063_記事使用_

フリーランスイラストレーター うのき - インタビュー #02|turning point

今回お話を伺った方
うのきさん:フリーランスのイラストレーター

***

<うのきさんのターニングポイント>
5、6歳 親や友達に絵を褒められた
20歳 似顔絵を描く仕事で、初めて絵でお金を得る
28歳 勤めていた会社を辞め、フリーランスに
29歳 インスタグラム開始

***

ニシグチさん:まず、ご出身は・・?

うのきさん:福井県です。地元はちょうど真ん中くらいにある町で、海も山もある田舎ですね。そこで高校卒業まで過ごしました。

ニシグチ:そうなんですね。高校時代はどんな感じだったんですか?

うのきさん:高校は工業高校に通っていました。
小中学生の時はずっとバレーボールをやっていて、結構強かったんで高校はスポーツ推薦で入ったんです。とにかく勉強したくなくて、選択肢がそれしかありませんでした。で、高校でも引き続きバレーはやっていましたが、そこまで強い学校じゃなかったですし、熱中していたわけでもなくて。
建築学科だったんですけど、授業中に製図台に落書きして「成績下げるぞ」と怒られたり。そんな感じで大したエピソードは無いです(笑)

ニシグチ:製図台に絵・・ってことはすでに描いていたんですね!
昔から絵は好きだったんですか?

うのきさん:はい、幼稚園の頃から描いていました。
と言ってもドラゴンボールの模写とかですけど(笑)それで褒められて・・あ!
これターニングポイントですね。親とか友達から褒められたのがデカかったです。

ニシグチ:ターニングポイント、早っ!!
でもドラゴンボールの模写はあるあるですね。僕も描いてましたもん。

うのき:ですよね。プリントの裏とかに描いていました。
で、ある時に僕が描いた絵を友達が「くれよ」と言い出して、数名で取り合いになって破れたんですよ!その時に初めて人に殺意を覚えたと言うか(笑)そこまで感情を動かされたのが初めてだったので、絵は自分にとって特別なものなんだと気づきました。

ニシグチ:おぉ〜、そこで気づいたわけですね。
話が前後しますけど、高校卒業後はイラストの道に進んだんですか?

うのき:そうですね。地元だと高校卒業後は就職する人が多いんですけど、ずっと絵が好きだったのでそっちに進みたいと思って。大阪デザイナー専門学校のイラストレーション学科に入りました。専門学校時代は、学ぶというよりは友達を作って自分の視点の幅を広げるというイメージで・・つまりは遊んでましたね。

ニシグチ:あぁ〜、そうなりますよね。僕も大学時代は遊んでばっかりでしたもん。専門学校を出てからはどうしたんですか?

うのきさん:何も考えずにフリーターになりました。バイトをしながら絵を描こう、くらいの感じで。卒業してすぐにアパレル系の店でバイトしたんですけど、すぐやめちゃって・・お金が入って来ないと暮らしていけないし、動かないとお金は入らないし、と悩みました。なんか、僕って追い詰められないと本気で考えない人間なんですよ(笑)そうなってから気づくというか。

それで、卒業した専門学校に行って先生に「なんでもいいから絵を描く仕事をください」とお願いしまして。いただいたのが似顔絵を描く仕事でした。月に2、3回土日にデパートに行って似顔絵を描いていたんです。当然それだけでは食べていけないので、プールの監視員のバイトとかをしながら。未経験だったけど、どうにかなると思ってやっていました。今思うとかなり下手くそだったし、よくやってたなとは思いますけど・・。

ニシグチ:いや、皆最初はそんなもんでしょ(笑)
楽しかったですか?似顔絵の仕事は。

うのきさん:楽しかったです!!絵でお金を得られるのが嬉しかったんですよね。昔、製図台に描いて怒られてたのが、お金をもらえるだなんて・・!と(笑)
これも1つのターニングポイントと言えますね。

でも、やっぱりお金はないし、親も心配するしで印刷会社に就職したんですよ。
同人誌専門の印刷会社で。漫画とかを作る現場にいたら何か身につくのでは?と思って入って、印刷工をやっていました。

ニシグチ:え!そうなんですね。何歳からどれくらい勤めたんですか?

うのきさん:22歳から6年間勤めました。
その間に慣れて楽しくなって来たんですけど、ふと「このまま定年を迎えていいのかな?いや、やっぱり絵を描きたいな」とまた思うわけですよ。

ニシグチ:働いている間は絵の活動はしてなかったんですか?

うのき:働き出して3年目くらいからはやっていました。知り合いのカフェで個展をさせてもらったり、ちょくちょくグループ展に参加したり。展示で繋がりが増えていって、イベントのライブペイントに呼ばれたりもしましたね。

で、28歳の時にこのまま30歳を迎えたらやばい!と感じて「イラストで食っていきたいんです」と言って会社を辞めました。周りには「そんなんでよく辞めるな」と言われたけど、僕自身はどうにかなるんじゃない?って感じで。会社勤めで時間も限られてるし、制限が外れたらもっとやれるはず・・と思い込んでいたんですよね。

ニシグチ:そこからフリーランスになったんですね。
どういう活動から始めていったんですか?

うのき:半年くらい家に引きこもって漫画を描いていました。
ちゃんとした長編の漫画を描きたくて、貯金を切り崩して描いていたんですが描けなくて・・。自分は時間があればすごいものが描けると思っていたけど、時間はあるのに描けない・・何してるんだろう?と自暴自棄になりかけました。

でもイラストの無料コンペにはちょこちょこ出していて、結構引っかかっていたんです。だから漫画じゃなくてイラスト(1枚絵)だったらいけるのでは?と考えて、ポートフォリオを作ってデザイン事務所、出版社などに売り込みました。ただ、今思えばその時は自分が何のイラストをベースにするかも決めていなかったし、何でも描けるを売りにしていて。それが中途半端だったなぁと。営業ではほとんど仕事につながらなかったです。

だんだんお金も尽きて来たので、自転車便の仕事をしながらブログを描いていたら、それを見てくれた出版社の方からお仕事をいただきました。それが最初のお仕事でしたね。あと、インスタグラムが流行り出した頃だったので、1日3回更新すると決めて色々載せていきました。それが29歳の頃で・・インスタを始めたというのもターニングポイントです。

↓まるとしっぽ↓

ニシグチ:お、それも大きかったんですね。毎日更新するためのコツってありますか?

うのき:まず、白黒でパパっと描ける絵にしました。ネタ重視で。
クオリティを上げすぎるとしんどくなるので、そうならないようにしています。じわじわとフォロワーが増え(現在3万2千人)、たまにインスタから仕事もいただいたり。PRの仕事って世界観が崩れるかも・・と思って基本的には断っているんですけど、最近はそれを逆手に取ってネタ漫画を作りました(笑)。

ニシグチ:へぇ〜、それいいですねぇ。
ツイッターでも「SNS海水浴」がバズってましたよね。

うのき:ありがとうございます。
あれも最初は違うタイトルで上げていてパッとしなかったんですけど、タイトルを変えて上げ直したら、反応が良くなりました。導入をちゃんとしなきゃいけないという勉強になりましたね。

↓SNS海水浴↓

ツイッターは「脳メモ」感覚です。発想のきっかけを投げてるだけで。ウケると嬉しいですけど、まだよくわからなくて。

ニシグチ:なるほど〜。今度また教えますよ(笑)
話は変わって、「隠れ大阪人の見つけ方」という本を作る時にイラストを描いてもらって、初めて一緒にお仕事したじゃないですか。その時のうのきさんの対応が本当に素晴らしかったなぁと思って。そういう仕事の仕方って心がけてたりするんですか?

うのき:そうですね〜、お互いに気持ちよく仕事ができるのが大事だと思っています。理解しあって主張できる関係性を築きたい。そのための動き方としてラフも連絡も早くしています。行動で示さないと意味がないじゃないですか。

「隠れ大阪人の見つけ方」の時はチームでやっていたわけですし、皆さんの熱も伝わって来たので、それに応えたいという気持ちでやっていました。企画側の気持ちを考えれば、早く連絡した方が楽になるし嬉しいに決まってますよね!
あとは僕、やっぱり褒められたいんですよ!(笑)もともと幼稚園の時に絵を褒められたのが出発点ですし。なんでも褒められたくて頑張っちゃう。

編集の人に「早いっすね」「今回も良いですね〜」とか言われると嬉しいんです!そういう一言を添えてくれるような人ってコミュニケーション能力が高くて気持ちよく仕事ができるし、自分もそうありたいです。

ニシグチ:なるほど〜。素晴らしい考えですね!本当に助かりましたもん。
そんなうのきさんが、活動する上で参考にしている人や尊敬している人はいますか?

うのき:かなざわまことさんです。「おひげのポン」というキャラクターを展開されていて、色々勉強させてもらっています。かなざわさんは原宿の大きな画廊で個展をされたり、グッズ展開の規模も個人で作っているとは思えないくらいすごいんです。NHKと仕事をされていたり。SNSとかじゃなく、自分の足で動いてリアルに色々な活動をされているんです。なので、僕も今年は原点に戻って自分の足で動いて活動していきたいと思っています。クリエイターエキスポもかなざわさんの勧めで出すことにしましたし!

今後はもっと外に出て、いろいろな人と対話していきたいですね。性格的にリアルに接して人間関係を築いて仕事をするのが会っている気がするので。あと、SNSでフォロワーさんが何千人、何万人という数字を見ても可視化しないとわからないじゃないですか。でも2年前に東京で個展をした時に全国からたくさんの方が来てくれて、本当にいるんだ!って思いました。今日身につけているもの(ミサンガと服につけている飾り)も来てくれた人がくれたものなんです。そういう人たちを大切にしていきたいですし、直接会いたいので、これからはどんどん外に出ていきますよー!!

ニシグチ:まさに同じこと考えてますわ。リアルな活動をしていきたいですよね。
いやぁ、聞き応えがありました。ありがとうございました!!

うのきさんは4/24~29まで中崎町にあるイロリ村で個展予定です。
「まるとしっぽ」 の4コマ漫画や未発表の原画を多数展示、そしてオリジナルグッズも盛り沢山! 「ぜひまるとしっぽの日常をのぞきに来てください」とのことです。皆さま、ぜひ!

***

話を聞いた人:上司ニシグチ
撮影&ライティング:UNO
バナーデザイン&記事編集:秋山楓
撮影場所:ひらば

***

〈取材を終えて〉
うのきさんとは、書籍「隠れ大阪人の見つけ方」のお仕事でご一緒して以来、仲良くさせてもらっているので、終始楽しくインタビューをさせていただくことができました。インタビュー終わりに「今でも毎日描いてる、やっぱり絵を描くのが好きなんで描いちゃうんですよね」と話していた、うのきさんの無邪気な笑顔が今でも忘れられないでいます。"好きこそものの上手なれ"とは、まさにこういうこと。これからの時代「いかに"好き"を仕事にすることができるか」がポイントになってくると思いますが、改めてうのきさんに答えを教えてもらった気がします。うのきさん、ありがとうございました。

いいなと思ったら応援しよう!