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海外美大受験って上流階級の営みじゃね?(受験体験記・ウィーン美術アカデミー)

はじめに

 ぼくは都立総合芸術高校に通っていて、周囲が皆当たり前のように芸大を目指すという環境だったので、自ずとぼくも東京藝術大学の油画専攻の受験を考えていました。しかし、2018年のあいちトリエンナーレの「表現の不自由展」騒動で、日本におけるアートの受容のされ方や、表現そのもののあり方、芸大を中心とする美術業界のねじれに違和感をより一層強く感じるようになり、海外への憧れは大してありませんでしたが、嫌でも日本を出なければならないと考えるようになりました。
 コロナの影響で、高校卒業後すぐに現地に行くことは叶わず、ドイツ語を勉強しながら、日本からオンライン受験という形で受験準備を進めました。

ぼくについて

 ぼくは地元の公立小・中学校出身で、高校は公立の東京都立総合芸術高校美術科卒業。帰国子女でもなければ、留学の経験は当然なく(短期留学の経験もないです。)べつに海外の生活に対する憧れもそこまでありません。
 英語は、中高の英語の授業を真面目に聞いて、毎度毎度の定期テストや小テストで点を取るための勉強をしていた程度で、大学入学共通テストの得点は8割、リスニングは7割です。英会話教室など行ったことないし、ドイツ語なんて高2の冬に初めてアルファベットを知りました。そんな僕でも合格したということを先に記しておきます。

海外大学進学って上流階級の営みじゃね?

 たしかに、留学先の国(米英など)によっては高額な学費や生活費がかかるので、「上流階級の営み」というのは否定できません。しかし、よく調べてみると、努力次第で日本で進学するよりも安く総費用を抑えることができる国は多数ありますし、奨学金という可能性もあります。「留学=上流階級の営み」はよく調べてみたことがある人にしか解けない誤解だと思います。例えば、ぼくが進学するウィーン美術アカデミー(オーストリア)の場合、
・EU以外の国籍(日本含む)の場合、学費は半年間で€726.72(約10万円)で済む。
・受験料は無料(ドイツのベルリン芸大のみ約4000円かかる)
・€75(約1万円)で半年間、ウィーン市内の地下鉄、トラム、バス、ÖBB(国鉄)、ウィーン地方鉄道が乗り放題になる。
・無料WiFi、光熱費、水道代、住居費(中には朝食代込み)、キッチンとトイレ以外は個室で月€250から€450(約3万5千円〜6万円)で済む。
・日本からの飛行機代は、安い時期かつ中東経由の飛行機を選べば片道5万〜7万円で済む。(直行だと20万はかかる。無理。)


 これに食費が月€176(約2万5千円)かかるとして、すべて合算すると年間でおよそ約110万円。飛行機代いれると約120万円。すきなことをするのに使う雑費は現地でバイトをして賄うことを考えれば、基本料としてはこの金額があれば生活はできるという事です。
 ここで、日本の美大・芸大の初年度費用と比較すると…
①東京芸術大学美術学部…124万6千円(学費のみ)
②武蔵野美術大学造形学部…187万1千円(学費のみ)
③多摩美術大学美術学部…193万8千円(学費のみ)
④日本の国立大学(文科省法令)…およそ80万円(学費のみ)
④ウィーン美術アカデミー…約110万円(学費+生活費+住居費+交通費+食費)
かつて(というか今も)、学費が安いからという理由で芸大一筋で美術予備校に通い詰める若者が多いことと思います。けれど、近年の芸大の度重なる学費の値上げや、美術予備校自体も現役生の夜間部なら年40万、浪人生の昼間部なら年80万円の費用がかかります。個人的に、「金がないから」芸大目指す、はもう理由として通用しないように思えます。

ウィーン美術アカデミーとは

 1692年開校。オーストリアにおいて最も権威のある美大だそうです。
 アドルフ・ヒトラーが美大に落ちて政治家になったという話は有名ですが、その落ちた美大がこのウィーン美術アカデミーです。
 卒業生にはフランツ・プフォルジモン・グリュックリッヒアルフレート・ロラーラファエル・キルヒナーエゴン・シーレゴットフリート・ヘルンヴァインなどがいます。(くわしくはここを参照。)
日本では、東京芸術大学、東京造形大学、京都芸術大学が協定校になっています。(協定校リストはこちらを参照。)


美大受験までにやっていたこと

作品制作について

 ぼくは高校が美術科で、日ごろから作品制作にいそしんでいたこともあって、比較的経験がある方でした。ただ、最終的にアカデミーに提出したポートフォリオに高校時代の作品は1点(卒業制作)しか載せませんでした。
 ドイツ語圏美大でも、都市部(ベルリンやミュンヘン、ウィーン等)の大学では日本の美大と同様に、一定の作品のクオリティが求められるように感じます。ここでいうクオリティというのは、デッサン的能力の高さとかではなく、作品の持つ説得力のようなもののことを指すと思います。
 継続かつ一貫した作品制作をすると、反復ゆえに手が慣れてきて「上手く」作品を作ることができます。それを逆に良しとしない大学もありますが(地方の美大はそんな感じがする)、ポートフォリオを教授に見てもらった時に説得力を持つのは前者なのかなと思います。それは同じ様な作品をただただ制作していくのではなくって、自分の興味のある分野についていろんな視点から掘り下げて作品を作ったり、ということです。
 視点の数が増えるほど作品の数は増えますし、同じ人間が作っているものなので、突然まるで違う人が作ったかのようなスタイルに激変するということはありません。ここでいうクオリティとは、そのような作品(視点)の反復性の様なものを指すのかなと思います。


 高校卒業後は創形美術学校の海外留学準備コースのドイツクラスに週2回通って、ポートフォリオの指導を受けたり、作品制作をしたり、美大の情報を入手(これが一番大事)したりしていました。ただ、学費が高いので受験期以外は創形の先生が個別で運営しているオンラインクラスで指導を受けることで、学費を節約していました。

語学について

 ドイツ語圏の美大でドイツ語能力を必要としない大学はフランクフルトにあるstaedelschuleのみです。他の大学は絵画科であったとしても最低B1〜C1のドイツ語能力を求められます。ウィーン美術アカデミーは入学後1年以内にドイツ語B1と緩めです。基本的に都市部の大学は語学要件が低く、地方に行けば行くほど語学要件が高くなるという傾向があります。(もちろん例外もありますが。)
 基本的には受験する年の春にはゲーテB2をとっておくのが理想と言えます。ドイツ語学習の厄介なところは、英語と違って単語帳がないということです。ゲーテの問題集やネットの記事などを見ていてわからない単語にマーカーを引き、辞書で意味を調べてルーズリーフにまとめて赤シートで覚えるという作業を2年間ずっとやっていました。今もやっています。


 ぼくはドイツ語圏美大受験を決めた高2の冬から、地元の異常に安すぎるドイツ語教室に週1で通い始めました。通う前に本を買ってアルファベットやIch spiele(英語でいうところのI play)レベルのドイツ語の文法を勉強してから教室に入りました。
 この記事を書いている現在も通っていますが、教室のスタンスとしては、教室では基本ドイツ語の会話を重視し、宿題で文法やリスニングをやってくるというのが原則です。(宿題の説明は丁寧にしてくれます。)時間を無駄にしていない感じがしてぼくにはとても合っていました。
 高校を卒業してからは、しばらく週3で個人レッスンを受けていました。(のちに週1のクラス制に戻しています。)

出願要件について

 日本人がドイツ語圏美大を受ける時の出願要件として、「他国の(日本含む)大学入学資格(HZB)をもっている枠」と「大学入学資格(HZB)なしで受験する枠」の2つがあります。
「他国の(日本含む)大学入学資格(HZB)をもっている枠」というのは、

・大学入学共通テスト(旧:センター試験)で必要科目で62%以上の点数をとっていること。
・高校の3年間すべての年度で国語・英語・数学・理科の授業を受けていること。

https://www.daad.jp/ja/study-in-germany/admission-requirements/

 この2つが揃わないと大学入学資格(HZB)は得られないということですが、僕が通っていた高校では数学と理科の授業が3年生の時だけ無かったので、ぼくは大学入学資格(HZB)なしでの受験となりました。
 よって、ぼくは大学入学共通テストを受験する必要はなかったということですが、学校によっては入学時の書類に必要になることもあるそうなので、持っている書類は多いということで受験しておいた方が無難ということはあるかもしれません。ウィーン美術アカデミーを受験する際は不要です。
(入試の合否はポートフォリオで決まるので、資格の有無はそこまで気にすることではないと思います。)

大学の情報集めについて

 ぼくは9校も受験したため、書類のとりまとめや情報の整理が本当に大変でした。Googleスプレッドシートに表形式にして各大学の情報をまとめ、ひとつひとつ書類の漏れがないか確認しながら慎重に出願や書類提出をしました。
 あまりにも作業が煩雑なため、書類漏れなどによるミスに苦しむ人もいますが、これは確認する癖をつけるしかありません。また、受験の情報は大学のHPから確認できますが、DeepL翻訳だけに頼っていると誤訳で痛い目に遭うということが必ずあります。DeepL翻訳で作業を簡略化するのは必要ですが、自分で確認する癖もつける必要があります。
 大学によっては、ドイツ大使館で高校の卒業証明書のコピー認証をもらう必要があったり(ブレーメン芸術大学)、USBスティックと書類を現物提出する必要がある大学(ドレスデン美術アカデミー)もあったりします。
 そういった細かい情報の調べかたや情報提供も創形美術学校の海外留学準備コースのドイツクラス創形の先生が個別で運営しているオンラインクラスで教わりました。

※なお、現在ウクライナ侵攻やコロナの影響でヨーロッパへの郵送は大幅に遅れています。内容物によっては税関で時間をとられたりすることもあり、かなり早めに送ってもギリギリセーフという事例が多発したので注意です。
あと、郵送物の宛名は手書き厳禁です。税関で日本に強制返還されます。

受験結果

ウィーン美術アカデミー→合格
ハンブルク美術大学→合格
リンツ造形美術大学(昨年度)→合格
ドレスデン美術アカデミー→1次合格(ウィーン合格のため2次棄権)
ブレーメン芸術大学→1次合格(ウィーン合格のため2次棄権)
マインツ美術大学→1次合格(ウィーン合格のため2次棄権)
ニュルンベルク美術アカデミー→不合格
ヴァイセンゼー美術大学→不合格
ベルリン芸術大学→不合格

美大入試のプロセスについて

 日本の美大のように、本番の実技会場で一発芸的に作品を作るのではなく、オーストリア・ドイツの美大(以下ドイツ語圏美大)では、ポートフォリオ(作品集)の審査から始まります。近年、武蔵美や多摩美の一部学科の推薦入試でも導入されていることと思います。以下、ウィーン美術アカデミーの入試プロセスを、順を追って説明します。

【全体の流れ(2022年・ウィーン美術アカデミー・Bildende Kunst(Abstrakte Malerei)の場合)】

①オンライン出願

(2022年3月24日締切)
 この出願フォームに氏名や誕生日、希望する学部を選択して締切までに出願をします。登録が完了すると登録したメールアドレスにポートフォリオをアップロードするためのリンクが送られてきます。

②ポートフォリオ提出

(2022年3月24日締切)
 締め切りまでにPDF形式で作ったポートフォリオをアップロードします。基本的にポートフォリオのデザインやレイアウトは自由ですが、以下のルールは守る必要があります。
・ポートフォリオの1ページ目に受験番号(メールに書いてある)と氏名を記載すること。
・ファイル形式はPDFにすること。
・50MBに収めること。(オーバーした場合はこのようなサイトで縮める)
・映像作品はYouTube等へのリンクを記載する。(映像作品をYouTube等にアップロードしておく。)
・ファイル名を「受験番号_性_名」にする。
※ぼくのポートフォリオについては後述します。

③ポートフォリオの合否通知

(2022年4月8日日本時間20時)
 登録しておいたメールアドレスにメールが来ます。20時0分0秒にはきません。10分くらいは平気で遅れます。これでも他の美大よりウィーンはしっかりしている方です。
 ちなみに、希望の教授のブログを見たら「今年は1300人以上の応募があり、Abstrakte Malereiのクラスには8人をポートフォリオ合格としました。」とありました。Abstrakte Malereiのクラス以外を含めると110人合格者がいるそうなので、ポートフォリオ審査の倍率は最低でも12倍以上と言えそうです。けれど、東京芸大受験組が「半分は敵じゃない」(半数は記念受験のため)と言われるように、この受験はここまでのプロセスで紹介しているように、日本と違って誰でも簡単に受験できてしまうので、評価の対象とならないような作品も少なからずあるだろうと推測されます。

④2次試験の面接日程・問題発表

(2022年4月29日中)
 面接の時のZoomのリンクと問題がメールで送られてきます。2022年のBildende Kunst(Abstrakte Malerei)は特にテーマ課題等ではなく、自由に制作してくださいとのことでした。ただ、面接の際に5分程度でプレゼンをできるように準備してきてくださいとのことでした。

⑤作品制作(⑥までに制作)

※ぼくが作った作品については後述します。

⑥2次試験(作品プレゼン・面接)

(2022年5月17日日本時間17時半から)
 時間になったらZoomのリンクを開いて開始します。英語、ドイツ語どちらでも可能です。最初にどちらが良いか聞かれます。また、試験前日までに通訳者を同席させることをメールで返信すれば、通訳者の同席が認められます。ぼくは、ドイツ語で面接する能力は最低限ありましたが、他の受験生が通訳を使っていて自分が不利になるという状況になるのは避けたかったので、通っていた地元のドイツ語教室のオーストリア人の先生に無理矢理時間を空けてもらって頼みました。
面接の内容は以下の通り。教授2名+アシスタント2名相手に30分ほど。
・作品のプレゼン(5分だが、厳密ではない。長すぎなければOK)
・プレゼンに対する数多の質問への回答
・質問「ウィーンに移り住んで勉強する気はあるのか?」
・質問「どうしてウィーン美術アカデミーで勉強したいのか?」
・質問「大学でなにをしたいのか?」
・質問「好きなアーティストは?興味のあるムーブメントは?」
・こちらからの質問タイム(クラスの様子について質問しました。)
などでした。

⑦最終合格発表

(2022年5月24日日本時間20時)
合格発表もポートフォリオの合否同様、メールで来ます。
やはり、20時0分0秒にくるわけはなく、3分ほど遅れてきました。
でもしっかりしている方です。

ポートフォリオについて

 ポートフォリオ審査の良いところは、入試当日に一発芸的に描いた絵だけを見てその人の芸術性に点数をつけられるということがないという点です。余談ですが、ソーシャル・エンゲージド・アート(SEA)や、いわゆるコンセプチャル・アートのようなものの空気が蔓延する今日この頃において、一発芸で人を魅せなければならない風潮があるようにも感じるわけですが、そんな時代ももう少ししたら終わるのではないかとぼくは思うわけです。

僕のポートフォリオ

全てのページを見せたらキリがないので、一部だけをお見せします。

 ポートフォリオは、志望理由と作品のコンセプトからはじめます。コンセプトは大まかにいうと、「人間はこの世に生を受けてからあらゆる痕跡を世の中に残してきている。この痕跡をアートの文脈として昇華させることでアートの本質がみえてくるのではないだろうか。」といった具合です。

最初のページは作品のプロセスに焦点をおいた映像作品にしました。
最初のつかみはとても大切なように思います。
(動画はYouTubeのリンクから見れるようにしました。)
立体作品も。
ドローイング
作品のプロセスをここでも紹介しています。
YouTubeのリンクで作品のプロセスがわかる動画やスケッチも載せています。
スケッチなどもたくさん載せました。

 おそらく全部で50ページほどにまとめ、アカデミーに提出するために35ページほどに削りました。見ていて感じることと思うのですが、完成された作品というよりかは、作品ができるまでのプロセスを見せることができるようにするのが最大のポイントかなと思います。
 デザインは、人にいかに物事をわかりやすく伝えるかや、楽しませるかが重要ですが、アートはそこに至るまでのプロセスに脚光を当てて、紐解いていくものであると僕は思います。その意味で、日本の美大では完成作品だけを切り取って評価する傾向が強いし、果たしてそれは本質的な意味で正しいのかなと疑問に感じるばかりです。

2次試験で製作した作品

 前述したように、製作テーマや素材は自由でした。しかし、2次試験はポートフォリオの本人確認的な役割も強いので、基本的にはポートフォリオに載せた作品と同じ方向性のものを作ることが望ましいといえます。

 ぼくは、2次試験では作品の制作プロセスに着眼した映像作品を作りました。抽象絵画のクラスを受験していますが、使うメディアはなんでも良く、何なら作品でなくても、スケッチや作品制作のプランでも構わないとのことでした。

タイトルの「Über meine Essgewohnheiten nachdenken」は「自分の食生活を反省する」という意味です。以下は説明。

この作品の前提として、芸術とは、人々の営みの痕跡そのものではないかという考えがあります。例えば、フランスのラスコー遺跡の壁画を描いた人は「芸術作品を作ろう!」という意志はあったでしょうか。
あの壁画を「芸術」として昇華させたのは、後世に生まれた批評家などです。だからわたしは芸術は作るものではなくて、見つけるものだと考えています。
今回の作品では、自分の食生活を表すレシートを、美術のコンテクストを意味するキャンバスで捉えることで、芸術を見つけようと試みました。

 補足すると、この作品の着想はハイ・レッド・センターなどで知られる中西夏之の作品「洗濯バサミは攪拌行動を主張する」(1963年)という作品にあります。彼は1960年代の美術運動・フルクサスに影響を受けた作家の一人で、この作品では、キャンバスに洗濯バサミを大量に貼り付けることで芸術と日常生活の境界を取り払い、その2つを攪拌することに作品のねらいを置いていました。詳しい話はここでは割愛します。

さいごに

 コロナが始まった頃、Twitterには「#文化芸術は生きるために必要だ」というハッシュタグがリベラルな思想(なのかもよくわからない)人たちの狭い空間で蔓延し、この事実そのものが日本におけるアート観を体現しているとぼくは感じました。
 というのも、わざわざそういったサムいスローガンを用いることで「文化芸術」が何なのかわかった気にさせないといけないと思ってしまっている人がそこにはたくさんいるということであり、彼らの指す「文化芸術」というのはそもそもかなり狭義的なニュアンスに過ぎないのだなと痛感したからです。
 「芸術は何か」という問いはほんとうに難しいけれど、とりわけ現代美術が「よくわからないむずかしそうなヤツ」と言われるように、日本においてそれは概念としてではなく、要素として受容されることでその地位を築いています。だから、ぼくはその現状に正面から向き合っていかなければならないと考えています。

 ぼくはウィーン美術アカデミーにおいて、至高の美術教育を受けられるとは全く思っていないし、大して期待もしていません。けれども、そこは明らかに日本から遠く離れた地であり、日本とは何かが違うわけです。
 人が自分の顔を自分で見ることができないように、日本という国と向き合おとした時、日本にいては輪郭をみることすらままならない。今回の留学は、この興味に対して俯瞰を与える機会だと思っているし、帰国した暁にはこの俯瞰を生かして何かしらの活動をしていきたいと思っています。

 この記事が、美術を志す他の学生の助けになりますように。
 この記事を読んでドイツ語圏美大などについて興味や質問があったらぜひInstagramTwitterのDMから、ご遠慮なく連絡ください。また、以下のリンクからも質問・ご意見を受け付けています。

https://docs.google.com/forms/d/1figvoZgLA6TZm-h7ElXLvR_LWf4Kxo7o92rwF2P3X74/edit

宣伝

 ぼくは9月13日に日本を出国するのですが、8月6日(土)〜8月12日(金)に、東京・上野櫻木のGallery Kazaneにおいて個展を開催いたします。昨年3月に芸高を卒業してから、現在に至るまでの期間に制作した作品を中心に展示を行いますので、この機会にぜひご高覧いただけると幸いです。
(また、ウィーン美術アカデミー2次試験合格作品も展示予定です(笑))

よろしくお願いいたします。


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