ドンキーコングリターンズHDの感想

ドンキーコングリターンズHDについてプレイ後の感想を残して置こうと思う。

前提として筆者はスーパードンキーコングシリーズ(以下SDKシリーズ)、特に2に大きな影響を受けており、今現在でも横スクロールアクションゲームを好むようになったきっかけとなっている。
そしてwii版のリターンズはプレイ済みである。

シリーズ作品ではトロピカルフリーズが既にswitchにHD版としてほぼ同じフォーマットで移植されているが、今回遅ればせながらリターンズがswitchでプレイできるようになった。

wii版をプレイしたのは10年程前なので記憶は鮮明ではないが、wiiリモコンを振って行うローリング操作に非常に難があるもののアクション面そのものの出来は良好だった印象が残っている。

今回のHD版の到達度に関しては200%(オリジナルで全ステージクリア、パズル全回収、ミラー全ステージクリア)までプレイした。タイムアタックについては未プレイである。

まず、収集要素についての感想をまとめる。
各ステージにはSDKシリーズでもお馴染みの「KONGパネル」と、おまけ(BGMや一枚絵など)の解放に必要な「パズルピース」が収集要素として存在している。
SDKシリーズでは「KONGパネル」を集めても1upするだけだったので収集する必要性が低かったのだが、今作は隠しステージの解放に必要となっている。「KONGパネル」は隠されているというよりややアクションとして要求がある場所に配置されていることが多く、そのバランスは良好に感じた。
一方、「パズルピース」は特定のギミックを作動させたりバナナを全回収したり隠されたボーナス面にあったりと探索の側面が強く、枚数もステージ毎に5-9枚と多くなっている。
wii版をプレイした時から変わらない感想なのだが、率直にパズルの枚数が過剰である。大体の場所を教えてくれる補助アイテム(スコークスも正直プレイアブルなアニマルフレンドで欲しかった)はあるものの、コンプリートしようと思ったらステージにあるギミックを全て作動させるくらいの勢いが必要である。そのためステージをリズムよく爽快に駆け抜けたくてもパズルのために立ち止まらざるを得ず、せっかく練られたステージ構成の魅力が半減している。もちろん一旦無視してクリアしてしまうことも出来るが、到達度にも影響するのでコンプリートを目指すと何度も同じステージをプレイするのも手間である。
個人的には小さくない問題点だと思っているが、トロピカルフリーズでもパズル収集は残っていたのであまり気にならない人も多いのだろうか?
パズルピースの中にはただギミックを作動させるだけでなく、難度の高いアクションが伴ったりルート選択が必要となるものもあるので、枚数を限定すればプレイ感も違っていたかもしれない。

次にアクション面に関してだが、今作は着地時や方向転換時のモーションが大きくボタン操作を受け付けないラグが存在する。また動き出してからスピードが乗るまでやジャンプの慣性がかかるまでの時間もやや長めでありジャンプ中の方向転換も一度慣性がかかると修正が難しくなっている。
SDKシリーズがローリングも含めて極めて軽く操作に無理が効くのと比較するとかなり制御が難しくなった印象がある。
操作感としてはSDKシリーズより、むしろファミコン時代のスーパーマリオブラザーズシリーズからBダッシュを省いた(代わりにローリングがある)ような、慣性アクションに近いと感じた。
マリオの最新横スクロールアクションであるスーパーマリオワンダーがかつてのような慣性アクションではなくクセのない操作性になったのと好対照である。

またドンキーの相棒としてディディーコングがDKタルから出現するとホバーアクションが追加される。一定時間ホバーで空中動作が可能になることにより落下のリスクが軽減され多少強引にステージを突破することが出来るようになり、難易度を緩和している。
ただ利点だけではなく、今作には敵を踏む時にジャンプボタンを入力することで反動をより高くする必須のテクニックがあるのだが、ディディーがいるとホバー誤作動がミスが誘発されることが少なくない。
またホバーが万能すぎてギミックを無視できる場面も少なくないので難易度が下がり過ぎるきらいがある。
ディディーがいる前提のオリジナルモードでも十分に楽しめる水準ではあったのだが、全ステージをクリアするとミラーモード(ドンキーコングのみかつライフが1で固定の状態でプレイ)をプレイしたことで個人的な評価は変化した。

ミラーではドンキーのみかつライフ1なので強引な突破はほぼ封じられる分、ホバーによるテンポ悪化がなく爽快にステージを駆け抜けることができる。
またプレイスタイルにもよるが、前述のパズル集めは既に終わっているため探す手間も省くことが出来る。
難易度は非常に上がる(ショップアイテムで残機を増やしまくることが前提)ものの、このゲームの最大値はその環境で発揮されると感じた。
特に各エリアに1つ存在し、ステージのKONGパネルをすべて集めると解放される隠しステージやボス戦が一気に緊張感がある難易度に変化する。

今作にはオリジナルモード以外に初心者に配慮したモードが存在するが、個人的には「ドンキーのみ、ライフ2」のモードをデフォルトで搭載するのが良かったのではないかと思う。
ライフを2にすることでミラーも死に要素にならないで済むし、ディディーのホバーアクションにも楽しさがないわけではないが、ドンキーのみだとより純度の高い慣性アクションを楽しむことができると考える。
初心者に対する救済は残しつつ、ある程度アクションゲーム慣れしているプレイヤーには最初からシビアなバランスのモードを提供してほしかった(数多の娯楽が存在する現代において2周する前提は厳しい)。

総評
SDKシリーズの意志を継ぎながらも3Dの横スクロールアクションとして慣性アクションに変貌を遂げている。操作性に重さはあるがスピード感のあるギミック(トロッコやフライトを含め)も多く、また純粋な難易度は過去作以上である。
シリーズファンとしては最新ハードでドンキーコングが楽しめるだけでも満足なのだが、アクションゲームそのものの高い完成度に対して、構成はややもったいなさが残るタイトルだと改めて感じた。
(いずれにせよリターンズもトロピカルフリーズも間違いなく高い評価を得ている作品だと思うんですが、2014年から10年以上経過した今、いつか完全新作でるんでしょうか…)


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