税法免除大学院の選択~東亜の特色を知る~
わたしは元々通学での大学院は考えておりませんでしたので
東亜大学大学院しか受験しませんでしたが、
世の中には税法免除のための修士論文を書ける様々な大学院があり、その受験内容も様々です。
河合塾KALSに税法免除が受けられる大学院のリストが載っていましたが、
東亜大学大学院が載っていませんでした。
合格実績がないと載らないシステムのようです。
東亜は法学専攻となりますので、河合塾KALSで法学専攻の入試としてまとめてあったものを読みましたが、東亜はかなり特殊なようで一般的な法学専攻の入試とは違うみたいです。
というわけで、入試だけでなく、合格後にも関係する東亜の特色を書いてみたいと思います。
1.入試に研究計画書が不要
河合塾KALSを見ますと、入試にあたって研究計画書を用意、と記載がありましたが、東亜の入試では必要ありません。
そもそも税法を勉強していない人には研究計画書はとてもハードルの高いものになるのではないでしょうか。
東亜は論文式の記述試験だけですので、簿財も受けたことのないひとが入学してきたりします。法学部を出ている人も、実は少数派です。
1年生のうちに税法を含めた基礎的な法律を学びながら、ゼミの税法の先生と相談して研究テーマを決めていきます。
税法はそれ単独では成立しません。必ず基本的な法律とつながりがあり、研究テーマで選んだ税法だけで論文は書けません。
たとえば、法人税をテーマにするなら会社法が関連しますし、相続税法をテーマにするなら民法が関連します。
税法だけ知っていても、修士論文は書けないのです。
ですから、入学後に先生と相談してテーマを決めていくことは、非常に建設的で無駄のない所作といえます。
2.税法の先生が補佐として各ゼミにいる
東亜にはゼミが6つあり、全員いずれかのゼミに所属することになります。
憲法・民法・刑法・商法・知的財産法・行政法の6つになります。
希望が必ず通るわけではなく、定員制なので第6希望まで書いて提出します。(人気ゼミがあった場合はたぶんくじ引きです。←私の予想)
主査は、それぞれの法律の権威(Wikipediaに載ってるような先生が多いです。)のような先生が務められ、副査は税法の先生となります。2022年に亡くなってしまいましたが、租税法の権威である金子宏先生は、商法ゼミの副査をされておりました。副査の先生は金子先生のお弟子さんや元国税庁の方(元税大の校長先生もいます)もいます。
補佐は、ゼミによって1名~2名、税法の専門の方もいれば、実務家(脇田先生も補佐です)もおり様々です。
どのゼミに所属しても、研究テーマが限定されるわけではありませんが、所属ゼミの先生がその道に精通していることは自分にも大いにメリットがあるため、興味のある分野からゼミの希望を出すのはとても良いことです。
上にも書いていますが、法人税をテーマにするなら会社法が関連しますし、相続税法をテーマにするなら民法、逋脱行為(脱税)がテーマなら刑法、固定資産税なら行政法、財産権の侵害(そもそも税は財産権の侵害)なら憲法、無形固定資産なら知的財産法、といった感じですね。
ゼミによって、修士論文完成までの手法は異なりますが、税法の先生が身近なのがとてもいいです。税法の先生が少ない大学院もあるみたいですね。
3.国税審議会で認められなかった論文は今までゼロ!
国税審議会で認められなかった論文は今までなかった、ということは裏を返せば、それだけきちっと指導をしてくれるということです。
税法免除は、大学院で修士論文を書き上げ、大学院を卒業してから、国税審議会に審査申し込みをしますが、もし万が一、国税審議会で認められなかった場合、またイチから大学院に入学しなおして論文を書く必要があります。
そんなことになったら、本当にシャレにならないので、大学院選びは非常に重要だと思われます。
しかし残念ながら、指導についていけず大学院をやめてしまう人はゼロではありません。やめるのには様々な理由があると思いますが、40000字の論文を書きあげるんだ!という強い意志をもって入学してきてください。
時間もお金ももったいないです。
また、税法を勉強している人の方が、より早くよいテーマを見つけられる傾向にあります。税法科目の合格は大学院では必須ではありませんが、税法の制度の仕組みに疑問を感じる程度には勉強してきた方がいいです。
テーマ選定は論文の肝です。テーマ選びに失敗すると書けません。税法を知らなくても、やはり書けません。1年生の夏に試験を受けられるくらいなら大丈夫かもしれませんが、簿財+税法を取ってから入学したほうが、大学院の授業にも論文にも没頭できますのでオススメです。
税法の勉強は入ってからでいいと言ってる人もいますが、大学院の授業料は決して安くはありませんので、私自身は簿財+税法を取ってから入学してよかったなあと心から思います。
夏の税理士試験に科目を残したまま院生になると、やはり夏がしんどいです。2年生でも残してしまうと、多くの場合、試験を優先させて、論文が止まります。
4.学校に行くのは2回だけ
東亜大学大学院は、通信制の大学院なので、授業はネットでオンデマンドです。視聴期間が2か月と限られていますが、その間であればいつでも見ることができます。その後レポートを提出して、単位認定という運びになります。通学しないので、小さいお子さんがいるパパやママも多く、仕事で忙しくしていても空いている時間に授業を受けることができます。
気になるのは、山口県にある学校に行く回数ですが、私は入学式で1度行きましたが、それ以来行っていません。次はたぶん卒業式です。なので2回だけです。
5.スクーリングやゼミは東京
年に2回(6月と11月)ある合同スクーリングは、代々木オリンピックセンターで行います。1年生は2泊3日、2年生は1泊2日。東京近郊にお住まいなら通えます。なお、単位習得にあたってスクーリングの出席は必須になります。とはいえ、有名な先生方の生の授業を受けられる貴重な機会ですから行ったほうがいいですし、同級生と顔を合わせる貴重なタイミングとなります。
2023年の秋期スクーリングは、コロナ禍がおさまってきたこともあり、やっと先生方を交えた懇親会ができました。本来は在校生と先生全員でとの話も出ていたのですが、100人以上になるため会場が押さえられず、ゼミ毎での開催となりましたが非常に有意義でした。
また、ゼミに所属してから(1年生の秋に決定します)は、各ゼミで招集がかけられますが、こちらも東京です。代々木のオリンピックセンター以外にも市ヶ谷の私学会館も会場になります。先生方は関東在住が多いみたいですね。ゼミによりますが、ZoomやMeetでのオンラインゼミも開催されることがあります。開催頻度は、ゼミが決定してから卒業まで4回~5回といったところでしょうか。
6.同級生が全国各地に住んでいる
東亜大学大学院は通信のため、本当に北は北海道、南は九州沖縄まで全国各地から学生が集まります。学校がある山口が多いとか、関東が多いとかもありません。通信だからか年齢層も広く、全国各地にいろんな年齢層の学友ができる、そしていずれはみんな税理士、という素晴らしいネットワークができますね。
みんな税理士と書きましたが、中にはそうでない人もいます。
現在の仕事の+αにするために資格を取るという方も意外と多いです。
7.Discordがある
通信な上にコロナというわけで、ここ何年かの院生同士の交流は、お世辞にもいいとは言えませんでした。もちろん院生同士だけではなく、先生たちとの距離感も非常に大きかったのではないでしょうか。
大学院ですから、受け身の姿勢だけでは前に進めません。
そういう状況の中での更なる行動制限は、決してプラスにはならなかったように思います。
そういった交流のなさが、修士論文の完成度にも影響することになんとなく気が付いたのが、今年の2月ごろです。
LINEのように個別に連絡先を交換していなくても、連絡が可能であるため、わたしたちは、ご近所さん同士だけですが、学友とカフェで勉強会をしたり、ランチ会したりしています。
Discordは自分が登録さえすればずっと交流でき、過去のやり取りも閲覧が可能な所がメリットです。ゆくゆくは税理士資格を持った人がたくさん集まって、東亜も税理士「界」も盛り上げる存在になればいいなと思っています。
Discordの運用は数名の院生の協力を得て、私が行っています。
手前味噌ですが、こちらも他の大学院にはないメリットと考えています。
さて、東亜の魅力が少しでもみなさんに伝わればいいなと思い書いてみましたが、いかがでしたか。
大学院という選択肢は、合格してからも決して楽な道ではありませんが、試験勉強だけでは得られないものがたくさんあったと実感しています。
大学院はお金はかかりますが、運で消費されてしまう(かもしれない)時間を買う、普通に生活していたら手に入らない人脈を買う、税法研究という税理士の幅を広げる経験と知識を買う、と思えば意外と安い買い物なのかもしれませんね。
そんな東亜の試験対策はこちらのマガジンにまとめました。
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以下個別リンクです。
全体的な試験の内容と本番向けの原稿用紙
構成メモの詳しい書き方
構成メモを使って原稿用紙に清書するテクニック