見出し画像

【パラメトリックデザイン研究会】    第1回 パラメトリックデザインとは? 

プランテックでは部活動の一環として、『パラメトリックデザイン研究会』という活動を行っております。
ここでは、広くRhinocerosやGrasshopper(©Robert McNeel & Associates)を
使った“パラメトリックデザイン”を紹介していきます。

左から、Rhinoceros、Grasshopper
出典:https://www.rhino3d.com/jp/

【そもそも“パラメトリックデザイン”とは】

ざっくり言うと
『パラメーター(変数)の体系化によるデザインの総称』
です。

【パラメトリックデザインの概念と歴史】

パラメトリックデザインを扱った建築は、国内では、幻となった
新国立競技場のコンペ案のザハ・ハディド・アーキテクツが有名です。
ザハ氏没後、事務所を引き継ぎ現在の所長となったパトリック・
シューマッハ氏が、2000年代から提唱した概念で、
広義に『パラメトリシズム(Parametricism)』と呼ばれています。
パラメトリックデザインでは、パラメーター(変数)を用いる事で、
例えば生物の遺伝子のように、環境や条件によって変化する形態を
一定のルールづけによって生成する事が出来ます。

オーパスMEドバイ・ホテル/Zaha Hadid Architects(左:内観、右:外観)
出典:https://www.theplan.it/award-2021-mixeduse/opus-exploring-the-balance-between-solid-and-void-zaha-hadid-architects

教育機関では、ロンドンのAAスクールでDRL(Design Research Lab)が
1996年に始まり、その後欧米を中心に発展を遂げ、日本では東京大学の
T-ADS(Advanced Design Studies)など、各国にデザイン・ラボが
創設されました。その中でデザイン教育の3Dツールの一環として、Rhinoceros やGrasshopperが使われてきました。

【Grasshopperについて】

Grasshopperは、Rhinocerosの3Dモデリングツールと統合された
ビジュアルプログラミング環境で、プログラミングやスクリプトの知識を
必要とせず、生成的な形状を構築出来るのが特徴です。
具体的には、下図のような“コンポーネント”と呼ばれるパーツを
組み合わせる事で、目的のための一連のアルゴリズムを生成します。 

Grasshopperのコンポーネントの数々
© 1993-2024 Robert McNeel & Associates https://www.rhino3d.com/features/#grasshopper 

【Grasshopperでできる事】

Grasshopper単体でも、複雑な形態生成などかなりの事が行えますが、
プラグインを入れる事で、より多様な使い方が可能です。
ここでは代表的なプラグインを紹介します。

構造シミュレーション

・『Kangaroo』Grasshopper
物理演算や形状最適化を行うためのプラグイン。
頂点やエッジに、荷重や強度、拘束などを条件として与えることで
物理的な振る舞いを計算

環境シミュレーション

・『Ladybug 』
気象データの視覚化、分析。太陽の軌道、風配図、乾湿図などの図のほか、放射線解析、影の研究、ビュー解析などの幾何学の研究で活用。
・『Honeybee』
建物のエネルギー、HVAC サイジング、温熱快適性などや日照、
日光とグレアのシミュレーション
・『Dragonfly』
都市規模のエネルギー シミュレーション。
・『Butterfly』
数値流体力学 (CFD) シミュレーションによる気流解析
・『Eddy3D』
風や屋外の快適さの分析、屋外都市 CFD シミュレーション
出典: https://www.food4rhino.com/en/app/ladybug-tools                 :https://www.food4rhino.com/en/app/eddy3d

左からLadybug、Honeybee、Dragonfly、Butterfly、Eddy3D

参考サイト

その他概要を知るのに参考になるサイトは以下です。
・『AppliCraft 』 https://www.applicraft.com/ghcp_index/
コンポーネントごとの詳細が分かり易く載っています。
・『Rhino-GH.com』 https://rhino-gh.com/grasshopper150
 上記同様、コンポーネントごとの詳細が分かり易く載っています。
・『food4rhino』  https://www.food4rhino.com/en/browse?https://www.food4rhino.com/en/browse?f[0]=im_field_unified_type%3A773
プラグインのリストが載っています。
主なプラグインはここからダウンロード出来ます。

次回からは、Grasshopperの具体的な活用例を紹介していきます。
乞うご期待!