生ける伝説、ワタリガラスを追う旅へ(1)
ぶんしょう舎に現在参加し、月一でエッセイ記事を添削・コンサルしてもらっている。
そのコンサルをして下さっている中村洋太さんと、11月に初めてコンサルをしていただいた時に、以前からnoteでちらほらと書いたことのあるアラスカの写真家・星野道夫さんの話になり、思わずこんなことを口にした。
「ワタリガラスについて調べていきたいんです」
星野道夫さんが亡くなる直前に求めていたこと。
神代の人間が持っていた視点から、人の歴史を見ていく行為。それをやってみたいと、大胆にもそう望む自分がいたのだ。
コンサルとはかなり離れたことだったけれど、自身のバックボーンを問われたときに、これを答えずにはいられなかった。
星野さんの本にあったアラスカのイヌイットに伝わる伝承では、ワタリガラスとは創世の神であるという。
トリックスター(悪戯好き)な一面を持ち、様々ないたずらの末に世界に太陽を、月を、星を空に解放し、生き物に魂を与え、つまらない世界を飛び回っていて人間という面白い生き物を二枚貝の中から見つけるなどの活躍をしたと言われている。
しかし、ワタリガラスとは不思議な鳥で、アラスカだけではなく世界各所で伝説となっている。
たとえば、アイヌでは「老大なワタリガラス」として敬われている。
また、アイルランドに伝わる英雄譚の中では、激しい気性を持ちながらも魅力的な戦女神の化身として描かれている。
もしも日本神話に詳しい人がいたら、八咫烏という言葉をご存知かもしれない。
「八咫(ヤタ)」とは「とても大きい」の意味であるようで、とても大きい烏=ワタリガラスが、初代天皇である神武天皇を導いた神の鳥と言われているのだ。
ちなみにアイスランドにもワタリガラスの伝承がある。北欧神話、ノアの箱舟など、主要な神話にはすべて登場し、ブータン王国では国鳥でもある。
生物的には体長60㎝。
知能は人間の4歳児に相当し、言葉すら使い分けているという研究結果もある。北海道にも飛来すると言われる渡り鳥であり、Youtubeで聞いた独特な鳴き声は、烏の声とは思えないほどに美しい。
ワタリガラスにはこういう強烈な魅力がある。
それに魅了された人々がいて、今この瞬間にも研究のため、撮影のため、探求のために野生のワタリガラスを追いかけている人々がいる。
自分もまた、そういう人間の一人になりたいと願う。
もし「人生をかけるべきこと」があるのなら、自分にとってはこれこそがそうなのだと、心の奥底にある根っこが叫んでいる。
でも、どうしていいのか右も左もわからない。
それを、コンサルとは別の趣旨だったのに、中村さんは明朗に答えてくれた。
一つは、知っているであろう人に連絡を取ること。
渡り鳥の生態に詳しい人や、アラスカそのものに詳しい方へと連絡を取る。当たり前なのに、自分では全く思いつかなかった。
第二に、現地へ行ってみる。
ただし、これは現在感染症のためまだできないだろう。
少なくとも、「人に連絡」を取ることはすぐにでもできる。
幸運なことに、いつの間にか確保していた謎の人脈によって「鳥の生態に詳しい人物」には目途がついたけれど、まだ声をかけるには早いよ、と頭の冷静な部分がセーブをかけてきた。
中村さんから頂いたヒントから、「企画書」を作るべきだ。
ちゃんとした企画書を作ったことはないので、協力してもらうために相手を説得できる根拠・長い時間の中で自分が揺らがないように、しっかりと納得できる理由をはっきりさせるために作成している。
大目的・ワタリガラスの伝承をなぜ追いたいか(理由の明記)
小目的・生態を知ること(北海道に渡ってくるのでそれを見る)
(渡り鳥・鳥類専門家に質問する)
・伝承を知ること(文献の確認)
(口伝の確認(伝承を知る人物にヒアリングする))
まだピックアップした人々に連絡を取る以前の段階だが、こうやって定期的にnoteで状況を書いていくつもりだ。
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