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「「自転車」という「車」中心から「人」中心の自転車政策への転換をさぐる:第9回 自転車利用環境向上会議inさいたまレポートその1

 自転車政策に関する学術会議である「自転車利用環境向上会議」。第9回を迎える本会議にPlat Fukuoka cyclingは、これまでとこれからの活動と題してポスターセッション展示を行いました。

 レポートと称していますが、今後の自転車をめぐる環境がどのように変化し、考え動かなければならないと思うところを紹介いたします。

ポストコロナで顕在化する日本と海外都市の自転車の利用環境の差

 会議1日目は基調講演とパネルディスカッションが行われてました。日本側からは国土交通省自転車活用推進本部、警視庁、ホストシティのさいたま市のプレゼンテーションがあり、海外よりオランダとフランスのパリからのプレゼンテーションがありました。

「人」が中心の都市政策として自転車インフラの改革が進んだヨーロッパ

 海外の先進事例として、長年の取り組みで自転車大国となったオランダと、ここ数年で自転車インフラが充実したフランスのパリ市の紹介がありました。
 オランダがいまの自転車政策で世界をリードするようになったきっかけは、エネルギー危機に加え交通事故の増加、とりわけ子どもの死亡事故増加に対する市民の反発でした。
 そのオランダの歴史は映画「Together we cycle」で学ぶことができます。この映画は広く見ていただきたく、字幕付きでの放映を企画したいと思っています。

 フランスのパリ市は、かつてあまりに危険な道路状況や盗難多発もあり誰もが自転車に乗ることをやめてしまい(コロナ前の自転車シェアは3%)、街から自転車が消えたともと言われまさした。しかし、パリ市は現アンヌ・イダルゴ市長のもと、シェアサイクルの導入、セーヌ河の河川敷のバイパスのサイクルルート化と公園化に代表される自転車道ネットワークの構築が進んでいます。
 パリ市のいまの動きについては、英国よりGlobal Researchさんのレポートもご覧ください。

 いずれも「車」中心から「人」中心の都市政策を打つに際し、自転車インフラ整備にいたっていることを実感しました。

「自転車」という「車」中心で進む日本

 会議開催前日、Johnan 城南 Rottenさんのツイートが忘れない中、本会議に参加してきました。

 ここで日本の自転車インフラの賛否には言及しませんが、オランダとフランスとの決定的な思想の違いとして言えるは、日本の自転車政策があくまで、「自転車」という「車」中心での制度設計となっていることです。

 自転車の走行は原則「車道」であること、ヘルメット着用の努力義務、自転車保険加入、そして2022年11月から強化されるという取締りは、自転車という「人」に近いモビリティーをあくまで「車」側におき、高速(時速60キロ未満)で走る自動車と走れという考えです。

 特に先に挙げた自転車は原則「車道」という考え方について、「車道サイクリング(road cycling)」と称してジョン・プーカー、ラルフ・ビューラー氏は論文「少数のための、あるいは全員のためのサイクリング」にて次のように指摘しています。

車道サイクリングでは、サイクリストは常に交通状況を把握し、後方を気にしながら合図を送り、車線の中での位置や速度を調整し、時には車線を塞いだり譲ったりと、常に交通という「ダンス」に合わせて行動しなければならない。調査によると、多くの人が、たった1つのミスが命取りになりかねないこのようなダンスに参加することに非常に危険を感じているという。このような走行方法を求められると、子どもはもちろん、多くの女性やお年寄りは自転車に乗れなくなっていしまう。一部の特に若い男性の中には、このダンスを刺激的に感じるかもしれないが、大多数の人にとってはストレスであり、やりたくない。アメリカで過去40年間、事実上踏襲されてきた車道サイクリングが、自転車利用率を極端に低くしていると言っても過言ではない。

ジェフ・スペック『ウォーカブルシティ入門-10のステップでつくる歩きたくまちなか』(2022.9、学芸出版社)。本書には、人、自転車、公共交通のための街路デザインのヒントが多く述べられています。本書は別の機会にじっくり精読いたします。

日本にストリートファイトが必要なとき

限られた道路空間をいかに再配分していくかは、大きな課題です。今後、電動キックボード以外にも特定小型原動機付自転車というカテゴリーの自転車相当のモビリティーが法改正で一気に広まる可能性があります。ワクワクする反面、昨今の電動キックボードをめぐる反応から、混乱が予想されますが、ピンチはチャンスです。ただ、実現には様々な苦難(ストリートファイト)が必要です。

福岡市長選が始り、この先4年間で福岡市がどのように変わっていけるか、変えられるリーダーをしっかりと見据えたいと思います。

レポートはその2に続きます◎

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