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今日はハイボールの日 ー 雪村いづみに惚れてまう


ハイボールと合うおつまみは?
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そりゃあもちろん雪村いづみでしょう、おつまみ言うたら失礼やけど。

彼女はご存知、美空ひばり・江利チエミと並ぶ三人娘のひとり。歌がめちゃくちゃ上手い。
美空ひばりは歌謡曲というか流行歌というか、下手したら演歌の人みたいに思われている節もあるが、俺に言わせりゃジャズの人。例えば『A列車で行こう』なんて、ぐいんぐいんスイングしておる。
◆美空ひばり ー Take the A Train(1955)

https://youtu.be/WYr3DBnoy08

強烈。な、凄いだろ? 
もっとビックリするのが、彼女はこのとき17歳だったこと。

江利チエミは日活映画『ジャズ娘誕生』(1957)より。
◆Come on a my house(家へおいでよ)

https://youtu.be/PknHLo3jEFI

彼女は当時、19歳か20歳。
衝撃的である。

さて雪村いづみさん、19歳で吹き込んだのがコレ。
◆Ivory Tower

https://youtu.be/QBHKXqzIu7I

1956年の映画『ロマンス娘』でもプレイ。ピアノは江利チエミ。

https://youtu.be/5ju8wjNIahA

こんなにド凄い歌唱をする雪村いづみはいったい、どんな音楽教育を受けたのか。家計を助けるために新橋のダンスホール・進駐軍相手に歌い、日劇ミュージックホールのオーディションに受かったとはあるが、親父さんが自殺・御母堂も経営していた映画会社が倒産するなど、娘の頃から辛酸を舐めている。だから、まともに音楽学校やら行かれたとは思えない。
ただ、父君が音楽家だったので、親父さんから教えられたか。はたまた耳コピしたものか。

◆月のチャペルで(このとき17歳)

https://youtu.be/XjkV-rYL5Y8


往時の人は早熟というか、若くして大人である。それは歌唱に明らかである。
歌も芝居も、精神性が如実に現れる。俺は常々「役者は人間性だ」、そう主張するものだが、これは意識するとせざるとを問わず、どれだけ培っているかで勝負が決まる。

確かに「時代がちがう」のかもしれない。彼女たちは昭和二桁で、戦争と、敗戦直後の貧しい時代を生き抜いた。そんな経験がある。いっぽう日本は昭和39年の東京オリンピックを境にガラリと変わった。江戸期以前の風景が、徹底的に変わったのは明治維新でも敗戦でもなくて、俺は高度成長期だと思う。
そんな大変革以降日本人は歴史上初めて「等しく食える」ようになったから、いきおい人心も変わる。

某宝塚歌劇のパイセンが言っていた。何の作品だか忘れたが、戦争モノ ー 「誰がために鐘は鳴る」か? ー の演技について

「そりゃあ難しいわよ。だっていまの生徒たち、お腹が空くって意味がわからないもの」

鐘は鳴ってもお腹は鳴らないというね。

パイセンも俺も、すっかり豊かになったジャパンの子。青鼻拭いてる子どもや〝欠食児童〝という言葉こそ知ってるが、それでも。

貧しければいいってもんじゃない。貧困は人類の敵であり、殲滅しなければならない。
ただ、三人娘の生まれ育った時代はみんなが貧しく、だからこそ助け合った。インドをはじめかつての発展途上国もそうだが、こんな民衆のスピリットが彼や彼女の精神性に大きく寄与したのではないか。
※日本ではその貧しさは、仲代達矢さん曰く「米ひとつぶを舐めるほど」。極端な貧困の上での相互扶助だったようだ。なので、助けられたらうれしいし人に同情もできる。苦しみと喜びの大きな振れ幅。

他方、いまの貧しさは「自分だけ」。周りは豊かで、自分だけが貧しい。集めればそんな人々いっぱいいるが、各々が孤立している。だから、ただ苦しい「だけ」。
これではその精神が、豊かになるべくもない。

良い歌い手・良い役者が現れるのは、時代かそれとも個人の心がけか。

三人娘の生き残りは雪村さんのみ。俺は歌手でも役者でもないけれど、せいぜいこんな歌を聴こうと思う。
◆はるかなる山の呼び声 The Call of Farway Hills

https://youtu.be/iEz19udOA5A

ハイボール飲みつつ、ものを思いつつ。

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