見出し画像

驚きの「わざ」の連続!大人も楽しい「ポケモン×工芸展―美とわざの大発見―」( 麻布台ヒルズ ギャラリー)

2024年11月1日から、東京の麻布台ヒルズ ギャラリーで「ポケモン×工芸展―美とわざの大発見―」がはじまりました。

「ポケモン」と「工芸」なんて、ちょっと意外な組み合わせ。でも、驚きでいっぱいの大人も楽しい展覧会でした!


「ポケモン×工芸展―美とわざの大発見―」展とは?

「ポケモン」をテーマに、人間国宝から若手まで20名の工芸アーティストが新作・全70点を制作した展覧会。金工、陶芸、テキスタイルなど、さまざまな工芸でポケモンのキャラクターやわざが表現されます。

「ポケモン×工芸展―美とわざの大発見―」(麻布台ヒルズ ギャラリー)エントランス

1) 単眼鏡必須!超絶技巧の表現!!

なんといってもすごかったのが、工芸の超絶技巧の数々。単眼鏡で隅々までじっくりと観たい作品でいっぱいです。

個人的に一番見入ってしまったのは、有田焼の作品を制作される葉山有樹さんの《森羅万象ポケモン壺》。ものすごく細かい柄で、遠目に見るとお花のようにもみえますが…

よく見ると、ポケモンのキャラクターがなんと500匹以上描かれているそう!

じっくり見ると、複数の層で異なる色が重ねられて、奥行き感が見えてくるのも面白いです。

荒れ狂う波の中にレックウザ、グラードン、カイオーガが描かれた《超古代ポケモン玉盌》も、かっこいいです

木象嵌の福田亨さんの《雨あがり》。木彫に色を塗ったようにも見えますが、それぞれに違った色の木を掘って、はめ込むことでつくられたという作品です。

《雨あがり》/ 福田亨
アゲハントが宙に浮かんだようすも、表情もなんとも可愛らしい作品です。

とても別々のパーツを組み合わせたようには見えないほど、ぴったりとはまった精巧さ。それぞれの木の質感の違いも見えてきます。

アリアドスをモチーフにした《Floor》 。畳も木の彫刻で表現されています。

”サイバー螺鈿(らでん)”といった通称でも有名な池田晃将さん。貝殻を彫刻して漆で接着する螺鈿の技術に、レーザーカッターなどの技術を組み合わせています。《電線光環中次》では、三角柱状の容器の側面に、ヒトカゲ・ゼニガメ・フシギダネが現れます。

《電線光環中次》/ 池田晃将

2) ポケモンの特性とつながる工芸の技法!

作品の精巧さはもちろん、それぞれの工芸の技術や歴史と、ポケモンのキャラクターや特性と結びつけた表現も面白かったです。

吉田泰一郎さんの金工作品《イーブイ》《シャワーズ》《サンダース》《ブースター》。細かい金属のパーツを組み合わせて制作された作品は、まず、その造形や七宝の眼が美しいのですが。

《イーブイ》《サンダース》《ブースター》/ 吉田泰一郎
《シャワーズ》/ 吉田泰一郎

その素材は、イーブイは純銅。その進化形は、青銅、金銀メッキ、緋銅と、同じ銅からその化学変化を利用して制作されています。イーブイから全く違った特性のポケモンに進化するようすが表現されているようです。

1枚ずつのパーツに施された凹凸の模様も…細かい…!

大きな作品なので、まずは全体像を観てしまいますが、ひとつひとつのパーツを拡大してみると、それぞれのパーツの中にも細かい凹凸の加工が施されていて、その精巧さにも驚きます。

本展は巡回展ですが、東京会場からは《ミュウツー》も登場!

また、桝本桂子さんが発表するのは、2種類の違ったタイプの陶磁の特徴をポケモンと結びつけた作品。ごつごつした質感や土の色合いが際立つ「信楽焼」では、焼き物の炎と結びつく「ほのおタイプ」のポケモンが制作されました。

壺と同化した《ロコン/信楽壺》のほか、《信楽壺/キュウコン》は、観る角度によって「壺」の顔と「ポケモン」の顔、全く違った顔が見えて面白いです。

《ロコン/信楽壺》/ 桝本桂子

また、艶々とみずみずしい質感をもった「染付」では、「みずタイプ」のポケモンたちが表現されています。

《ポッチャマ/ 染付皿》/ 桝本桂子

3) アーティストの個性が光るポケモンたち!

そして、最後はやはり、ミュージアムの中が個性的なポケモンたちでいっぱいなのが楽しい展覧会でした。

写実的で、なおかつ本物の生き物のようにパーツを自由に動かせる「自在置物」を制作する満田晴穂さん。《自在ギャラドス》は、伝統的な龍の自在置物も参照し、実在しないポケモンが活き活きと表現されています。

陶磁で制作された今井完眞さんの《ゼニガメ》や《コイキング》は、艶々とした質感がなんともリアル。《キングラー》は今にも動き出しそう。

《ゼニガメ》《コイキング》/ 今井完眞
《キングラー》/ 今井完眞

城間栄市さんによって沖縄の型染「紅型(びんがた)」で表現されたのは、アローラ地方のポケモンたち。紅型は、主に赤、黄、青、緑、紫を基調とした鮮やかな色で表現されるそうですが、色合いがキャラクターのイメージともぴったりです。

《琉球紅型着物「島ツナギ」》/ 城間栄市
《琉球紅型着物「島ツナギ」》/ 城間栄市

この《琉球紅型着物「島ツナギ」》の制作過程は会場で映像でみることもできました。手間を掛けた制作工程を知ると、さらに作品を観るのが楽しくなりますね。

オリジナルグッズやコラボカフェ、スタンプラリーも

展覧会の会場とは別のフロアにあるミュージアムショップも、ゲームボーイのポケモンの音楽などが流れていて、オリジナルグッズも楽しく選べました。(ミュージアムショップの入場には展覧会のチケットが必要でした。)

図録とハンドタオルを買いました。図録オススメです!

今回、図録を購入しましたが、展示の中では説明がなかった詳細な製作過程などについても触れられており、図録を通じて改めて驚く作品も。

ショップの隣にはコラボカフェも。看板も可愛すぎます。

また、麻布台ヒルズ内では本展のスタンプラリーも行われていて、こちらはスタンプを集めると、先着でステッカーもいただけるそうです。(こちらは19:00までだそう)

まとめ

「ポケモン×工芸展―美とわざの大発見―」は、個性的なポケモンたちの作品楽しみながら、工芸のわざについても知ることができる展覧会でした。

わたしは金曜の夜に伺いましたが、思ったほどは混んでおらず、ゆったりと作品を楽しめ、また、美術展ながら観ているひとたちがみんな「すごいね〜」「これいいね〜」と控えめな声で話しながら楽しく見られるポジティブな雰囲気なのも良かったです。

じっくり観たい作品ばかりの展覧会。ぜひ、単眼鏡を持ってお出かけください!

展覧会概要|ポケモン×工芸展―美とわざの大発見―

会場:麻布台ヒルズ ギャラリー(港区虎ノ門5-8-1 麻布台ヒルズ ガーデンプラザA MBF)
会期:2024年11月1日(金) 〜 2025年2月2日(日)
時間:月火水木日 10:00-19:00(最終入館 18:30)
   金土および祝前日 10:00-20:00(最終入館 19:30)
休館日:2024年12月31日 (火)
入館料:web購入 一般 1,600円、窓口購入 一般 1,800円
URL:https://kogei.pokemon.co.jp/

展覧会訪問前に気になるアレコレまとめ

撮影可否:静止画・動画の撮影 基本的に可能(動画展示のみ撮影NG)
入館予約:推奨
会期中展示替え:なし
音声ガイド:なし
図録:あり(3,300 円(税込)、B5変型、168ページ)

いいなと思ったら応援しよう!

ぷらいまり。
最後まで読んでいただきありがとうございます。良かったらサポートいただけたら嬉しいです。サポートいただいたお金は 記事を書くための書籍代や工作の材料費に使わせていただきます。

この記事が参加している募集