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日本文学史 近代・現代篇3

"人生いかに生くべきかを谷崎に求める人はいないし、現代社会の悪の剔抉を谷崎の文学に期待する人もいない。しかし、文学に固有の悦楽を追う人がありとすれば、谷崎以上にその需めに応じてくれる作家は少ないのである"2011年発刊の本書は日本文学への深い愛情と考察が感じられる日本文学史、近代・現代篇シリーズ3冊目。

個人的には主宰している近代日本文学読書会の文脈理解、参考資料として、このシリーズをとても重宝させていただいています。

さて、そんな本書ではプロレタリア文学から芥川龍之介、永井荷風、谷崎潤一郎までを豊富な文献からの引用や代表作の要約紹介などで解説してくれているのですが。ときに手厳しく評価しながらも、そこには【敬意を込めた客観的視点が感じられて】やたらと作家を神聖視し、無批判でもちあげている本よりは、やはり(シリーズ全体に言えますが)本質的な理解が深まります。

また、個人的には本書では、現在でも読書会で作品が人気の芥川龍之介、谷崎潤一郎についての解説が収録されているのが、主宰者として参加者に解説(作家の生い立ち、作品が書かれた時代的な背景、同時代における評価などなど)をする立場として特にありがたかったです。

海外文学との比較で日本文学史を捉えたい人に、また読みやすくても深い作家紹介を探す人にもオススメ。

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