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日本初のDirect Air Capture スタートアップ(DAC: 大気中からのCO2回収事業)始めました!
はじめまして、池上京と申します。先月7月、私たちは日本初のDirect Air Capture(DAC: 大気中からのCO2回収事業)スタートアップ、Planet Savers株式会社を設立しました。
法人設立直後から複数の助成金、アクセラレーターに採択され、本日日経新聞朝刊紙面版で、「活躍が期待される気候テックスタートアップ特集」にも掲載されました。
日経新聞「活躍が期待される気候テックスタートアップ特集」特設サイト
環境省イノベーション創出のための環境スタートアップ研究開発支援事業:https://www.env.go.jp/press/110745_00001.html
MUFG ICJ ESGアクセラレーター:www.esgaccelerator.com
この記事では、Planet Saversの事業概要、そして、私たちの想いについてお話します。
問題意識
「地球温暖化の時代は終わり、“地球沸騰”の時代が到来した。」(2023年7月、グテーレス国連事務総長)
WMO(World Meteorological Organization: WMO)は2023年7月に世界の平均気温が観測史上最高の月になる見込みだと発表しました。
日本でも気象庁は7月の全国の平均気温が統計開始以来最高になったと発表しています。
もしこのまま気温の上昇が進めば、加速度的に気候変動が進み、山火事・洪水・台風といった災害が続発する気候危機に直面すると言われています。
私は本年9月に第一子を授かる予定です。
今から彼女が生まれるのが待ち遠しい一方で、彼女が数十年後、日本、ひいてはこの地球という星を離れざるを得ないような気候危機に直面している可能性があることが恐ろしいと同時に、そうなるまで地球温暖化防止に取り組めてこなかった我々世代に責任があることを本当に申し訳なく感じています。
そうした状況を防ぐためには、2050年までに温室効果ガス、特にCO2の排出量を実質ゼロにすることが不可欠とされています。
この地球という惑星が始まって以来の危機の解決のため、再生可能エネルギーや電気自動車の普及から、核融合といった新たな技術への投資まで、多くの取り組みがなされていますが、結局経済活動の中でCO2は排出せざるを得ません。
そう、どうしてもグローバルでのカーボンニュートラルの実現は困難なのです。Direct Air Cpature
そんな中注目されているのがDirect Air Capture (DAC)と呼ばれる、工学的・科学的に大気中からCO2を直接回収する技術です。
森林や海藻といった自然由来のCO2回収ももちろん重要ですが、実は自然由来の方法でCO2を回収するには大量の土地や水等が必要で、排出CO2を全て回収しきるというのは現実的ではありません。
また、CO2を発電所や工場からの排出地点で回収すれば良いと思われる方もいらっしゃるでしょうが、そもそもそういった産業プロセスでの排出は再エネや電化等の組み合わせで排出量を圧倒的に減らせますし、飛行機からのCO2排出や工事現場でのCO2排出等々、どうしても回収できないCO2排出原があります。
どのようなデータでも数ギガトンのCO2の排出が必要になると言われています。
しかし、大気中のCO2の濃度は0.04%と非常に少なく、回収コストは$500~1,000と発電所等からのCO2回収の10倍、20倍高くなっています。私たちの決意
私たちは東京大学大久保・伊與木研究室が長年に渡り培ったCO2吸着剤、ゼオライトの知見・技術を用い、DACの回収コストを現状の$1000/tonから$100/tonまで圧倒的に下げられていきます。そして、この技術のグローバルでの普及に大いに貢献し、将来世代が今後も今と変わらない環境を日本、そして世界で享受できる未来を実現します。
また、私たちはこの気候変動領域における日本のプレゼンスをグローバルで高めてまいります。
以前は温暖化対策で世界の最先端の技術を誇った日本ですが、今や多くの領域で欧米や中国企業、特にスタートアップの新技術の後塵を喫しています。
DACの領域でも欧米を中心に30近くスタートアップがある中、日本からは現状ゼロです。
しかし、日本にはDACに繋がる高い素材分野、プラント分野の技術と知見があり、まだ黎明期のこの技術に革新を生み、日本発で世界を変えるような気候変動ユニコーンを創出することが可能と私たちは考えています。会社設立の経緯
私は以前JICAで働いていた当時からエネルギー問題の解決に関心があり、中東のイラクやエジプトでガス火力発電所や再生可能エネルギーの開発・導入に従事していましたた。
その際、世界ではカーボンニュートラルに向けて石炭火力発電所の廃止や再生可能エネルギーの整備を中心としたCO2排出量削減に向けた取り組みが議論される一方、日本が未だ石炭火力発電所の導入・輸出等のグローバルの趨勢に反する方針を示していることに大きな疑問を抱いていました。
一方、欧米における非現実的な排出削減の議論にも違和感を持ち、ケンブリッジ大学MBA留学中に大気中からのCO2回収技術を中心とする気候変動領域に関心を持ち始めました。将来的には同領域での起業も検討していましたが、JICA出身でビジネスや起業についての知見も限られており、また日本におけるカーボンニュートラルの盛り上がりが見えなかったため、帰国後は一旦ソフトバンクでグローバルなディープテックビジネス開発の経験を積んだ後、もう一つの大きな関心であった教育領域で起業し、経験を積みました。
並行してPlanet Saversで研究開発を担う伊與木は、東京大学に学生として在学していた頃より一貫してゼオライトを始めとする多孔質材料の合成と応用を主な研究対象としてきました。特許を取得している新しいゼオライトも多く、それらはユニークな吸着特性を示すことを見出していました。また、DACについても関心があり国外において多くのスタートアップが立ち上がっている様子は知っていましたが、大学での研究開発の経験しかないことから事業化の具体的なイメージは持てずにいました。
そうした中、私が2022年に優れた脱炭素研究技術を保有する研究者を探索し始め、2022年10月に東大をドアノックして出会った伊與木のDAC向けゼオライト技術に惚れ込み、本事業の創業を決意しました。
私たちは、Planet Saversとして革新的なDACシステムの開発を実現し、未来の次世代に夢と希望を与え、日本のプレゼンスを世界で高める、圧倒的なスタートアップを創り上げることを約束します。
2050年、1ギガトンのCO2を我々の装置で回収し、100年後も美しい地球を守ります。
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