ニホンハッカ【北海道北見市・滝上町】/薄荷・ミント
<基本情報>
【ニホンハッカ】日本薄荷、和種薄荷、薄荷
学名:Mentha Canadensis L. var. piperascens H.Hara
英名:Japanese peppermint
シソ科ハッカ属 多年草
原産国:日本、東アジア
主な産地:北海道(国内)、インド(世界)
<ハッカとは>
「ミント」の和名は「薄荷」で、数あるミント類の総称。ニホンハッカは和ハッカ、世界では和種薄荷(Japanese peppermint)とも呼ばれている。
他のミント類同様、地下茎で広がり群生する。葉は細長く披針形や長楕円形で葉先が尖っていて縁には鋸葉がある。花は白や薄紫色、筒状の小花が、節を囲うように徐々に開花する。
<歴史と生産地>
日本には2000年以上前から中国から伝わったとされている。817年に岡山県で導入・試作され、西日本で栽培が広がった。新潟・群馬・山形へ栽培地が移っていき、1891年頃に北海道で野生種(ヒメハッカ、M. japonica)を発見、その後改良が進む。
1930年には北見地方が一大生産地となり「世界シェア」70%を占めるまでに。輸入自由化と合成メントールの出現で1983年に工場閉鎖となった。
1990年以降は、北見市によりハッカ畑が造成され蒸留所も再建。一度は途絶えた和種薄荷「ほくと」のハッカ油生産も少量ながら復活。
現在は、北見市より北西に位置する紋別郡滝上町(たきのうえちょう)が国内生産量のほとんどを占めている。滝上町での栽培の始まりは1910年(明治43年)と言われ、現在約10ヘクタールのみとなっている。
戦後、ブラジル産、中国産が増えていき、現在の世界での生産は、90%以上がインドと言われている。
<ハッカ・ミントの分類>
ミント類は、大きくは「スペアミント(主成分カルボン)」「ペパーミント(主成分メントール)」の2系統。
ニホンハッカはペパーミント系に属するが、取卸油(蒸留直後の油)に総メンソール量が65%以上、精製後のハッカ脳(l-メントールの結晶)が50%~65%含まれていることが基準で、他のペパーミントとは区別されている。
ペパーミント(セイヨウハッカ、Peppermint、Mentha×piperita L.)は、ヨーロッパ原産で、スペアミントとウォーターミントの自然交配によって出来たとされている。ペパーミントのハッカ脳の含有量は60%以下。
スペアミント(オランダハッカ、ちりめんハッカ、Mentha spicata L,)の原産はヨーロッパ、アメリカのミント栽培はほとんどが本種。
ウォーターミント(ミズハッカ、水薄荷、沼薄荷、Mentha aquatica)、東南アジア〜ヨーロッパ原産。原種にもっとも近いとされる。
「ヨウシュハッカ(洋種薄荷)」は、「セイヨウハッカ」同様、「和種薄荷」の対義語扱いとして使用されることもあるが、コーンミント (ワイルドミント、フィールドミント、corn mint、Mentha arvensis L.)を指す。かつてニホンハッカは本種の変種とされていた。アメリカではメントールの原料となっており、ニホンハッカと同じものとして扱われているようだ。
ミント類は交雑しやすく、シノニム(別名)を含めて何千種もある。
<主な成分・フィトケミカル>
主要成分のメントールのほか、メントン(メントールに似た香りで清涼感は少ない)、リモネン(柑橘系の香り)、αピネン(樹木系に多い)、βピネン(ローズマリーやバラにも含まれる)など。
清涼感、鎮痛や抗菌、抗炎症、虫除けに良いことはよく知られる。漢方では、健胃薬として使用される。他には副鼻腔の調子を整えるなど、古くから天然添加物として、医薬品類、食品、歯磨き、化粧品、タバコに至るまで幅広く利用されている。
<北海道北見市では>
1994年、香り彩るまちづくり推進機構が発足し、ニホンハッカを始めとするハーブ公園づくりを開始。市民参加型の「香りゃんせ公園」として、2001年には「全国花のまちコンクール国土交通大臣賞」「かおり風景100選」 「手づくりふるさと賞」を受賞している。
<北海道滝上町では>
観光名所として知られる芝ざくらに続き、ニホンハッカの生産量1位の町として「ハーブガーデン」が作られている(4ヘクタール約200種類)。
敷地内のフレグランスハウスでは、ハーブティー、軽食の提供のほか、石鹸作りなどハーブクラフト体験を行っている。
▼言わずと知れた北見ハッカ油。マスクにシュッシュで爽やかです。
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