【ヒストリック】ミシック上位ランカーが解説「ボロス・エネルギー」【2024/9/3】
1.初めに
今月の予選ウィークエンド、およびそれに連なるプレイインはヒストリックで行われます。
そこで簡単に調べてみたわけですが、ヒストリックの情報は本当に少ない!
というわけで今からでもプレイインに興味ある方向けにデッキ解説記事を書こうと思った次第です。
私にとってもヒストリックの大会は初めての経験になるので、大会向けのメタ予想などはできませんが、ランク戦において実際に250位以内を争った経験上、上位ランクでどのような強敵と戦ったかを報告することはできます。
執筆時点でウィザーズからの通知が来ていないので250位以内を断言はできませんが、9月1日午前0時にランクを確認した時点では170位を記録していたのでそれなりにあてにしていただいて構わないと思います。
本文の後半では私が実際に8月ランクシーズンを戦い抜いたデッキのリストを解説していきますので、今からでもプレイイン突破でウィークエンド参戦を狙っている方にとって価値ある記事になるのではないかと思います。
8月のランク戦を戦う間にも環境の変化を感じました。
このデッキは現状でも非常に強力なデッキですが、環境に合わせ最適化することでさらに強くなる可能性があります。
この記事は、プレイインに向けて今からヒストリックに参入する皆さんの足掛かりとして、私の8月シーズン中に蓄積した知識と経験を共有するものであります。
すみませんが謎の用語はネットで調べながら読んでください。
全部詳細に解説するとテキスト量がすごいことになってしまいます。
さて、本題に入りましょう。
今回私が選択したデッキは「ボロス・エネルギー」です。
選択した理由をお話しします。
簡単なことです。
私は7月のランク戦シーズンも「ボロス・エネルギー」で250位通過を達成したからです。
ここで詳しい方なら一つ疑問があることと思います。
「ボロス・エネルギー」には”ナーフ”が入ったはず。
そうです。
ナーフそのものの説明は下記リンクの公式ページを確認していただくとして、とにかく3枚のカードに8月6日付でナーフが入りました。
(https://mtg-jp.com/reading/publicity/0038059/)リンク先公式サイト
この知らせを聞いた私は「ボロス・エネルギー」は”終わった”のではないかと思いました。
最序盤のブン回りパターンと、最高クラスのコストパフォーマンスを持つ除去呪文を失ったためです。
8月の中頃、ウィークエンドに敗れた私はそこへ導いてくれたデッキもナーフされ、どうしたものかと思っていました。
そこへ飛び込む「9月ウィークエンドはヒストリック」の報。
真っ先に思ったのは、『ボロス・エネルギーがどれくらい終わったのか試してみよう』というものでした。
ヒストリックの強デッキは他にも心当たりがあります。
ボロスがどれだけ弱くなったか確認して、有力そうなデッキに移ろう。
そのくらいの感覚でボロスを手に取ったのです。
結果。
全然終わってない!
ボロスは依然変わりなく、ヒストリック最強格デッキの一つとして君臨していました!
詳細は後の項目でお話ししますが、ボロス・エネルギーは依然いくつもの勝ちパターンを擁しており、ナーフによって幾分かの弱体化は余儀なくされたもののいまだにヒストリック環境で屈指の強デッキであることに変わりはありませんでした。
繰り返します。
ボロスは全然終わっていません!
とはいえ、ナーフによって多少の戦略の見直しは余儀なくされたため、私はデッキ構成を調整し、ナーフ後の戦略に則した構成に組み替えました。
その後は、サイドボードの構成を一度見直しただけで「アルケミー・ブルームバロウ」の発売を経ても環境に劇的な変化は見られず、私はミシック250位をほぼストレートで突破しました。
その勝率はなんと81%!
私のデッキリストとプレイレポートは、プレイインの通過を目指すプレイヤーにとっても充分価値のあるものであると私は考えています。
ヒストリックはまだまだ研究の余地が、広大に広がっている環境だと私は考えます。
長い時間をかけてカードプールを把握し、研究し、実践を積み重ねれば、新たな戦術も見つかるかもしれません。
しかし、プレイインはもう目前です。
「今」! 強いデッキを入手し、すぐさま練習をはじめ、プレイインまでに十分な実戦経験を得るために!
私の記事を参考にして、今すぐプレイインへのスタートダッシュをしてみてはいかがでしょうか!
2.ランク戦の「環境」
私がランク戦を戦った限り、現在ヒストリックは特定のデッキが「一強」という状況ではなく、様々なデッキに可能性があるように思われます。
現状は全体的にはフェア気味な戦いが多い印象を受けましたが、基本的には粘り強いリソース力と瞬殺必至の攻撃力を併せ持つデッキ同士がぶつかった結果、一枚一枚のカードのやり取りの積み重ねによるフェアな戦いに「結果的になる」印象が強いです。
またヒストリックにおけるコントロールデッキの防御力は半端ではなく、いずれにせよ攻撃力だけでなく、中長期戦になっても戦えるスタミナも兼ね備えたデッキが望まれると思います。
また、8月シーズンではあまり当たりませんでしたが、3ターンキルのコンボデッキなども存在し、サイドボードでしっかり対策していないと手も足も出ないまま負けるということも起こり得ます。
雑多なデッキ相手でも意外なカードで苦戦したり足元をすくわれることがあったため、サイドボードは特定のデッキを強烈に狙ったものよりは、幅広く使えるカードを大まかに見繕った構成になりました。
幸いメインボードの地力が極めて高いため、「相手を少しもたつかせれば勝てる」というケースもままあり、メタカードで相手を完全に封殺しなければならないことは少なかったように思います。
ではランク戦環境のざっくりした印象を語ったところで、頻出デッキベスト5を簡単に紹介したいと思います。
いずれも劣らぬ強敵でした。
この項目では各デッキの概観について述べ、本文の後半では私のデッキリストも踏まえ、いかなるサイドボーディングを行ったかを軸に、実際ゲーム中私がどのようなポイントに目を付け戦ったかを述べていきます。
なお、私は対戦相手のデッキの正確なリストを所持していないため、本文ではあくまで私が実際に対戦して当たった「感想」といかにしてそれらのデッキと戦ったかの「レポート」を著すにとどめさせていただきます。
なお、以下のランキングは「ランク戦で対戦した回数」のランキングであり、デッキの強さのランキングではないことにご注意ください。
計測したマッチは全てBO3のものです。
1位:緑単信心(8/63)
8月のランクシーズンで最も対戦回数の多かったデッキは緑単信心及び白をタッチした派生デッキです。
1ターン目のマナ加速から2ターン目に《荒野無頼団の先駆者》か《ビヒモスを招く者、キオーラ》を展開し、以後はパワー4以上を持つクリーチャーを連打して圧倒的な攻撃力と持続力でこちらをねじ伏せに来ます。
フェアに戦っても充分強力なデッキですが《ニクスの祭殿、ニクソス》と《ビヒモスを招く者、キオーラ》の2枚が揃ってしまうと、デッキがコンボめいた動きを見せ始め、最終的には1ターンのうちに数十点のダメージが飛んで一気に敗北してしまうケースもあります。
フェアに戦っても攻撃力・持久力ともに高く、アンフェアな動きもできる、極めて強力なデッキです。
2位:エルドラージ(7/63)
このデッキは恐らく現在研究途上のアーキタイプであり、実際対戦記録を見直してみてもあるプレイヤーは赤を軸にしていたり、あるプレイヤーは青を軸にしていたり、小~中型エルドラージを採用していたりいなかったりと、まだデッキの最適解が見いだされていないように思われます。
ただ、それらのデッキに共通して採用されているのが、重量級のエルドラージ、《ウギンの迷宮》、さらにはそれらのほとんどのデッキで《精霊龍、ウギン》の使用が確認されています。
とにかく相手のフィニッシャー級が召喚され始めると逆転することは極めて困難になるため、速やかにゲームを決める必要があります。
このデッキはサイドボードから《虚空の杯》を出してくる可能性が高いデッキです。
これは《ウギンの迷宮》によって先行1ターン目にこちらの1マナ呪文を全て封殺することが可能になっており、1マナ呪文を大量に採用しているボロス・エネルギーにとっては非常に危険なカードになります。
同率3位:ボロス・エネルギー(5/63)
ボロス・エネルギーには大別して二つの型があります。
一つは《夢の巣のルールス》を相棒とする型。
もう一つは《湧き出る源、ジェガンサ》を相棒とする型です。
後述しますが、私が使用しているのはジェガンサ型です。
両者に共通しているのは「モダンホライゾン3」で追加された強力な「エネルギー」関連カードを大量に採用していることです。
エネルギーカードはその多くがコストパフォーマンスに優れ、軽いマナコストで強い盤面を構築し、軽いマナコストで相手の大きなアクションをいなすことができます。
ナーフによって3種類の1マナ呪文が弱体化してしまったため、前シーズンほど圧倒的な強さではなくなりましたが依然強力なデッキに変わりありません。
そして、ルールス型、ジェガンサ型、どちらも共通で使用できる圧倒的フィニッシャーが《ナカティルの最下層民、アジャニ》です。
《ゴブリンの砲撃》と組み合わせることで、着地即変身され、驚異的なボードコントロール力とフィニッシュ力を発揮します。
基本的にフェアデッキですが、攻撃力、防御力、持久力のすべてが高水準な非常に強力なデッキです。
ランク戦を戦っていた時の印象としてはルールス型の方を使用している人が多い印象でしたが、私個人の考えとしては、より軽いカードの重要度が高いルールス型はナーフによるダメージがジェガンサ型より大きく、少し厳しくなった印象があります。
同率3位:マルドゥサクリファイス(エネルギー)(5/63)
死亡誘発のクリーチャーを多数擁し、生け贄を要求するカードから強い恩恵を受けるデッキです。
基本的に《夢の巣のルールス》を相棒とするデッキであり《ゴブリンの砲撃》と《ナカティルの最下層民、アジャニ》のコンビネーションが搭載されています。
ボロス・エネルギーと近い骨格を持つデッキですが、ボロス・エネルギーがビートダウン寄りだったのに対し、マルドゥサクリファイスはよりボードコントロールに重きを置いている印象を受けました。
デッキ自体に攻撃力の高いカードはあまり含まれていませんが、対処をし損なうとアジャニを何度も蘇生されるため、実際にはかなり強いプレッシャーを持つデッキです。
ルールスはもちろんですが《黄泉帰る悪夢》もかなり注意が必要なカードで、何らかの対策をとっていなければ、相手の切り札級のカードを何度対処しても蘇生されてしまう、まさに悪夢のような事態に陥りかねません。
ビートダウンで有利をとって油断していると《初子さらい》からの生け贄で突然戦況をひっくり返されることがあるので用心深く戦う必要があります
5位:ジェスカイコントロール(4/63)
エネルギーカードを大量に採用したコントロールデッキです。
特筆すべきカードは《空の怒り》でクリーチャーのみならずエンチャントや、アーティファクトまでも同時破壊することができます。
普通に使ってもそれなりに強力なカードですが《語りの調律》などを使用してしっかりエネルギーを貯めていれば驚異の2マナ全体除去として機能するため、高速アグロの攻撃を防ぐこともでき、やっかいな置物やそれらを使った変なコンボも許さない驚異的ユーティリティカードとなっています。
また、除去兼フィニッシャーである《火の怒りのタイタン、フレージ》の存在によって息の切れた対戦相手に速やかに止めを刺す攻撃力も同時に併せ持っています。
また《ドミナリアの英雄、テフェリー》も依然よく見かけるカードで、短期決戦を仕掛けてきた相手には《空の怒り》を打ち込み、長期戦になれば《火の怒りのタイタン、フレージ》や《ドミナリアの英雄、テフェリー》のようなカードが着地する、一筋縄ではいかない強力なデッキです。
以上、ランク戦で対戦回数の多かった5つのデッキを紹介いたしました。
これら頻出ベスト5のデッキは私がデータを取った63マッチ中29マッチを占めています。
実際、プレイインでどの程度のプレイヤーが環境デッキを察知し選択してくるかは私の経験ではわからないのですが、ランク戦で観測されたこれらのデッキは注意を払うに値するデッキなのではないかと思います。
本文が基本的に私の感想ベースである点は申し訳ないのですが、何となく現状のヒストリック環境を把握する「とっかかり」にはなったのではないかなと思います。
次の項目では私が実際に使用したデッキのリストと各カードの解説を行っていきたいと思います。
3.デッキリストと解説
・デッキ概要
1ターン目から積極的にクリーチャーを展開し、基本としてはクリーチャーによるビートダウンで早期の決着を目指すデッキです。
しかし、実際には対戦相手も一筋縄ではいかないデッキばかりなので《ナカティルの最下層民、アジャニ》を変身させて相手の心を決定的にへし折ることが戦いの焦点になることが多くなっています。
相棒を《夢の巣のルールス》ではなく《湧き出す源、ジェガンサ》にすることで圧倒的パワーカードである《鏡割りの寓話》と《火の怒りのタイタン、フレージ》を採用することが可能になっています。
これによりゲームが長引いた際も、対戦相手により継続的に強いプレッシャーをかけることができます。
エネルギー関連の高コストパフォーマンスな除去を搭載していることに加え、フレージも採用されているため除去札も意外と多くボードコントロール力に長けます。
対策されやすいため私のリストではエネルギーへの依存度は意図的に下げています。
・各カード解説
・メインボード
《1マナのクリーチャー》(10/60)
《魂の導き手》(4/10)
このデッキの最大のエネルギー供給源であり、基本となるクリーチャーです。
単体ではただの1/1/2に過ぎませんが、このカードの存在によって後続の呪文たちの価値が大きく上がります。
特に《オセロットの群れ》とのコンビネーションは抜群であり、たとえ攻撃できない状況下でも、後続のクリーチャーがすべてオセロットを増やすトリガーとなり、増えたオセロットがライフとエネルギーをもたらし、その獲得したエネルギーでオセロットに飛行を与え今度は自身の絆魂でさらにトークンを増やしどんどん盤面を有利にしていくことができます。
導き手+オセロットのコンビネーションが完成していると《静牢》や《電気放出》が1マナの確定除去のように使うことができるようになりさらにデッキが強力になります。
デッキ全体の力を底上げするカードであるため文句なしの4枚採用です。
《エスパーの歩哨》(4/10)
1/1/1という貧相なサイズ感ですが、このカードの価値はそこではありません。
対戦相手の「クリーチャーでない呪文」に追加のマナ支払いを求める能力を持っています。
これを先攻1ターン目に召喚すると、相手は後攻1ターン目にすぐさまこいつを除去しても相手にすれば1:2交換を取られる形になります。
当然相手としてはカードを引かれる続けるのは言語道断なわけですが、そうは言っても追加マナは歩哨のパワー分なので「1マナくらい払って無視すればいいのでは?」と思った方もおられるかもしれません。
もし歩哨に気を使って「クリーチャーでない呪文」に追加マナを払い続けていたとしたら?
これはもうほとんど「1マナの《スレイベンの守護者、サリア》」です。
確かに常にそううまく機能するわけではありませんが、前項で紹介した5つのデッキも「クリーチャーでない」強力な呪文は複数採用されており、能力発動の機会はそれなりにあります。
何より、歩哨を放置したことで、その後に続くマスト除去クリーチャーたちの対処に逐一追加マナを要求されるのは、相手にしてみればかなりイヤな状況なので、1ターン目に1:2で手を打たれる場面がそれなりにあるというわけです。
ナーフ前はオセロットがいた枠でしたが、繰り上げで次点だったエスパーの歩哨を採用、強かったためそのまま使っているという状況です。
「自分の戦術を強化するから強い」わけではありませんが「相手からしたら無視するわけにいかない」カードであるため4枚採用しています。
《魂の管理人》(2/10)
《オセロットの群れ》がナーフで2マナになってしまったことで、「先んじてオセロットを場に出し攻撃(絆魂)で自身の能力を発動するプランはかなり難しいものとなりました。
そのため自力で増えることが難しくなったオセロットを支えるために《魂の導き手》に並ぶ5枚目以降の相方として《魂の管理人》を採用しました。
単独でのカードパワーは到底高いとは言えませんが、相手のクリーチャーにも反応するためライフの回復力だけで言えば《魂の管理人》を上回っており、ダメージを伴う土地を多数採用しているこのデッキにおいてはライフ回復は価値の高い効果となっています。
とはいえやはり単独では盤面に与えるインパクトはほとんどなく《エスパーの歩哨》のようなアドバンテージ獲得もできないため2枚の採用にとどめています。
《1マナのクリーチャー》総括
以上1マナ圏のクリーチャーでした。
このデッキは2マナ以降のクリーチャーがそのパフォーマンスを最大限に発揮する下地として1マナ圏のクリーチャーが採用されています。
マッチと初手にもよりますが、基本的には1ターン目に上記いずれかのクリーチャーを戦場に出せることが初手のキープの基準となる重要なクリーチャーたちです。
これらは単独では大した力を持ちませんが、放置することで後に続くクリーチャーが劇的に強くなったり、より対処が困難になったりします。
なので対戦相手は貴重な除去呪文を、大した攻撃力を持たない彼らに「仕方なく撃つ」ことになります。
1ターン目から相手にプレッシャーを与えるにはパワー2のクリーチャーを採用するより彼らの方が良いと考えました。
60枚中10枚もあれば一枚くらい初手に来てくれるはずです。
来なければマリガンすればよいだけです。
《2マナのクリーチャー》(10/60)
《ナカティルの最下層民、アジャニ》(4/10)
このデッキの中で最も「ゲームに決着をつける」場面が多い、最重要クリーチャーです。
大振りなフレージと違い、素でも単体除去で処理しきれない2マナ3/3という取り回しの良さもさることながら《ゴブリンの砲撃》とのコンビネーションは凄まじく、戦場に出てすぐ《ゴブリンの砲撃》でトークンを生け贄ることで即座にプレインズウォーカーに変身でき、その上《ゴブリンの砲撃》が赤のパーマネントであるためトークン生成能力ですぐさまダメージを飛ばせるという凶悪ぶり。
特にミラーマッチではどちらがアジャニをより有利に着地させられるかで戦いが決まる場面が多く、非常に重要なクリーチャーです。
ランク戦ではこいつが変身した時点で即投了するプレイヤーもいます。
また、アジャニがいることで相手が《オセロットの群れ》をうかつにブロックできなくなり、昇殿していればアジャニで出たトークンも追加で増えるなど強いカード同士のシナジーも持ち合わせています。
《オセロットの群れ》(3/10)
ナーフによって1マナから2マナになり、以前のような理不尽な動きはできなくなりましたが、依然強力なカードです。
全体除去を多用するようなコントロールデッキを相手にするときなどは、オセロットだけを出してアタックし続けるだけで、相手は嫌でもオセロット1枚のために全体除去を撃たざるを得なくなります。
また、前の項目でも述べた通り《魂の導き手》(及び《魂の管理人》)との相性は抜群です。
アジャニと組むことで相手に嫌な二択を迫ることもでき《ゴブリンの砲撃》の弾としても適しています。
極めつけは《鏡割りの寓話》です。
もし寓話の第2面と昇殿したオセロットが組み合わさってしまうと寓話によって生み出された「トークンを生み出す能力を持ったオセロット・トークンが増える」というとんでもない状況が発生してしまい、数えきれないほどのトークンが盤面を埋め尽くすことになります。
そうしょっちゅうあることではありませんが、このデッキの必殺のパターンの一つとして頭に入れておいた方がいいでしょう。
説明した通り、強力なカードですが、その強さの多くは「他のカードとのシナジー」によるところが大きく、単独では2/1/1は相手にブロッカーが出るとすぐ止まってしまい強く使えない場面も多いため3枚の採用としています。
《色めき立つ猛竜》(3/10)
状況や運にもよりますが2マナで3~4マナ相当の働きをしてくれるコストパフォーマンスの高いクリーチャーです。
《魂の導き手》が先に戦場に出ていることで、獲得するエネルギーが3となり、デッキ内の何のカードがめくれても唱えることができるようになります。
アジャニの第2面のダメージ効果の条件を満たす赤のパーマネントでもあります。
遭遇率の高いマルドゥサクリファイスやミラーマッチなどでは《陽光浄化者》は高確率でサイドインされ、それでいて相手自身もエネルギー依存度が高いため、こちらからは《色めき立つ猛竜》をすべてサイドアウトしてこちら側も《陽光浄化者》に入れ替えるパターンが多くなります。
場合によってはエネルギーの供給源として使用するパターンもあります。
運が絡むもののおおよそ高コストパフォーマンスなクリーチャーとみなせますが、サイドボードで全抜してエネルギー依存度を下げられるように3枚の採用にしています。
《2マナのクリーチャー》総括
以上2マナ圏のクリーチャーでした。
オセロット、アジャニはそれぞれゲームを決定する必殺のパターンを持ち、猛竜はシンプルなパワーカードかつ、それら2体をデッキ内から探し出し召喚できる可能性を持っています。
特にアジャニは単独での性能も高いうえに、《ゴブリンの砲撃》を筆頭とした赤のパーマネントと合わせて使うことで必殺のカードになる(トークンを出すので《魂の導き手》及び《魂の管理人》との相性も良い)という、戦況を決定づける最重要カードとなっています。
まぎれもなくこのデッキの主役であるカード達で、初手のキープは彼らを強く使える手が来ているかどうかが重要なポイントになります。
《3マナのクリーチャー》(5/60)
《鏡割りの寓話》(4/5)
本来はエンチャントですが、このデッキでは便宜上「クリーチャー」としてカウントしています。
単体除去で対処すると1:2交換を強いられます。
手札を2枚ルーティングできるため2枚目の《ゴブリンの砲撃》や、引きすぎた土地を有効牌に変えられる可能性を持ちます。
捨てた手札は《火の怒りのタイタン、フレージ》の脱出コストになり、フレージ自身も手札から墓地へ送ることができます。
第2面は《魂の導き手》《魂の管理人》《色めき立つ猛竜》のような、自身が戦場に出たとき、あるいはなにがしかのクリーチャーが戦場に出たときの誘発能力と好相性です。
オセロットトークンが増えると手が付けられません。
アジャニが連れてきたトークンをコピーするとそのターンの終了ステップにコピートークンが死んでアジャニが変身します。
寓話は赤のパーマネントです。
要するにデッキのほとんどのカードと好相性です。
これを採用できることがルールス型との大きな違いであり、私がジェガンサ型を使う理由の一つです。
単体、コンボ、いずれも申し分なく、マナカーブ的にも無理はないため4枚採用。
《砕骨の巨人》(1/5)
シナジーは存在しませんが、柔軟で使い勝手のいいカードです。
出来事面は多くの1マナクリーチャーや《荒野無頼団の先駆者》、対戦相手のアジャニやオセロットを除去でき、最悪でも相手本体に投げつけることも可能なため、汎用性の高い効果と言えます。
本体のサイズ3/4/3はクロック、盤面へのインパクトともにまあまあと、なかなか優等生なカードです。
しかしこのデッキは「勝てているからそのまま使っている」デッキであり、環境を正確に予測し構築されたものではないのが現状なので、この辺りはよりクリティカルなカードが他にあるのではないかとも思っています。
マナカーブをスムーズにするための1枚採用。
《3マナのクリーチャー》総括
実質《鏡割りの寓話》枠です。
しかしこのカードの存在によって不要牌をアジャニやフレージといった必殺のカードに入れ替えたり、下準備することができ、自身もクリーチャーとしてある程度の圧力を持っているため、これを採用できることがルールス型との大きな差別点となります。
また、砕骨の巨人もプレッシャーのあるクリーチャーでありながら2マナの除去呪文としての役割を持っており、フレージと合わせて多数の強力なクリーチャーを擁しながら同時に除去呪文も潤沢に採用された構成を作り出しています。
このデッキの主役は1~2マナなので3マナ以上のカードは必ずしも初手に持っている必要はありません。
フレージは次に説明しますが4マナクリーチャーとしてカウントしています。
《4マナ域のクリーチャー》(3/60)
《火の怒りのタイタン、フレージ》(3/3)
私は手札から唱えるフレージを3マナの火力呪文とみなしており、「クリーチャーとしてのフレージ」はあくまで4マナだとしてデッキに組み込んでいます。
デッキとしては一応ここがマナカーブの終端とみなして構築しています。
「除去しながら回復しながら4/6/6」なのでもう何が強いとか説明する必要はないでしょう。
《灼熱大峡谷》や《虹色の眺望》、《鏡割りの寓話》などで意識的に墓地のカードを増やすことで4ターン目以降、疲弊した相手にいつでも叩きつけられる準備をしましょう。
相手が速やかに除去できなければ勝利は目前です。
極めて強力ですが、かなり重いカードになるため3枚の採用。
《4マナのクリーチャー》総括
フレージは長引いてしまったゲームに素早く幕を引くためのカードであり、これもまたルールス型との大きな差別点の一つです。
寓話と、フレージ、この2枚の超パワーカードを使えることから私はルールス型よりジェガンサ型を採用しています。
フレージは基本的に大振りかつ脱出コストも含めて多数のカード枚数が必要となるため、マリガンで初期手札が少なくなる際は召喚が難しくなるため、デッキに返すことが多くなります。
フレージは極めて強力なフィニッシャーですが、警戒されやすいカードでありサイドボードから墓地対策を行ってくるデッキは多いため、過信は禁物です。
【相棒】最後の番人《湧き出る源、ジェガンサ》
手札に加えるのに3マナもかかり、その性能はこのデッキの場合、実質5/5/5バニラ。
到底強いカードとはいいがたいですね。
しかし!
《魂の導き手》《オセロットの群れ》《ナカティルの最下層民、アジャニ》《鏡割りの寓話》《火の怒りのタイタン、フレージ》数々のパワーカードとの戦いに持てるリソースのありったけをつぎ込んだ対戦相手にとってはこの「ただの5/5バニラ」が、もう倒せないというケースは割とあるのです。
そしてパワー5というクロックは決して小さくありません。
ちなみに最後の番人と言いましたが、「結果的に最後になる」ことが多かっただけで、別に普通に途中で出すこともあります。
《除去呪文》(9/60)
《静牢》(3/9)
1マナで土地以外何でも追放できるスーパーエンチャントです。
ただし維持コストに毎ターンエネルギーが必要なため《魂の導き手》が居なければやや不安があるカードです。
対象がトークンとか、一時的にどかすだけでいい場面もあるので単体でも結構強力ではあります。
スーパーエンチャントですが同時に2枚以上の維持は厳しいため3枚の採用です。
《電気放出》(2/9)
ナーフされた呪文。
単体では本体に飛ばせない1マナ2点火力と貧相ですが、エネルギーの蓄えがあれば1マナで大抵のクリーチャーを倒すことができ強力です。(プレインズウォーカーもある程度は何とかなる)
1マナ2点の除去でも《エルフの神秘家》や相手の《魂の導き手》を同じ1マナで処理する最低限の仕事があるので使えないこともありません。
サイドアウトすることが多いため、抜きやすい2枚採用に。
《スレイベンの魔除け》(2/9)
クリーチャーが並びやすいこのデッキなら確定除去に近い運用が可能です。
また、環境には危険なエンチャントも多く、そして言うまでもなく危険な墓地利用も多いため、メインボードから様々なデッキににらみを利かせられる優秀な呪文です。
広く浅くカバーするカードで優秀ですが、やや重く、防御的であるため採用枚数は2枚に抑えました。
《ゴブリンの砲撃》(3/9)
カード1枚と2マナを消費するぐらいならその分、他のパワーカードを使った方が良い、弱い、と、最初は思っていましたが、使ってみてすぐにその考えは誤りだったと考えを改めました。
既に語りましたが、特筆すべきは《ナカティルの最下層民、アジャニ》とのコンビネーション。
また《オセロットの群れ》も「弾」を供給してくれて好相性です。
クリーチャーを横並べするのが基本のこのデッキでは、単純に自軍のクリーチャーを投げつけるだけでもバカにならないダメージになるため、1/1が5体攻撃して、その後全部投げて計10点ダメージなどということも珍しくありません。(「実はリーサルだった!」という場面が結構あります)
また、フレージを投げるとき「フルコントロールモード」をオンにしておくと、フレージのETB3点にスタックしてフレージ生け贄で計4点飛ばせるようになるので、除去の面でもリーサル計算の面でも覚えておくとよいでしょう。
デッキの火力とボードコントロール力を高める重要なカードですが2枚目以降は何の役にも立たないため、3枚の採用としています。
《除去呪文》総括
このデッキは上記に加え、フレージや《砕骨の巨人》なども採用されているため、クリーチャーに対する対処は(ゲーム序盤であれば)さほど困ることはありません。
が、「クリーチャー以外のパーマネント」は手を出しづらく、かつ危険なものが多くなります。
そんな時に万能除去として活躍するのが《静牢》になります。
後に《静牢》の維持コストになることを見越してエネルギーを使わず温存したり、一度《静牢》で除去したもののもはや捕えておく必要なしとしてエネルギーを別のリソースに回したり、戦況の見通しとプレイングが試されるカードでもあり、その勘所はぜひ実際にデッキを回して確かめていただきたいところです。
除去にまとめましたが《ゴブリンの砲撃》は除去呪文というより、アジャニやオセロットとのコンボの片割れといった印象の強いカードです。
《ゴブリンの砲撃》でどのクリーチャーを交換するのかこれもまた勘所は自分で触って確かめていただきたいところです。
《土地》(22/60)
《皇国の地、永岩城》(1/22)
このデッキにおいて土地は基本的に必要枚数以上は引きたくないものです。
使う場面はしょっちゅうあるわけではありませんが、時折除去呪文のように使える永岩城はバリュー(価値)あるランドとして1枚採用しています。
1枚ならおおよそノーリスクです。
《反逆のるつぼ、霜剣山》(1/22)
永岩城とおおよそ同じ採用理由です。
《ゴブリンの砲撃》や《魂の導き手》と相性がいいため永岩城よりは魂力する機会が多いです。
《バグベアの居住地》(1/22)
ゲームが長引いた際の最後の一押しや、全体除去多めのコントロールデッキに対して刺さるカードとして1枚採用。
このカードとジェガンサのために土地を5マナまで伸ばすことがあります。
《感動的な眺望所》(4/22)
最序盤にノーリスクのアンタップイン2色土地は、このデッキのコンセプトに最も合致しており、重要なマナ基盤です。
文句なしの4枚採用。
《聖なる鋳造所》(4/22)
最序盤もアンタップイン可能で、フレージや、ダブルアクションのために中盤以降アンタップインしてほしい時も頼れる重要かつ強力なマナ基盤です。
文句なしの4枚採用。
《灼陽大峡谷》(4/22)
ダメージは痛いものの序盤はアンタップインで強固なマナ基盤になり、後半はドローに変えてバリューも生み出せる優秀な土地です。
フレージの脱出コストにするために生け贄にするケースもよくあります。
バリューになる土地は貴重なので4枚採用。
《虹色の眺望》(3/22)
デッキ内の土地は少ない方が大抵嬉しい+フレージの脱出コストになる+1ターン目のアンタップインが安定するため採用。
デッキに基本土地を入れるスペースがあまりないのでこのカードも3枚に。
《平地》(2/22)
あまり入れたくないのですが、《虹色の眺望》を安定して使いたい+たまに《廃墟の地》を食らうことがあるので2枚採用。
《山》(1/22)
平地と同じ理由で採用されています。
平地が2枚なのはこのデッキの1ターン目の動きがほとんど白の呪文のためです。
《戦場の火事場》(1/22)
絶対に色事故したくないという強固な意志のもと必要な気がして1枚入れました。
勘です。
《土地》総括
3ターン目までアンタップインの色マナが、赤白ともに実質18枚以上と非常に強固な色マナ基盤で、ゲーム最序盤の動きをスムーズにし、かつ、フレージの脱出コストのシンボルが合わないという事態をほぼ回避できます。
代償としてライフを要求する土地を大量に採用していますが《魂の導き手》と《魂の管理人》のライフ回復能力がライフ損失をカバーしてくれる構成になっています。
また、土地がマナ以外の価値を持つ「バリューランド」を7枚採用しており、土地の引きすぎによる手詰まりをある程度緩和できる構成になっています。
4マナをマナカーブの終端と想定している+必要以上の土地は引きたくないことから総枚数は22枚となっております。
この総枚数は厳密な計算に基づくものではなく勘です。
・サイドボードプラン
この項目では個別のカードについて論じるのではなく、想定されるアーキタイプ(本稿では先に紹介した頻出デッキベスト5を参照)に対してプラン全体のざっくりした解説をしていきたいと思います。
以下の画像はサイドボードの一覧になります。
対「緑単信心」
まず相手の最序盤の信心を可能な限り確実に妨害したいところです。
そのため《ポータブル・ホール》は最低でも2枚投入します。
入れ替えの候補となるのは速度感に欠ける《スレイベンの魔除け》、《楽園の拡散》と《ロナスの狂信者》に手が出ない《電気放出》あたりになるケースが多くなります。
クリーチャーはほぼ入れ替えがありませんが、とにかく相手を上回る圧倒的な「数」で対抗するために《色めき立つ猛竜》を一枚《オセロットの群れ》に変えることもありました。
また、《ビヒモスを招く者、キオーラ》と《大いなる創造者、カーン》はいずれも非常に危険なプレインズウォーカーです。
特にカーンは出てくる頃にはもはやクリーチャーによる対処は不可能な状況がほとんどです。
唱えられた瞬間(あるいは事前に)、封殺できるように《攪乱のフルート》を2枚投入します。
この際、1,2ターン目の攻防に寄与しない《ゴブリンの砲撃》一枚に加え、スロットが足りない場合、さらにエネルギーコストの支払いの問題から実質中盤以降の出番になりやすい《静牢》を一枚サイドアウトするケースが多いです。
T1:森、拡散 T2:森、拡散、狂信者 と出されると相手は3ターン目にはニクソスがなくても《荒野無頼団の先駆者》と《収穫祭の襲撃》を一度に唱えることができる態勢が整います。
心配性ではありません、実際にされたのです。
対「エルドラージ」
エルドラージはまだリストが固まっていないアーキタイプであり、明快なサイドボードプランを提供できません。
エルドラージはサイドボードから《虚空の杯》を投入して《ウギンの迷宮》から先行1ターン目に唱えてこちらの1マナ呪文を完全に封殺するプランを持っています。
極めて強力なプランであり、現状のサイドボードではこのプランに対する明確な対処策を持っていません。
しかし、メインボードは多くの場合、速度感の問題でこちらが圧倒しており、G3は先行1ターン目に1マナクリーチャーを1枚すぐさま召喚してしまい、他に唱えられなくなってしまった分は《鏡割りの寓話》捨ててしまうこともできます。
また、私のデッキのフィニッシャーは基本的に2マナ以上なので、1マナ呪文が壊滅しても頑張れば勝てるケースも充分あります。
杯で打ち消された呪文は当然墓地へ行くのでフレージの脱出コストにはなることを覚えておきましょう。
現状、エルドラージにてこずることはあっても結局勝ち越していたので、データを見直すまで大きな脅威とはみなしていませんでした。
実際エルドラージはデータを詳細に見直してみて初めて数が多いことに気づいたくらいまだリストが固まっていないデッキです。
しかし、《虚空の杯》はそれらの多くで採用され、確実に脅威となるカードです。
これに関してはプレイイン当日までに皆さんの手でデッキを改良していただければと思います。
2マナで、アーティファクトを破壊できる呪文、インスタントを重視して《削剥》か汎用性を重視して《引き裂き》あたりも考えられるかもしれません。
対「ボロス・エネルギー」
相手はほぼ間違いなく《陽光浄化者》をサイドインしてきます。
こちらは《色めき立つ猛竜》を3枚すべて《陽光浄化者》に代え、《静牢》を3枚とも《ポータブル・ホール》に、《電気放出》は2枚とも《石術の連射》に代えます。
これで相手の《陽光浄化者》はほとんどただの2/1/4バニラです。
相手がルールス型なら《ポータブル・ホール》はほぼ《静牢》と変わらない除去範囲となりますし維持コストもかかりません。
《電気放出》で落としたいカードも大抵白なのでむしろ《石術の連射》は《電気放出》より強く感じることすらよくあります。
今まで戦った限り相手はサイドボード後も依然エネルギー依存のカードを複数使ってきていたので、こちらの陽光浄化者は刺さりました。
さて、ルールス型でもジェガンサ型でも非常に重要なのが《エレヒの石》です。
このカードはアジャニの変身を防ぐと同時に墓地対策(ルールス、あるいはフレージに対する対策)の役割を担う重要なカードです。
ミラーマッチが多かったナーフ前は2枚搭載していました。
これは相手のエネルギー依存度が高ければカードパワーが相対的に低い《魂の管理人》1枚、エネルギー依存度が低ければ《陽光浄化者》を2枚にして1枚空いたスペースにエレヒを入れるケースがほとんどでした。
マルドゥサクリファイスも増えてきた今、サイドボードを見直し、再びエレヒの枚数を増やす必要があるかもしれません。
対「マルドゥサクリファイス」
比較的最近出現したデッキで、勝ち越してはいるもののこのデッキで対策していたアーキタイプ外のデッキでした。
まず何においても《エレヒの石》をサイドインすべきです。
相手は死亡誘発や、トークンを伴うクリーチャー、さらにはインスタントで生け贄にして行うアクションを多数搭載しています。
単純な単体除去は相対的に効果が薄く《陽光浄化者》で無力化されてしまうので真っ先に抜けるのは《電気放出》になるかと思います。
あるいは《初子さらい》警戒でこちらのフレージ依存度を下げるためにフレージを抜いてもいいかもしれません。
基本的にルールスを相棒にしているため《ポータブル・ホール》がほぼ万能除去となります。
相手も《陽光浄化者》をサイドインしてくるので《静牢》への依存度も下げた方がいいかもしれません。
もしフレージが全部抜けるならマナカーブの終端は3マナになるため、《虹色の眺望》を一枚抜くことも選択肢になります。
相手はボロス・エネルギーに似た基本骨格を持ち、エネルギー依存度の高いデッキが多いため、先のデッキと同様の策でサイドからこちらのエネルギー依存を下げ、《色めき立つ猛竜》と《陽光浄化者》をサイドボードで入れ替える策が通用します。
マルドゥは特に《黄泉帰る悪夢》が本当に危険なカードなので、エネルギー、エンチャント、墓地、いずれかのアプローチで対策を持っておくことは重要だと思われます。
対「ジェスカイコントロール」
何をフィニッシャーにしているかはそのプレイヤーによりますが、ほぼ間違いなく言えること、それは《空の粉砕》を採用している、ということです。
恐らく4枚。
つまり?
エネルギー依存度が高いのです。
基本的に除去呪文がめくれてもおいしくない場面が多く、パーマネントを並べても《空の怒り》でまとめて吹き飛ばされるため《色めき立つ猛竜》3枚サイドアウトからの《陽光浄化者》3枚サイドイン。
ジェスカイコントロールは私が知る限りでは最もエネルギー依存度が高いデッキなので、このマッチに関しては《陽光浄化者》3枚フル投入は迷う必要はないように思われます。
あとは相手のフィニッシャーが例えば《ドミナリアの英雄、テフェリー》なら《電気放出》を抜いて《石術の連射》や《攪乱のフルート》、フレージなら同じく《電気放出》を抜いて《外科的摘出》をサイドイン、といった具合に相手の出方に合わせてカードを入れ替えましょう。
また、こうしたデッキ相手には《ゴブリンの砲撃》はアジャニ、オセロットとのコンボ専用カードになることも多いため1枚抜いてフリースロットにするパターンもあります。
番外:数を減らしてはいるが……
青緑、あるいは緑黒を基調とした《変容する森林》のデッキは非常に危険です。
《攪乱のフルート》が最も止めたいカードはこの《変容する森林》であり、0マナで妨害できる《外科的摘出》をサイドに採用している最大の理由でもあります。
また《原初の祈り》から《シガルダ教の福音者》が延々湧いてくるデッキも非常に危険です。
極めて強力な信心デッキをも擁する緑を見かけたら要警戒です。
番外2:「サイドチェンジしない」という選択
私のデッキはメインボードを触らない状態が最も攻撃力が高い構成となっています。
守るカードはできればあまり入れたくないのです。
サイドボードにあるカードは、本当に危険だから仕方なく防御するためのカードが多くを占めています。
サイドボードにクリティカルに感じるカードがないなら無理にサイドチェンジしない方が強いことは時々あります。
4.ざっくりプレイガイド
・マリガン基準
まず最初に初手の土地枚数について簡単にお話しします。
「ちょうど良い枚数」は3枚くらい(内一枚が不要になったらドローにできる《灼陽大峡谷》だと非常に良い)なのですが、デッキの呪文自体は半数以上が2マナ以下なので2枚でもよほどスクリューしない限りはだいたい問題になりません。
このデッキにはドローに変えられる土地が4枚入っており、それ以外のバリューランドも3枚、加えて手札を入れ替えてくれる《鏡割りの寓話》も4枚搭載されているので、内容にもよりますが土地が4枚と多い場合でもそれ以外の手が強ければ十分キープの可能性があります。(5枚はさすがに迷わずマリガンだと思います)
しかし、土地が1枚のケースは非常に危険です。
このデッキは《虹色の眺望》で土地圧縮も図っており、基本的には「なるべく土地を引かないように」設計されています。
例外がないわけではありませんが「土地さえ引ければ!」というのはかなり部の悪い賭けとなります。
手札を調整してくれる《鏡割りの寓話》も3マナですので総合的に言ってこのデッキはマナスクリューに弱い構成なのです。
2マナあればデッキの大半の呪文は唱えらるようになるので「初手に土地2枚」は意識しておいた方がいいでしょう。
さて、ではこのデッキはどのような初手が来るとよいのかについて考えます。
大雑把に言えば「土地3枚」「1マナ域のクリーチャー」「2マナ域のクリーチャー」「1~3マナ域のクリーチャー」「除去1枚」のような形だとかなり強い手札だといえるでしょう。
ただ、このデッキは様々なカードの「特定の強いシナジー」が揃うことで真価を発揮するため、各カードの組み合わせが重要です。
例えば《オセロットの群れ》は《魂の導き手》か《魂の管理人》と組み合わさることで初めて最大のパワーを発揮するカードなので、最初に述べた形になっていても「土地3枚、エスパーの歩哨、オセロットの群れ、鏡割りの寓話、電気放出」のような手札だと弱いとまでは言いませんが圧倒的な強さとはいきません。
特に《魂の管理人》は事実上オセロットとのコンボ専用のカードであるため、オセロットの無い初手の1マナ域が管理人のみの場合、他のカードがかなり強い組み合わせでないとマリガンのケースが多くなります。
《エスパーの歩哨》などは他のカードとの直接のシナジーはほとんどありませんが、1ターン目に出すことができれば相手に1:2交換か、2ターン目のアクションをつぶすことを強いることができるため、レンジの短いゲームではおおよそ強いカードと言えます。
しかしこれもまた、ほぼクリーチャーしか使わない相手と分かっていれば弱いカードと判定されるため、相手のデッキが分かっているG2以降マリガンの判断基準が変わりうるカードです。
とにかく大事なことは「1~3ターン目にかけて強いカードをスムーズにプレイできる」ことと「強いカード同士をシナジーさせる」ことです。
(オセロットが手札にいない時の《魂の管理人》は弱い可能性が高いですが、オセロットが手札にいるときは管理人は間違いなく強い1マナクリーチャーです)
状況やマッチアップごとに初手の価値は変化するため、何度も実戦を積んで、(相手のデッキとの相性も含めた)強い組み合わせを体で覚えることが重要です。
とにかく1~3ターン目の強い展開を作ることが最も重要であるため、(《ゴブリンの砲撃》からアジャニの展開が確定している初手なら1マナ域が手に無くても採用することがあるなど)例外はありますが、特に最初の1~2ターンの展開の強さはこだわってマリガンすべきであり、ダブルマリガンくらいまでは積極的に行っていきます。デッキが完全に機能すれば(相手の動きの良さにもよりますが)トリプルマリガンでも勝てる場合があります。
あらゆるシナジーや勘所についてこの場で解説するのはあまりに膨大だと感じたので、AI君にランダムに作成してもらった7枚の初手3パターンを見て、私がいかに考えるか、実際に見てみようと思います。想定はG1、先攻、対戦相手のデッキは不明です。
・パターン1
土地が5枚ありますが、一枚はドローに変えられ、さらに《鏡割りの寓話》で手札を捨てられるため意外とマナフラッドにならないかもしれません。
また、墓地に落ちる土地が3枚と寓話のルーティングでフレージの脱出も現実的です。
しかし、かなり都合のいいドローをしない限り始動は3ターン目であり、先攻であることから1ターン目が空白になることは確定しています。
序盤の攻防で優位を取りたいこのデッキにとって2ターン具体的なアクションを取れない可能性が高い状態は到底許容できないため、迷わずマリガンすべきです。
補足:これが2マリガンだったら!
悩ましいところです。
3マリガンも十分視野に入ります。
キープした場合は《虹色の眺望》1枚と《聖なる鋳造所》を返します。
・パターン2
ファストランド2枚に、初手《魂の導き手》スタート、2ターン目は相手がまずいパーマネントを出したら2枚目の導き手+《静牢》、特に脅威がなければ猛竜、エネルギー供給は充実しているので《静牢》の運用には安心感があり、ゲームが長引いた際にはフレージが控えています。
かなり強力な初手だと思います、キープで良いでしょう。
補足:これが2マリガンだったら!
最序盤の攻防に寄与しないフレージをまず返します。
もう一枚は私なら2枚目の《魂の導き手》を返します。
相手に後手1ターン目即導き手除去されると結構なリスクなのですが、最悪、猛竜をエネルギー供給として使うことも視野に入れて、除去は一枚握っておきたいところであります。
妨害を受けなればかなり強いハンドです。
・パターン3
都合よく展開すれば極めて強力な手札です。
導き手→猛竜、導き手→オセロット、アジャニ+砲撃、オセロット+砲撃、(アジャニ+オセロットもややシナジー)このデッキの必殺のコンボが詰まったような手札です。
しかし!
この手は手放しにキープできません。
土地が1枚しかないためです!
確かに、都合よく土地を引ければとてつもなく強い手札です。
しかし!
次のターン2枚目の土地が引ける確率は約37%!
引けない確率の方が圧倒的に高いのです。
さらには2ターン連続で土地を引けない可能性も40%近くあります。
私は通常こういった手札はキープしません。
土地が詰まればほぼイコール負けであり、そして詰まる可能性の方が高いからです。
しかし、G3、後攻、相手が妨害札の乏しいデッキと分かっている、「バランスがいい手札」ではなく「ブン回り」が要求されている、などといった条件が積み重なっている場合、例外的にこういう初手をキープすることがあります。
補足:これが2マリガンだったら!
先攻だと若干悩ましいところですが、後攻ならキープします。
3マリガンともなるとどちらにせよ都合の良い引きをしなければ勝つことは難しくなります。
せめて「ブン回り」の材料がそろっているこの手は勝負をかける価値はあります。
返すカードは唱えるめどの立たない《鏡割りの寓話》と相対的にシナジーの少ない《色めき立つ猛竜》です。
・細かなプレイングについて
これまでの各章で様々な個別の状況ごとにプレイの指針を説明してきました。
ここでは本文中で語りつくせなかったプレイングについて補完的な部分をいくつか語っていきます。
・土地の優先順
状況次第なので絶対はありませんが、まずタップインを極力避けるのが前提です。
そのうえで可能な限り《虹色の眺望》を真っ先にプレイします。
デッキ内には基本土地は3枚しかなく、これを先に引ききってしまうと《虹色の眺望》はほぼ何の価値もないカードになります。
また、積極的に墓地に送ることでフレージの脱出を円滑にする役目もあります。
逆に極力最後までセットしたくないのが《皇国の地、永岩城》と《反逆のるつぼ、霜剣山》の2枚です。
デッキのカードは可能な限り盤面にインパクトを与えるものであってほしいため、上記の2枚は可能なら魂力で使用したいのです。
とはいえ、「土地である」ことが第一の役割であるため、魂力にこだわって必要なときにセットしないのは本末転倒であります。
このデッキではジェガンサと《バグベアの居住地》の2枚以外は全て4マナで完全に機能するカードで構成されているため、必要がなければ《鏡割りの寓話》での交換材料として温存するためセットしないというプレイを私はよくします。
《灼陽大峡谷》も同様の考えでアジャニのようなキーカードを引ける可能性の方を重視して積極的にドローに変えるプレイが多いです。
ただし、必要な土地を生け贄にして手札をまともに使えないという状態に陥らないように注意しましょう。
・エネルギーの使い道
このデッキでエネルギーが重要になる場面は主に二つで、《魂の導き手》の能力を使う時か、《静牢》の維持コストを払う時です。
こちらが盤面優勢の時、対戦相手に《陽光浄化者》が入っている可能性が濃厚なときなどは、エネルギーを素早く盤面のさらなる強化に使ってしまいたいため、導き手の効果は積極的に使用していきます。
この際、選択肢があるなら基本的には自陣で最も存在価値の低いクリーチャーにバフをかけます。
こうすることで相手はどうでもいいクリーチャーまで除去しなければいけなくなってしまい、単体除去では脅威を排除しきるのが難しくなります。
他にも、《押しのけ》で導き手を除去されなくするように強化したり、オセロットに飛行を持たせ自力でアタックを通せるようにしたり、《エスパーの歩哨》のパワーを3にして確実にドローできる状況にしたり選択肢は多数あります。
さて、もう一方《静牢》ですが、こいつが出ているということはだいたいはどうしても困るパーマネントを追放している場面が多いでしょう。
基本的にエネルギーは余計なことに使わず温存すべきなのですが、本当に困ったとき、追加でもう一枚の《静牢》で適当な対象を取って(この時追放するカードがトークンだと帰ってこずお得)、次のターン2枚目の維持コストを払わず、本命の方に回したり、《色めき立つ猛竜》であえてめくった呪文を唱えず、エネルギーを確保するといったプレイもあり得ます。
また、状況によっては「もう開放してもいい」(例えば緑の信心がもはや「9」でも「10」同じ)という場合もあるので練習して最適なプレイを身に付けていきましょう。
導き手→猛竜の流れでプレイすると、エネルギーが3になり、デッキ内の何の呪文がめくれても唱えられるため、2ターン目《鏡割りの寓話》など非常に強力な動きができる場合があります。
・ありがちなプレイミスについて
1.《ゴブリンの砲撃》が置いてあるのに、相手の除去呪文をそのまま通してしまう。→戦場に敵のクリーチャーがいなくても、しっかり敵本体にクリーチャーを投げつけましょう。また、フレージの自壊時はフルコントロールモードをオンにしていないと投げられないので注意してください。
2.相手の攻撃を止められないのにアジャニを変身させてしまう。→場をしっかり確認しましょう。ぱっと見止まっているように見えて相手ターンにエネルギーを4つ出されて《魂の導き手》が飛んできたりします。
3.《鏡割りの寓話》で相手ターンにアジャニを変身させたかったのに「エンド前に」トークンをコピーしてしまいトークンが死なない。→寓話のトークンが死亡するのは終了ステップ「開始時」なのでそのあとにトークンを作ってしまうとトークンは次の「自分の」終了ステップ開始時に死ぬので相手ターン中にアジャニが変身できません。相手の第2メインフェイズにチェックを入れ、メインフェイズを終了される前にトークンをコピーしましょう。
4.リーサル見逃し。→アジャニ第2面の効果と《ゴブリンの砲撃》などが組み合わさると想像以上にダメージが出ます。さらに《オセロットの群れ》なども絡んでくると計算が複雑になります。最も効率の良いダメージを意識し、盤面を飛び越して止めを刺せる可能性を常に意識し続ける必要があります。練習するしかありません。
5.相手に《エレヒの石》を出されているのにアジャニを変身させようとしてしまう。→エレヒがあると「死亡」が「追放」になります。アジャニは変身してくれないので気を付けましょう。
6.相手に《陽光浄化者》を出されているのに《静牢》で《陽光浄化者》以外を指定してしまう。→そのターン中は追放できるので完全な無意味ではありませんが大抵ミスなので気を付けましょう。エネルギー関連カードはいずれも同じく注意が必要です。
7.オートタップがジェガンサにマナを支払わせる。→オートタップは土地からのダメージを避けようとします。ジェガンサが戦場にいるときはオートタップ任せにすると攻撃させようと思っていたジェガンサをタップされてしまう場合がかなりあるので手動でマナを出しましょう。
・最も大事なこと
あきらめないことです。
精神的な問題ではありません。
あなたが使っているデッキは極めて強力なデッキです。
ぱっと見ダメそうに見える盤面でもとりあえず一旦、一つずつ現状でベストな手を実際に尽くしてみて下さい。
気づいていなかったけど、実はリーサルだった。
やってみたら勝てた。
こんなこと珍しくありません。
慣れてない人は「負け確だ」と思ったら、その時点から「もう1ターン」真剣にプレイしてみて下さい。
本当に無理なことは実際多いですが、その中に、あなたが見逃している勝利が存在している可能性が実際に少なからずあるのです。
プレイミスしても投了しないでください。
相手に先にアジャニを変身させられても投了しないでください。
緑単信心が10体のファッティを並べても投了しないでください。
逆転できる試合があるのです。
勝てば予選突破、負ければ敗退、この状況であなたは投了ボタンを押しますか?
5.最後に
ここまで私が8月のランクシーズンを戦い、実際に250位以内を争ったデッキを紹介、解説してきました。
戦績も良好ですし、現状、メインボードの出来は悪くないのではないかと思います。
しかし実際、8月のシーズンを終えて、データを集計し、こうして記事を書いてみると、サイドボードはまだかなり改良の余地があると感じます。
このデッキは約3週間前に作ったものです。
そして、その時点で想定していたメタはナーフ前、「7月のランクシーズン」のデータを参考に作られたものなのです。
なぜ8月中デッキリストの更新を行わなかったか?
もちろん勝てていたからです。
さらに言えば、度々リストを変更しては「そのリストが本当に強いのか」「まぐれ勝ちなのか」を判断できなかったため、まぐれでないことの証明のために一定数以上の試合を同じリストでこなす必要があったのです。
そして8月シーズンのデータを一つのパッケージとして分析し、9月に入ってから調整を行う予定だったのです。
その8月シーズンの私の実戦データを皆さんにも共有することがこの記事の趣旨だったわけです。
考えてみてください。
今回皆さんにご紹介したデッキは「このままで既に勝率81%を記録している」のです。
にもかかわらず、このデッキは「まだ強くなる余地が残されている」のです。
プレイインまでまだ時間は残されています。
この記事を最後まで読んでくださったあなたは、ぜひ実際にこのデッキを組んで、調整を行い、より環境を的確にとらえた、この記事に書かれたものより強い「ボロス・エナジー」を作り上げてください。
私自身もこれから「予選ウィークエンド」に向けてさらに洗練されたデッキリストを作り上げていくつもりです。
繰り返しになりますが、ぜひあなたの手で最強の「ボロス・エナジー」を完成させてください。
以上で本稿を終了します。
ここまで読んでいただきありがとうございました!
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