拘縮鼻、上がった鼻の内部組織変化 及び その矯正の基本原則
鼻先が上がる原因とその対処法について
「鼻先が上がることが必ず拘縮のせいであるとは限らない」と、以前いくつかの記事で説明したことがあります。
今回は、なぜ軟骨や組織が変化して鼻先が上がるのか、またどのように修正するのが基本なのかについて、詳しく説明いたします。
もしかすると少々退屈な内容になるかもしれませんが、
できるだけ簡潔に説明するよう努めます。
軟骨の解放や再配置過程で問題が生じ、鼻先軟骨の結び方(固定する方向、いわゆるベクトル)に問題が生じた場合を 「軟骨結びによる上がった鼻」 と定義し、
一方で、軟部組織が線維化して、軟骨や皮膚などを引きつける場合を 「拘縮による上がった鼻」 と呼ぶことにします。
軟骨結びによる上がった鼻 と 拘縮による上がった鼻
これら2つのケースでは、内部状態が似ている場合もありますが、全く異なる場合もあります。
私自身、手術を行う際に組織を顕微鏡で一つひとつ詳細に確認するわけではありません。
ただ、肉眼的にはそれぞれ異なるように見えたとしても、組織の線維化による変化は大枠で同じであるため、このように分類しました。
赤く示された部分は、外側上軟骨と鼻先軟骨の外側脚が交わり、互いに巻き付いている scroll area(スクロールエリア)です。この部分は密着しておらず、しっかり固定されてもいません。まるで巻物のように緩やかに巻かれた状態になっています。
この構造を見るたびに、人体の驚異を感じます。
鼻先が上がるメカニズム
赤い部分の下側、つまり鼻先軟骨の外側脚が、何らかの理由で上側の外側上軟骨に乗り上げると、鼻先は上がります。
これは難しい話ではありません。図をよく見ながら、説明を適用していただければ、鼻先部分が上に引き上げられてしまう理由がご理解いただけると思います。
修正方法
上に乗り上げた鼻先軟骨の外側脚部分を正しい位置に戻す必要があります。これを 「鼻先軟骨の解放」 と呼びます。
拘縮の有無とその影響
以前、「鼻先が上がらない拘縮もある」とお伝えしましたが、それは上記のような軟骨の変化がなければ、鼻先が上がることがないからです。
結局、鼻先が上がる原因として、最も重要なメカニズムは、鼻先軟骨の外側脚がその上にある外側上軟骨に乗り上げることです。
手術中の注意点
鼻整形は、皮膚の深い層までアクセスして行います。浅い層の脂肪組織や皮膚に問題が及ぶと、血流障害を引き起こす可能性があります。
これにより皮膚の線維化が進むと、拘縮状態が悪化し、皮膚の柔軟性が失われ、触ったときに全く動かない硬い鼻になることがあります。
その場合、繊維化した組織を丁寧に除去し、血流を確認しながら慎重に進める必要があります。
このように、鼻先が上がる原因は、軟骨や組織の問題、さらには皮膚や脂肪組織の線維化など、多岐にわたります。
それぞれの状態に応じた正確な診断と修正が必要となるため、経験豊富な専門医による診察と手術が重要です。
ご不明点があれば、さらに詳しくご説明いたします。