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チャーリーワッツが、死んじゃった

◼️ザ・ローリング・ストーンズのチャーリー・ワッツが死去
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=84&from=diary&id=6641576

今朝方目を覚ましたら、とんでもないニュースが飛び込んできた。


ストーンズのドラマー、チャーリー・ワッツさん死去 80歳(AFP=時事) - Yahoo!ニュース
【AFP=時事】(更新)英ロックバンド、ザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)のドラマー、チャーリー・ワッツ(Charlie Watts)さんが24日、死去した。80歳。

news.yahoo.co.jp


訃報を伝える米ABC。

https://youtu.be/B0bQNX4Dbkw

これはとんでもないことである。恐ろしいことである。あり得可ざることである。
なぜというに、ストーンズは死んではならないから。

ストーンズとは、もはや人ではない。ビートルズやキンクスと同じ頃から60年間も第一線でやり続けているということのみならず、彼らの存在はロックンロールそのものであり、ストーンズの死は直ちにロックンロールの死を意味するからだ。

現在はいろんなジャンルの音楽があり、ロックもまた、あるにはある。しかしストーンズこそロックンロールの核であり、彼らがいなくなったらそれはロックと称されはしても、ロックンロールではなくなるだろう。

ネヴィル・ジョージに『リズム&ブルースの死』(早川書房)という名著がある。黒人解放運動の歴史と黒人音楽、その詳細を歴史的・表現の出方で綴ったものだが、皮肉なことに彼らアフリカ系アメリカ人が人権を獲得していくにつれ、リズム&ブルースは死んでいった。そうネヴィル・ジョージは主張する。
リズム&ブルースとは、そしてソウルスピリットの謂である。

彼の主張には賛否両論あろう。ラップ/ヒップホップにはソウルがないのか? 酷暑の下、綿摘みこそさせられなくはなったけど、ブロンクスという黒人ゲットーで生まれ、政治的主張をして止まないヒップホップこそ、現代のソウルではないのか?

ここでストーンズは、かつてのリズム&ブルース、R&Bに当たる。デビュー以来60年、音自体は折々のものを取り入れて変化してはいるけれど、その精神・位置付けはリズム&ブルース。

今の若い人もロック()をやってはいるようだ。しかしそれがロックっぽい、または自称ロックであるとして、果たして「ロック」であるかどうかはストーンズという物差しを当てはめてみると分かる。
必ずしも音のありようだけではない。表現に露出し、あるいは潜むそのスピリットがだ。

黒人音楽ルーツミュージックをキチンと押さえているのか。「叛」はあるのか。
反体制ということだけじゃなく、本当に訴えたい事はあるのか。ラブソングでも何でも。

リズム&ブルースがアメリカ黒人の、ソウルスピリットの物差しであるように、ストーンズはロックの物差しである。だから死んではならない。
物差しが死んだら・・・

「身体は死んでも魂は残る」とは三島由紀夫が自裁するにあたって残した言葉。また、諸人は「ぼくたちの心に、いつまでも生きています」とかヌルいことを言うだろう。
前者はともかく、後者は完全なる嘘である。なぜか。
人は、必ず忘れる。戦争でも恋人でも、絶対に忘れる。時折思い出し「消費」するのみ。だからこそ人間は生きていけるのだ。

人間の死亡率は実は100%であるから、チャーリーですら死ぬ。
人間は、いつか絶対に死ぬ。そんな事実を突きつけられた。

だがストーンズは人間ではない。生ける伝説であり概念であり物差しである。
だから決して死んではならない。

チャーリー・ワッツ。1941-2021。行年80。
イギリス国鉄貨物列車の運転手の子としてロンドン郊外のブルームスベリーに生まれ、キングスベリーで育つ。
ブルースやジャズに親しみ、1962年、ストーンズにドラマーとして加入する。

彼の太鼓はいわば〝お猿の太鼓〝。トコトコ叩き、ある意味ジョン・ボーナム@ツェッペリンの対極にあり、重低音にはほど遠い。
スネアとハイハットを同居させないそのプレイはしかし、ストーンズのエンジンであった。キースのギターリフとともに。

犬をこよなく愛し、英国牧羊犬協会の会長でもあった。ミックやキース、とんがったメンバーの中にあって、寡黙でスーツを着こなす英国紳士であった。

チャーリーがいなければ、ストーンズはとっくに解散していただろう。遅くとも70年代には。
彼が叩きだす音のみならず、チャーリーの人格あってこそローリング・ストーンズであった。

元ダイエーホークスの斉藤和巳投手、元ヤクルトスワローズの五十嵐亮太投手は言っている。

「前に投げる意識と後ろで止まる意識。その両方がないと、いいピッチングはできない」

チャーリー・ワッツは後ろで止めつつ、前に投げた。転がる石に苔をつかせなかった。
彼の偉大は、そこにあった。だからこそライヴでも、彼を紹介するとき怒涛のような歓声と拍手が沸き起こった。

◆映画『チャーリー・イズ・マイダーリン』より

https://youtu.be/RyTdJdXWl2A

ブライアンが早世し、ビルは脱退した。
ゆく川の流れはかつ消え、かつ結び、ひとところにとどまるためしはない。
なのでチャーリーも亡くなった。

◆チャーリーワッツ・クインテット

https://youtu.be/fOH6IlZEa-w

でもチャーリー、俺は寂しいよ。

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