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バングラデシュを縦断!女の子たちからパワーをもらった。
アッサラーム・アライクム!
プラン・インターナショナル、プログラム部の内海です。
2023年の2月から3月にかけて3週間ほどバングラデシュへ出張に行ってきました。最南部のコックスバザールから最北部のロンプールまで、国縦断のハードな移動でしたが、行く先々で多くの出会いがあり、この国の人々の温かさ、そしてパワフルな向上心に触れる旅となりました。
学習意欲旺盛なロヒンギャ難民の若者たち
バングラデシュ南部コックスバザールから出張は始まりました。コックスバザール県内にある難民キャンプに住むロヒンギャの若者たちは、読み書きや計算を学んだことがないため、薬や食品のラベルが読めない、キャンプ内の掲示板・配給情報を理解できない、詐欺や搾取に遭う危険が高いなど、日々多くの不都合やリスクに直面しています。プラン・インターナショナルは、2021年から、ロヒンギャ難民の若者たちに識字教育を提供するプロジェクトを継続して実施しています。
4期目に入ったプロジェクトの現場を訪ねてみると、難民コミュニティにおいて基礎教育の重要性が驚くほど浸透していることを実感しました。プロジェクトが若者の人格形成、ジェンダー平等、コミュニティの安全と平和、ロヒンギャ難民の未来への展望にいかに作用しているか、その価値について、若者たちが紡ぐ言葉の一つひとつが胸に刺さりました。彼らは自分がどうなりたい、コミュニティをこうしたい、そのためにこのスキルが欲しい、もっと学びたい、学ばせたいと明快に語ります。エンパワーメントを成した活動の効果を目の当たりにしてとても驚きました。
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目の当たりにした女の子のエンパワーメント
プラン・インターナショナルは、自然災害が多発しているバングラデシュで、学校施設の整備や防災教育などの「予防」を通じて子どもたちの命や安全を守るのと同時に、子どもたちが災害から立ち上がる力を身につけられるようサポートしています。現在実施している「学校とコミュニティの防災」プロジェクトの対象地はインド国境沿い遠隔地に位置し、10を超える川が域内を流れています。乾季の干ばつと雨季の洪水に加え、不定期にインドのダム放水による鉄砲水が発生する通年災害多発地帯です。
プロジェクトでは学校を拠点とする防災ネットワークを核として、衛生、子どもの保護、ジェンダー平等など多岐にわたる活動を子どもや住民が主体となって実施しています。実際に視察して分かったことは、学校のトイレ修繕といったハード面の支援だけでなく、組織形成やネットワークづくりなどのソフト面の支援を強みとしていることです。
今回は、支援対象の中等学校4校のうちの2校に加え、前年度に支援の対象だった1校を訪問しました。面会した女の子たちがパワフルでアサーティブ、自信に満ち溢れていて圧倒されました。また、スキル面でも着実に効果を発現しており、パートナーNGOがプロジェクトの適切な運営を徹底している成果であると感じました。
学校食堂の開設から運営に至る、企画、資金集め、人材登用などを生徒が主導したり、生理用品の購入や配布の価格・数量をすべて帳簿に記録して、在庫と資金を適正に管理したりしています。生理用品を5タカ(約6円)で仕入れて学内では6タカ(約7円)で売り、1タカ分の利益は無償配布の資金とする試みでもあります(女の子の支払い能力に応じて有償か無償かを決めます)。
パワフルな女の子たちがとても頼もしく映りました。
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子どもの成長を見守りながら地域全体を支援するということ
南部からスタートした出張は、北部のロンプール管区にあるプラン・スポンサーシップを実施しているコミュニティへの訪問で最終日を迎えました。
まずは、プラン・インターナショナルの活動に参加している子ども(チャイルド)やその兄弟姉妹が通う乳幼児教育施設を見学。その後、歩いてコミュニティ内を移動し、日本人と手紙の交流をしている3人のチャイルドに会いに行きました。「手紙の交換が楽しい」と、はにかむ笑顔で日本から届いた手紙を大切に手にするチャイルドの姿を見ると、これがプラン・インターナショナルの活動の根幹なんだと実感します。コニュニティが持つ健やかな明るさが地域開発の威力を物語っていました。
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コックスバザールの海岸で一息
最後に、出張時の楽しみについて。ロヒンギャ難民キャンプが位置するコックスバザールは世界一長い自然の海岸線(全長100km以上)で有名です。バングラデシュ政府はビーチリゾートとしての開発を進めていますが、難民キャンプ近くの浜辺はいまだ静かで、地元の人が朝夕の散歩を楽しんだり漁をする姿がちらほら見られる程度です。1日を通してのどかな時間が流れています。
難民キャンプとコックスバザール中心部をつなぐ幹線道路の一つはちょうどこの海岸線沿いにあり、キャンプでの仕事を終えた後は、難しいことは一旦忘れて、車内から海や夕陽を楽しみながら帰路につきます。さながら1時間の海ドライブです。日没前であれば、ちょっとだけ車を止めて同僚と砂浜を歩くこともできます。ベンガル湾を眺めながら海風を楽しむ時間は、無事に1日を終えられた充実感と解放感を感じさせてくれました。
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