私の高級品
「週に一回、”脳トレ”もあってさ…」
記憶を目的とする脳のトレーニングもあったと聞いている。
「オレは分からないから、”記憶はどっちですか?”って訊いたんだよね。そしたら左脳って言われて…。あぁ、やっぱりなと思ったんだよ。こっちが痛くて訊いたもんだから(笑)」
主人は若い頃、右脳ゲームをやって「あー、ここが痛い…」と右側の脳をトントンしていたことがある。今度はそれと逆のことを実感したらしい。
『へーすごいね。またそんな経験をしたんだ。しっかりと使っているっていう事がハッキリ分かったわけだ…』
「う、うん…、いかに普段使ってないかってことを証明しちゃった(笑)」
そうだ。確かに反面にあるのは、普段は”自分の範囲”で頭を使っていて、それ以外のところはあまり集中的に使っていないという事だ…、そう大笑いしながら会話したのだけど。
違うことの体験、自分の”外側”から、今までの自分という”内側”を見ている状態。これは主人にとってもそれを聞かせてもらえる私にとっても、大いに参考になると思って聞いていた。
使っていない所、まったく見つけられていない所が、人の中にはまだまだきっと沢山ある。
世の中というものが変わって行くという事は、いつの時代もそうある事で当たり前だと思っているのだけど。少し前にも書いたように、外で買い物などをすると、「以前とはまったく違う」という事を本当に痛感する。
あちこちのレジ精算など決済手段はすでに以前からそうであり、”あちこち”に行くと本当によく分かると思う。
これは昔触れたと思うけども、A、B、Cというそれぞれのスーパーやコンビニ。精算に取り入れている機械は同じではない為、操作方法が違う。基本的にはタッチすることで簡単な設定になっている(一応)ものの、それは同じものを使い続ける人には”習慣”でも、あちこちでやる人にとっては毎回がイレギュラーのようなもの。
それは目の前の確認、という事が先にあってからの操作という順序は、頭を使うことになりメリットを見れるのだけど、やはり同時に”分からない”ことから、決まった所にしてしまうとか、それじゃない所を選ぶとか…、自分に合わせた選択になっていくのだろうと思う。
私はどちらかと言えば年配の方を多く目にする地域に住んでいる為、そういう事に私自身が出くわすたびに、「まったく優しくない」と思ってしまう。どんな年齢層にも”馴染める人”がいるのは当然だけども、どうしても何となく…その事を引きづってしまう気持ちは今でもある。
「変わった」と感じる世界は、他のことでもあって、その時私は「こんなものも簡単に手に入らないのか?!」とちょっと驚いてしまった。
パーカー。前開きのシンプルなザフザフ洗えるパーカー。こんなものは普段着として、例えばイ○ンなどへ行けば何も考えることなく手に入るものだと思っていた。
今はおしゃれ感のあるそれより、通常の洗濯で一緒に済ませられるものというのが私には有り難く、そういうものを探していたんだけど…。9月、10月と、買いに行ったのだけどちょっと見つからず。9月に間に合わせで代わりになるものを買ったのだけど、間に合わせは間に合わせという位置づけで、自分の気持ちがどこか「好きじゃない」という思いで着るのであまり嬉しくない(笑)
私は高額のものを買うなどあまりないけども、気に入った素材や”目的”はあって、身動きのしやすさというものはワン達との生活になってからは捨てられない必須条件で、大切な優先順位になっている。
少し前まで普段のものより少しは高いものがあったのだけど、それは身体にチクチクする刺激があったり、腕まくりをするとすぐにゆるくなって袖がガバガバになってしまったりと、着心地の悪い状態を工夫して着続けてきたのだけど。
普通にシンプルなものの方がこれなら全然良い、という事で探したらこのような結果になったというもの。古いパーカーはワン達の敷物やボロにして良い物として渡している。
パーカーというものは、ネットで探せばもちろん出てくるけども、そのシンプルな前開きものより「被りもの」がきっと世の中の需要はあるのだろうと思った…、それらは色々見つかる。
綿の、その辺どこにでも売っていたあのパーカーが良いのだが・・・。
世の中の価値観、需要が変わると、それすら簡単に手に入らないのか、という思いになったものだった―――、
「ん?オレが検索すると出るよ?」
比較的容易にそれが出たと言ってスマホを見せてくる主人。
『うん、確かにこんなので良い…』
その後少し一人で考えた。
⦅おかしいな…ネットでも何度も検索の仕方を変えなくちゃ出なかったのに…単に”時期”が違うから今ならヒットするのか…⦆
そう考えた上で、訊いてみる。
『どこから入ってる?私ヤホだけど…』
「オレはグルグルだから…やっぱりこっちの方がたくさん(?)出るのかな…」
なるほど、「入り口」が違うと開かれる空間が違うんだ、と思った。扉が違えばそこにある世界は違う…、こんな形で頭の中が現実に現れるとは思わなかった。
追)
店頭で男性用品の売り場には「これ良さそう!」と思うものがあって手に取って広げたのだけど。やっぱり大きくてムリだった(笑)
大きめの、ガボッとしたものは基本的に私には論外。動きやすいことが何より私の高級品となっている。