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3月22日、姉への電話

「あー、ダメだ。その日は眼科だから」

(えっ?)

気づかれないような一瞬の間を空けて会話は繋げた。

「うん。それは後で冷静に天秤にかけて」

土曜朝の葬儀、距離もあるけど前泊という事を知ってか知らずか、即答で”行けない”と答えた姉だった。


「あっちで行ってないんでしょ?・・・そうだろうよね」

こちらの病院に転院する前に一度、今の状態を伝え、「会いに行くかどうするかはお姉ちゃんが決める事だから」と私が伝える事は伝え行動は勿論任せていた。

姉が行かない事くらい想定の事で、最後の葬儀だって半分は”そうだろうね”も想定ではあった。


「うん、やっぱりコロナで面会やってないって…」

電話で確認したんじゃなくて、ネットで読んだ内容という事も分かる返答、それに対して突っ込むでもなく、

「そうね」

短い返事で話を本題に持っていった。

「こっちの病院でもコロナで面会は禁止になってたから、転院が済んだ事も言っても来れる訳じゃないから言わなかった。今朝連絡が入っていて今日は一日バタバタしてたから、遅くなった…。じゃあ、来ないのね」

「うん、旦那もコロナのワクチン受けたばっかりだし…、眼科は1か月前から予約してやっととったから、行けな~い」

「うん、わかった。じゃ、そういう事だから」

長っ話になる事なく、電話を切った。

電話の内容は大体掴めるから、いきなり振っても話が伝わる。主人に

「眼科があるから来れないって」

言葉はなくてあきれた反応、会話になる事なくそっと話題から離れた。


台所で用事をしながら静かに私は考えていたんだろう…自分の気持ちを。唐突に主人に話し出す。

「期待はしていなかったものの、やっぱり少しは”期待”してたんだな、私」

「・・・お姉ちゃんの事でしょ?あのさ、俺なんかより全然関係ある人なんじゃないの?眼科で来れないって…」

「うん、私もそう思ったんだけど…。顔を見たくない(見れない)とか、やっととった予約だとか。もう少しまともな言い訳をして欲しかった。こんな何にも引っ掛からない言い訳を…"(-""-)"」

素直な気持ちを伝えた。続けて


「でも。お姉ちゃんにはお姉ちゃんの、”言い分”があって、今までのGとの関係性は、私には分からない事を抱え続けて来てるんだろうな、って。私から見る事の大小じゃなくて、積もり積もったものがあるんでしょうよね」

”最後ぐらい、顔を見ても良いじゃないか”、そう思う事すら、私の勝手なんだと、静かに引いていった。

「、という事で私たち2人だね(*^^*)」

それ以上、この事について深入りする必要もなく、当日はワン達のいつもの行動も変える必要がある為、早くケージから出して、数時間でまた入れて…、という事などを考えている方が重要だった。

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その日のメモには正直な気持ちがきちんと書いてある。

どうにもならない「予定」に合わせず、

どうにもならない事でも、自分の「都合」に予定を合わせようとする。

逆だろ!

逆だろーよ?

こういう事が浮き彫りになって、「普段」に落とし込んでみる。

そうか。

自分という小さな都合に、大きな予定(世界)を合わさせようとしていた、という事か。

わかった、ありがとう。

でも、情けなくて腹が立った。


その様に書いている。

普段の人間というのは、そういう事をしているという事か、と”自分と世界”との間柄においてしばしばその様にしている、という事が明らかに見えた。


そして翌日には、

人間関係の距離、”―――”、横にしか見えていなかったものが、”I”、縦にしか映らない今、全てそういう事かと感じた。

尺度というのはあって、横に広げる時それは縦に展開させる事も可能で、また縦で見ている時、それは横たわらせる事もできる。

距離というのは、横だけで測るものじゃなく、縦でも同じく取れるもの。

「深い付き合いにはならないな」

昨日、電話を切った後に感じた思いから自分のスタンスは決まってくる。

”濃い間柄”だからこそ、私が表面に昇ることを決めている。

姉との距離が必要、と感じた。

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父との関係から、物理的に距離があっても、”氣”という見えない線、繋がりは切れず、濃く存在している事を自分に観た。

その事から考えて、姉とも距離は同じく大分空いているものの、やはり血縁という表に見えなくても濃い繋がりが存在すると考えた。

深い所での深い関係を保つのではなく、私が表面側に出る事で縦に距離を保ちたい、その様に思った。


家族だから繋がりを深くしなければいけない訳じゃない。

繋がりはあるのだから、その繫げ方を自分側で工夫する事、を、今回のあれこれから学ばせてもらったんだ、そう思っていた。

2日ほど実務的な現実に戻り、26日葬儀の当日、私は”パラレルワールド”に行った、らしい。

「うみのみかをサポートしたい」と行動させてしまう様なクリエイターです(*^^*)。私も同じように読まれた方のサポートになる事を意識しています。 自覚を保ちしっかりと進んでいきます!