売上を、減らそう。
"どれだけ儲かったとしても、『これ以上は売らない』『これ以上は働かない』。あらかじめ決めた業務量を、時間内でしっかりこなし、最大限の成果を挙げる。そして残りの時間を好きなように使う、ということ"2019年発刊の本書は右肩上がりではない時代の生き方や働き方を教えてくれる。
個人的には自身も様々な場づくりを経験した上で、現在は24時間営業、品揃えフルラインナップなコンビニ的店舗と真逆の【平日夜の3日間2時間】【置いているのは3商品(フリーペーパー、蜂蜜、ソフト麺)のみ】の"はっち"という本屋を運営している立場として、様々なメディアで紹介されている【営業わずか3時間半】【100食限定】【飲食店でも残業ゼロ】の京都、佰食屋がとても気になっている事から今回手にとりました。
さて、本書では【たどりついたのは終わりのない『業績至上主義』からの解放だった】と【サービスを極限まで絞りこんだお店】【ライフスタイルとしての飲食店】この2点に集約される佰食屋について。どの様にして夫婦で28歳からはじめたのか、また経営が3年目で安定した後に【そこに愛はあるんか?】と職場環境の試行錯誤を進めてきた事、労働とお金のリアル、そして大阪北部地震を始めとした【自然災害危機】を逆転の発想で100食から50食でも成り立つ経営【佰食屋二分の一といった】次なるFC展開へと繋げた事が、従業員の声を時折交えながら紹介されているわけですが。
わかりやすい文章、また著者自身が【会社員としての立場で経営者に感じていた事】を反省例として著者の店舗経営『会社は明日の責任を、みんなは今日の責任を』に繋げている事が伝わってきて、共感と共にとても勉強になりました。
また、私的にも日本経済の衰退で散々な扱いを受けていると感じている。いわゆる『耐える世代』やりがい搾取されてきたロスジェネについて。今後、【いきなり『時代遅れの世代』として切り捨てられてしまうのは、あまりに理不尽です。】と、まるで代弁してくれているかの様に佰食屋の採用に触れる中で発言してくれているのも嬉しかった。いや本当に、株価がどうとか、ベーシックインカムがどうのといった話以前に、こうした【ちゃんと従業員を大切にする経営者】増えて欲しいものです。はい。
飲食店経営者や起業家はもちろん、これからの生き方や働き方を立ち止まって考えたい。そんな方にオススメ。