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2回目の個展 「FLAT # 1」

こんにちは。フォトグラファーのkimJuです。
今日は個展の話をしてみようと思います。

3月1日~13日までKoma galleryにて2回目の個展を開催しました。まだアシスタントだった2012年から今まで少しずつ撮り溜めていたフィルム写真をようやく展示することができました。

最初の個展の作品もそうだったんですが、いつか展示できたらいいなと思いながら撮り溜めていたもので気がつけば10年以上経っていました。テーマもなく、日常や旅行、仕事で訪れたとところなどで習慣的に撮っていました。沢山撮るというよりは気が向いた時や撮りたい瞬間にさっと撮ることを地味にコツコツやっていました。もちろん撮影したくてお出かけすることもあったのでその時は沢山撮ることもありましたが、それ以外では基本的に無理に撮ることはしていません。

学生の頃最初はモノクロフィルムばかり使っていて、2年生くらいの時に先生にいわれてカラーフィルムを使うことになりました。その後当時なんとなく好きだったportraを大量買いして研修旅行でフランスに旅立ちました。その旅行で私は「深く考えず撮りたい時に撮ろう」と自分自身に念じました。それまでには課題の為に撮ることがほとんどで、テーマに寄り添える写真ばかり撮っていて、そもそもなんの為に撮っているのかがわからなくなることが多かったです。それがフランス旅行がきっかけに少しずつ変わり始めたんだと思います。もちろん課題のための撮影も続けいましたが、自分の中ではその頃からの撮り方を今でも続けているんだと思っています。

「深く考えず撮りたい時に撮ろう」
これは簡単にできそうでできなかったことで、でもできてしまえば自分らしい写真が撮れる気がしてこれなら続けられると思いました。

卒業後はアシスタントになりしばらくは業務を覚えることに追われていたので自分の作品制作はできなかったですが、少しずつ慣れてきてからはカメラを持って出かけることも増えてきてまた色々撮り始めました。

今回の展示作品は全てフィルムで撮影していて全てポジフィルムの作品です。そして実はフィルムスキャンではなく「デジタイズ」という作業によって作られたものになります。簡単に説明するとフィルムをデジタイズ専用の機材にはめて、それをデジタルカメラのレンズの前に装着、そのままカメラを下に向けて撮影する。その下にはライトボックスがあるのでポジフィルムがはっきり映っていて、カメラを三脚に固定してピントを合わせ、シャッターをおせばデータになる仕組みです。

私がこの方法を選んだのは約10年分の膨大なデータのセレクトがなかなか終わらないことからでした。何度も繰り返しセレクトしていて、数十枚まで絞ってL版サイズにプリントして並べてみたり、時間が経ってから見返したりするとまた別の写真にしたくなるなど、最終データが決まるまでほぼ毎日写真を見ていました。しかしこんなにも迷ってはラボにスキャンの依頼をして展示まで間に合うかわからなくて「デジタイズ」を試してみることにしました。

デジタイズはポジフィルムに関してはそれなりに満速のいく結果でした。ネガはカメラのデジタイズ専用の項目でやってみたりネガのまま撮影してフォトショップで反転してみたりしたものの色味がうまく表現できず今回は一旦断念しました。

そしてこの撮影で使用していたポジフィルムは全て使用期限が切れていたものです。たまたま大量にいただいてテストも兼ねて撮影していたんですが、現像してみるとほぼ変色せず良い色味を保っていたのでそのまま普段の撮影に使うことになりました。

最初は学生の時に使っていたニコンのFEとF80で撮影、そのうちFEばかり使うようになったんですが、2017年に壊れてしまい部品がなく修理できなくなりました。その後やはりもっと軽くてコンパクトなものが良いなどの理由でT3の中古カメラを手に入れました。重くて機能が多いカメラは私自身にはあまり向いてないとずっと思っていたのでこのカメラに出会えて前よりももっとたくさん撮るようになりました。パッと出してサッと撮れる、その場で確認できないから撮る瞬間に集中できる、でも軽いからどこまでも連れていけるなど。その後コロナ禍になる前の最後のオーストラリア旅行もT3とiphoneだけでした。

このように撮り溜めていた写真を現像時に確認用としてデータ化もしていてたまに開いては見返していました。そして今回の展示によってまた最初から最後まで全て見返すことになり、当時の思い出も色々思い返すことになりました。自分の好きなことや撮りたいと思った瞬間ばかりを撮り納めた写真が他人になんの意味があるのかわからないと言いつつも、結局は見せないと意味があるかないかすらもわからないので展示してみる価値はあると思いました。

前回よりは在廊もできて来ていただいた方々と話す機会もたくさんありましたが、自分の作品を通じて感じる想いは人それぞれでした。写真を見えるがまま素直に受け止めてくださる方がいたり、好きなものばかり撮っていて意味があるのかわからなかったけど、こうやって同じ様に考えてる人の作品を見ることですごく良く勇気をもらったと語る方がいたり、私も日常的にまた撮りたい、カメラ欲しいです!とおっしゃる方がいたり、フラットと言ってるけど実はフラットじゃないかも?と様々な感想をいただき私はこれからも撮り続けたいと思うようになりました。

「FLAT」シリーズは撮影ももちろんですが展示もまだまだ続く予定です。ストックしているものをまたじっくり見返してセレクトして今年の8月中旬ごろ「FLAT # 2」として展示をする予定です。私の気が変わらなければたぶんこのシリーズです。笑


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⬇︎のページから展示作品を全てご覧になれます。


・FLAT (フラット、♭)
  平な、平たい、平坦な、平面的…など


昔から文章を書く、説明をするなどの何かを伝える為に表現すること、さらには描写することがとても下手でそもそも好きではなかった。それは写真を撮る時も同じで、シャッターを切る瞬間はあまり深く考えないようにしている。そのせいかじっと見ているとすごく平面的に見えてきて、自分の好きな瞬間を切り取ったものばかり沢山集まるようになった。果たしてこのように撮られたものが自分以外の人に何の意味があるだろう。自分の見ている瞬間やその時の感情などを思うがままに残して、意味があるかないかはわからないまま撮っては溜めて見返すことを繰り返してもう十年ほど経っている。長いようで短くも感じる約十年の月日、自分の中で最もフラットで愛おしいと思う瞬間がここにある。


・撮影期間:2012年から現在まで続く
・撮影場所:東京、ソウル、伊東、軽井沢、江ノ島など

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