2019年に読んで面白かった本 8冊。
昨年は「読書ニガテなわたしが 2018年に 「読んで良かった!」と思った本」なんてタイトルでnoteを書いていたんですが。
2019年も相変わらず読書は苦手ながら、1年で50冊:1週間に1冊ぐらいのペースでは読めるようになってきました。2019年に読んだ本のなかで面白かった本8冊をピックアップしてみました。
<社会学>
- 盛りの誕生 女の子とテクノロジーが生んだ日本の美意識 / 久保 友香 (2019)
日本の女の子の「盛り」を、文化と技術から紐解いていく"シンデレラ・テクノロジー"研究者・久保友香さんによる書籍。
ルーズソックスもガングロも、流行当時でもどこがかわいいのか理解できない…と思っていた様々なファッションが、全部文脈があっての「かわいい」だったのか!と新鮮な驚き。例えば制服の着崩しとかも、もともとは都心 × お金/時間に余裕のある高校生たちのクローズドなコミュニティの中で、コンテクストを共有した中での流行から始まったものの、雑誌(後にはインターネット)がその”コンテクストの共有”部分を壊して 外観だけが真似されるようになってしまい、最初に文化を作った人たちが離れていくという話も興味深い。
それぞれの流行のバックグラウンドには素材や通信などの技術の発展が隠れているというのも今まで意識したことがなかった。女の子たちに次に求められている技術の話なども。
2018年にメディアアーティスト落合陽一氏、小泉進次郎衆議院議員の共同企画として開催された「平成最後の夏期講習(社会科編) – 人生100年時代の社会保障とPoliTech」での議論をベースとしてまとめられた書籍。
「PoliTech(ポリテック)」はPolitics(政治)とTechnology(技術)を掛け合わせた造語。社会問題を解決するためにはテクノロジーが不可欠だが、テクノロジーに合わせた法整備がなされていないために使えない、というトピックについての議論。
少子高齢化とか教育の問題とか、「もう日本に未来ない」みたいな記事はよく目にするけど、それを技術をつかってどう良くしていけるのか?っていう前向きな議論に救われる。同時に、技術を作るだけじゃなくて、その技術を社会で”使える”状態にするにはどうしたら良いのか?という視点が新鮮だった。
<デザイン>
- 消極的デザイン宣言 ー消極的な人よ、声を上げよ。…いや、上げなくてよい / 栗原一貴、西田健志、濱崎雅弘、簗瀬洋平、渡邊恵太 (2016)
5名の研究者の「消極性」に注目した様々なデザイン(ビジュアルデザインではなく、装置やシステムのデザイン)についての書籍。
「消極的」というとネガティブな意味合いが強く感じられるけど、”消極的な人は「炭鉱のカナリア」のようなもので、見つけにくい社会的負荷・解決すべき問題にいち早く気づくため、消極性を研究することはユニバーサルデザインにつなげることができるというのは興味深い指摘。
また、”人は基本的に消極的である”として、消極性に注目することでモチベーションをコントロールするデザイン戦略は、そのまま仕事や日常にも生かせそうな戦略。
中川政七商店や茅乃舎のブランディング、くまもんのデザインなどで有名なデザイナー・水野学さんの”センス”のつくりかたの本。”センス”というと、生まれつきの才能とつい考えがち。でも、「センスとは知識の集積である」として、どんな風にものを見て、知識を蓄えて、そこからどう考えていくと"センスが良いもの"が生まれるのかという発想法はとてもわかりやすくて説得力がある。
「日本企業を弱体化させたのは市場調査を中心としたマーケティング依存」と、市場調査の危険性について書かれているのも印象的。
<ビジネス>
- 世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」 / 山口 周 (2017)
「アート×ビジネス」書ブームの火付け役の書籍。昨年は何冊か「アート×ビジネス」系の書籍を読んだけれど、その中で一番高い視点から書かれていてダントツで面白かった本。
これからのVUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)の時代、MBA的な解決策だけではビジネスの舵取りができない。全体を直感的に捉える感性と「真・善・美」の感覚を研ぎ澄まして、構想力や想像力を鍛えていくことが大事、という内容で、この書籍のなかでは「アート」はとても広義に捕らえられている。
MBA的な解決策の限界という意味で、先に挙げた「センスは知識からはじまる」で指摘されていたマーケティング依存の危険性にもつながる部分も。
今年発売された「ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式(山口周)」も、この続編のような内容で面白かった。
- コンサルを超える 問題解決と価値創造の全技法 / 名和 高司 (2018)
こちらは、MBA的な問題解決手法の定石をまとめた書籍。先に挙げた「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?」の面白かった部分とは相反するようだけれど、読んですぐ仕事に”即役立つ”のはこちらの方… やっぱりどっちも大事…
博報堂に在籍しながら、社内でものづくりを行うプロジェクトを始めた小野直紀さんの書籍。やりたいことが見つかった時に、転職したり起業するのではなく、会社のリソースを生かして会社に残ったままそれを実現させるという選択肢もあるのは、勇気付けられます。
そして、その実現のためには「とにかく共感する人を増やしていく、巻き込んでいく」というのは納得…そしてこれが難しい。会社をやめても会社に残っても、これができるかどうかが大事なんだろうなぁ…
cakesで連載されていた「左ききのエレン」のかっぴーさんとの対談が面白かったので購入。「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?」のなかでも、”経営は「アート」と「サイエンス」と「クラフト」の混ざりあったものであるけど、「アート」は他の2つに負けやすい”と指摘されていたけれど、こちらでも”「アート」と「サイエンス」をぶつけると必ずサイエンスが勝ってしまう”という指摘。
「天才」「秀才」「凡人」のどれが良いというのではなく、それぞれの武器をどう生かすのか、とタイプごとの強みを分析されているのも面白い。
でも、読んだ本を見返してみると、あれ?こんなの読んだっけ?みたいなものもちらほら… 今年はもう少し確度を挙げていきたいなぁと思います。
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