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レゴはなぜ世界で愛され続けているのか

"本書にはレゴの倒産の危機と劇的な復活、それに近年のめざましい躍進が描かれている。そこにはイノベーションの取り組みを改善するうえで、参考になる事例がきっと見つかるだろう。"2014年発表の本書は、北欧を代表する玩具メーカーの創業から劇的復活の裏側を丁寧に明らかにした良書。

個人的には、まさにタイトル通りに、ショーウィンドウやお土産売場でよく見かけているものの、それを造っている会社の事や、なぜ愛されてるのか?にはまったく答えられない事から手にとりました。

さて、そんな本書はデンマーク語で"よく遊べ"を語源にしているレゴが1932年の創業以来"単発の商品ではなく【商品同士のつながり、システムを築くべき】と発明したレゴブロックシステムで順調に繁栄し続けるも、子供たちの遊びがテレビゲームやデジタル化する中で危機感を覚えて実行した【数々のイノベーションに失敗】倒産まで追い詰められてからの復活を経営学の教授が5年にわたって数多くの関係者に取材、研究した一冊なのですが。

これが実に面白い!IT企業や若い人に人気のアップル、ジョブズという中央集権的な異端児カリスマによる派手なイノベーション事例と対照的な【非中央集権的、トップに頼らない組織的イノベーション】が失敗の原因、改善結果と共にMBAのテキストの様に丁寧に(アップルと比較しながら)描かれていて。経営者個人がヒーロー然として描かれ同一化することで気持ちよくは読めるも【現実には何もフィードバック出来ないビジネス書風自己啓発本】と比較して中身が濃く、特にシンプルで簡単な技術、ローテクを主要商品とするメーカーに勤めるビジネスパーソンはぜひ手に取るべきでは?と思いました。

また、とにかく現在でも様々な日本独自の和製カタカナ語が【これで全て解決!】みたいにセミナーとかで紹介されては忘れ去られていく流れが依然としてあって、イノベーションもまさによく言葉としては呪文のように使われがちなのですが。それを具体的にどのように【各商品開発の現場で落とし込んできたか】が本書では豊富な事例と共に紹介されているので、こちらも実践的に役に立つと思いました。

レゴ好きはもちろん、老舗企業の改善取組から学びたいメーカー勤めの誰か、またMBAを学ぶ方にもオススメ。

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