウクレレを持って行った。
日本で買ったウクレレ をハワイに持っていくという逆輸入スタイルは、今思うと結構やばい。
現地でウクレレ買う人は結構おると思うけど、日本から飛行機に乗せてハワイに持っていくのは少数派だろう。
その時は、ウクレレを買って2ヶ月とかしか経ってなかったから、簡単な曲を3曲くらい覚えて、いざ、本場ハワイへ道場破り!みたいな感じの気持ち。
ハワイの街には、ウクレレ持ってる人いっぱいおるのかなと思ってたけど、道で弾いてるのも、ビーチで弾いてるのも、気づいたら自分だけだった。
(ただの浮かれた観光客になった僕↓)
ワイキキビーチに到着後、持参したゴザを敷いて、覚えたての「海の声」を弾いてみた。↓
自分の中では、それがハワイを楽しむ人の理想のスタイルだった訳で、いい感じになると思っていたけれど、実際は、世界中の旅行客に目の前を横切られ、冷たい視線を浴びせられた。
しかも、波の音って結構デカいんだね。ウクレレの音が波の音に全部かき消されて、自分にもかろうじて聞こえるか聞こえないかぐらいだった。
そんな感じで、思っていたより早めに飽きて、そろそろ片付けようかなと思っていたら1人の男に声をかけられた。
「Hey、お前良いもの持ってるな」(もちろん英語)
そう言って、スマホを持ってこちらに近づいてきたので、一緒に写真を撮りたいのかな、と直感で思った。
その男は、見た目がイタリア人っぽい感じで、僕にささっと近づき、ウクレレに手を伸ばした。
そして、こちらに一切の確認をとることもなく、ウクレレを僕の手から奪いとり、代わりに手に持っていた自分の携帯を差し出した。
ウクレレを持っている俺を撮れと言うのだ。
なんと、傲慢で無礼なやつだ と思ったが、ハワイの穏やかな風が僕の心をすぐに沈めてくれたので、素直に撮ってあげることにした。
その時の様子(姉撮影)↓
そして、撮れた写真を見せたら、自分のウクレレの持ち方が気にいらなかったのか、何度か撮り直しを要求してきた。
僕ら家族は、ここまで滞りなく進んでいたハワイ旅行が、このイタリア人で初めて滞ったことに戸惑いを隠せなかった。
ウチの父親は、大阪で生まれ育ち、1円単位での値切りに生きがいを持つようなコテコテ大阪人なのだが、そのイタリア人の図々しさには終始押され気味だった。
何度か撮ってあげると、そのイタリア人は満足そうだった。
最後、一緒に2人で写真を撮った↓
そうして、満足したイタリア人は、僕らの元を去っていった。
彼が去った後、僕たち家族は、あれが世界レベルの厚かましさなのだと妙に感心させられていた。そして、大阪レベルの厚かましさでは、世界では戦えないことを僕らは知ったのだった。
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日本へ帰国した僕は、東京でまた、いつもの毎日を送っていた。
ハワイ旅行の余韻もすっかり消えたある日、僕はアルバイト先のCoCo壱にいた。
僕は宅配を担当していたので、カレーを積んだ自転車で住宅街を回っていた。
すると、どうやら外国人が日本人に道を聞いている。道を聞かれた日本人が分からないと言っても、しつこくその外国人は話しかけている。
ん?
あれ?
あの声、そして、あの帽子!
そして、なんと言ってもあの図々しさ!!!!!!!
あのイタリア人や!!!
本当に信じられなかったのだが、東京の住宅街で、そのイタリア人と僕は運命的に再会したのだ。
僕は、彼に声をかけた。
「お前!覚えてる?ワイキキでウクレレの写真撮ったやろ!?」
「....!? Oh.... sorry.......」
日本でいきなり、ものすごく興奮したカレー屋の宅配員に話しかけられたのが怖かったのか、あのイタリア人でも、さすがに血の気が引いて、表情がこわばっていた。
どうやら、しっくりきていない彼のために、僕は急いでスマホの写真フォルダーをさかのぼった。
2人で撮った写真を見せれば、すぐ思い出せると思ったからだ。
そして、2人で撮った写真を見せると、ゆっくりと彼の表情が明るくなり、彼の顔に血の気が戻るのがはっきりと分かった。
「オーマイガー!!」
イタリア人の声が住宅街に響く。
彼もスマホの写真フォルダーを開きながら、「俺もお前との写真がスマホに入っているぞ!!」と興奮しながら言った。
そして、そこには、間違いなく、笑顔でウクレレを持っている僕が確認できた。
「もう一回ここでもツーショット撮るぞ!」と僕が言うと、彼も笑顔で「そうしよう」と言い、写真を撮った。
どうやら、彼は一人旅中で、ハワイの後はアジアを旅しているようだった。
でも、どうして、こんな住宅街にいたのか僕は不思議に思った。
聞くと、この近くにイタリア家庭料理屋さんがあるから、食べたくなって、探して来たのだと言う。
外国人観光客など見たことない場所だったので、こんな場所で、僕らが再会するのって、どんな確率!?と考えながら、彼の話を聞いていたら、自分がカレーの宅配中であることを思い出した。
「ごめん。今仕事中だから、そろそろ行かないと」 と彼に伝えると、
そのイタリア家庭料理屋が見つからないから、案内しろと僕の腕を掴んできた。めっちゃ厚かまし!!!!
僕は、断りたかったけれど、昔、恩師から言われた、ある言葉を思い出した。
“自分に必要な人には、必要なタイミングで、神様が絶対に引き会わせてくれる。”
その時の僕には、こんな不思議な再会をするのは、神様がめちゃくちゃ強い力を使って引き会わせたとしか思えなかった。
本当にそうとしか思えないぐらい、不自然で、奇跡的な“運命の再会”だった。
少し悩んだ僕は、お店まで案内してあげることにした。
お店に向かうまでの間も、この再会の持つ意味を僕は必死に考えた。
でも、ずっと「なんでこんな奴に、また再会させるの?神様!」という疑問で頭がいっぱいだった。
結局、彼が探していた、そのお店は、定休日だったので、店の前で僕らはあっさりとバイバイした。
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あの日からもう4年が経った。
今でも、たまに、あのイタリア人との運命的再会の意味を考える時がある。この先、どこかで、あの再会の意味を知る時が来るのだろうか。
それとも、もうあの再会で、人生がすでに変わっているのかも?
んーーーーー。分からん。。。
神様に問いたい。
あれなんやったんですか?
終わり