おじさんと僕④
ちょっと涼しくなってきた
葉っぱも
緑から赤や黄色に変わり
秋が近づいてきたのかな。
今日は
おじさんの誕生日らしい
Bくんに聞いた
おじさんの誕生日を知っている
いくら自分のおじさんでも
誕生日まで
Bくんは
よほどおじさんのことが好きらしい
僕もおじさんにはお世話になっている
Bくんのことと同じくらいに思っている
Bくんがおじさんを好きなことも
なんだか嬉しく思う
B「おじさんにプレゼント贈ろうか」
A「いいね、それ」
放課後
帰り道で
Bくんの素敵なアイデアに
僕も嬉しく思った
おじさんは
作業場でいつもの貝磨き
夜までに出来るもので
ビックリさせられるものをと
いろいろ考える。
B「前に見せてくれた貝を使ってなんか作る?」
A「貝使って仕事している人に貝あげるの?」
B「お花は?」
A「男の人にお花?」
B「似顔絵描いてみようか」
A「Bくん絵苦手じゃない」
ちょっとずつ
Bくんの表情が曇っていって
口をくの字に尖らせて
B「もういいよ…」
Bくんは何も話さなくなった。
あれ?いつも楽しそうなBくん
あんなに一緒にいて楽しかったのに
急に楽しくなくなった。
Bくんが
静かにトボトボと家に帰るのを
追う事もなく
そのまま見送ってしまった
何がなんだか分からなくなって
とりあえず
僕は家に帰ることにした。
帰りながら
プレゼントはどうするんだ。
おじさん驚かせるんじゃなかったのか。
なんだかイライラさえした。
これは誰に?Bくんに?
おじ「『自分に』なんじゃないかな」
急に現れたおじさんに
Aくんは心臓バクバク。
驚いた声も出なかった。
おじ「途中までは楽しかった」
Aくんはうなずく
おじ「でも急にBが機嫌悪くなった」
Aくんはさらにうなずく
おじ「A君がどうしたら、Bはどうなった?」
A「んー。」
おじ「きっと『違う』を
言い過ぎたんじゃないかな。」
A「え?」
おじ「否定されて悲しくなったんだよ」
A「あ、、、」
急に現実を突きつけられたような
実は薄々分かっていたことを
見透かされたような
そんな悲しい気持ちになった
いつもと同じように振る舞ってたようで
ちょっとずつ曇る表情
でも、いつも通りでいたかったから
いつも通りに返してしまった。
実は毎回ショックを受けてたのかな
今までの行い全てを振り返りたくなった
Aくんがしょんぼりしていると
おじさんが頭をくしゃくしゃっとして
おじ「気付いたなら、ごめんねって
言ったらいいんだよ」
おじ「『ウサギに塩』ってね
悲しみはすぐには分からない
でも案外簡単なことで
悲しみはやってくるんだよ
気付いたり、自分が与えてしまったら
すぐに謝ればいいんだよ」
A「許してくれるかな」
おじ「悲しみに気付いてくれることも
嬉しいことなんだけどね
A君はアイデアを出してあげた方が
いいと思うな
評価や良い悪いって案外誰でも
出来るもんだよ
アイデアって難しい
だしたアイデアは作品
作品を貶されるのは誰でも悲しい
まずはアイデアを出してくれた
すごいね。気付かなかった。
それからスタートするのも
大事だと思うよ
何を決めてたのかは分からないけど
Bもモヤモヤしてるんじゃないかな」
A「うん!」
いますぐにBくんに謝りに行かなきゃ
そんな思いでAくんは駆け出した
そうだ!ウサギの絵を砂で作ろう!
絵は僕が描けば良い!
Bくんに
やっぱり絵いいね
僕描くから手伝って
って言おう
まだ許してもらってもないけど
嬉しくなってワクワクした
夕陽に照らされ走り去っていくA君を見て
おじさんは笑った。
ウサギに塩...