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ごんは「幸せ」だったのか?
先日、国語科の授業で「ごんぎつね」を行いました。
このお話の内容については割愛します。
(今年度教科書が変わりましたが、私の勤務先で使用している光村図書の挿絵が変わりました)
以前4年生を担任したときに「ごんは幸せだったか?」というのを単元の最後にやった時に、「幸せ」、「不幸せ」、「お悩み中」に判断基準をつくり、それぞれの理由を述べさせ、最終ジャッジをしたことがあります。
今回は11年ぶりに4年生を担任しました。
前回から少し変更をし、改めて実践をしてみました。
1 今回の単元計画
今回は、大まかに
〇初発の段階で「ごんは幸せだったのか?」を問います。
〇場面ごとに学習する。その度、ごん、兵十の立場になって日記を書く。
〇最後に
もう一度「ごんは幸せだったか」と問いかけます。
11年前とは違うのは、
〇初発と最終で同じ問いかけをし、考え方が変わったことを可視化させる。
〇Gogeleのスライドを使って、自分の考えを書き出し、全員で共有する。
11年前はICTなどありえなかったので、時代の変化を感じました。
2 想定外の「お悩み中」
初発の段階の意思決定場面では「不幸せ」と感じる人が多いと考えていました。
しかし、「幸せ」派が7人、「不幸せ」派が3人、「お悩み中」派が14人という結果になりました。
初発の段階では、毎回兵十にくりやまつたけを届けに行ったのに、
気づかれず、終いには火縄銃で撃たれて亡くなるという理不尽さから「不幸」派が多いかと想定していたので、これは驚きでした。
ちなみに「幸せ」派の理由は、
・うなぎを取ったお詫びにくりや松茸をこっそり渡して兵十が喜んでくれていたから。
・ごんが悪いことをしたと思って毎日くりやまつたけを持っていて来ていて神様がやったのかな神様にお礼を言ようと言っていてなんかななんて思っていてでも栗やを持ってきていたらひょうじゅうに見つかってしまい銃で撃たれてしまったがでも持ってきていたのはごんだと気づいてもらったから。(ママ)
「不幸せ」派の理由は、
・ごんがくり、まつたけをもってきたのに兵十がかんちがいしてたべものをとりにきたとおもいじゅうでごんをころしたから。
一番多数派であった「お悩み中」派は、
・兵十はごんからまつたけやくりをいっぱいあげてとても幸せそうだった
タズラをしていたけどちゃんと反省して毎日松茸やクリを渡していたのに何も知らずに殺されてしまったから。
・兵十のおっかァのうなぎを取ってしまったがお礼をしていて最後には誤解されて打たれてしまったのだが感謝されていていいことが2つ悪い事が2つあって五分五分なのでどちらとも言えない。
・悪いことをしていてお母さんがしんじゃって結局お母さんのためのうなぎななに、逃がしちゃって自分でも悪いことをしたと気づいてごんは「ごめんなさい」のかわりにくりやまつたけをあげてでもぬすんだと思われて殺された・・・(ママ)
つまり、「お悩み中」の子たちは、
ごんは反省し、兵十につぐないをし、最後に兵十に感謝された。一方で、火縄銃で撃たれてしまった悲しい結末にどちらに判断していいか決めかねたと考えます。
3 ごん、兵十それぞれの立場で日記を書く。
第2次は各場面ごとに情景などからお互いの思いを読み取る学習を進めていきます。
そして各場面の学習ごとに、ごん、兵十それぞれの立場で日記を書きました。
これは一度どちらかに決めたら最後まで同じ立場で書かせました。
(どちらも書いた児童は3名いました)
そして最後にお互いが書いた日記を読みあう活動を行いました。
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4 最終的には・・・
そして第3次。最後にもう一度「ごんは幸せだったのか?」と問いかけました。
「幸せ」派 7名 → 19名
「不幸せ」派 3名→1名
「お悩み中」派 14名→4名
となりました。
11年前はお悩み中が多かったのですが。
では、具体的な理由ですが
「お悩み中」派から「幸せ」派に変わった子にフォーカスすると、
・ごんは、いたずらをして反省してくりや、まつたけを
兵十の家に置いていたのに殺されてしまったから。
↓
・最後兵十がくりや松たけを持って行っているのはゴンっていうことにきずいてくれたから。
この児童のように、「殺された」よりも「気づいてくれた」ことにフォーカスできた児童が大半でした。
一方で、前述の「お悩み中」派だった児童の変化は、
・兵十はごんからまつたけやくりをいっぱいあげてとても幸せそうだった
タズラをしていたけどちゃんと反省して毎日松茸やクリを渡していたのに何も知らずに殺されてしまったから。
↓
兵十に殺されてしまったけどごんは反省をし栗や松茸を届けてあげていたりもしていて殺されてしまったときに兵十とごんの関係が深まった気がする。
・兵十のおっかァのうなぎを取ってしまったがお礼をしていて最後には誤解されて打たれてしまったのだが感謝されていていいことが2つ悪い事が2つあって五分五分なのでどちらとも言えない。
↓
ごんは兵十にいたずらをしたせいで不快になってしまったがお詫びをすることで気持ちが晴れていったが誤解されてうたれてしまったが最後には栗や松茸を持ってきていたのは自分なのだときずいてくれてホッとして安らかに死んだから。
どちらも一人ぼっちのごんと兵十との関係がつながったこと、安らかに死んだという言葉が出たのは児童なりの解釈が加わりました。
「不幸せ」派から「幸せ」派に変わった児童は、
ごんがくり、まつたけをもってきたのに兵十がかんちがいしてたべものをとりにきたとおもいじゅうでごんをころしたから。
↓
最後に兵十に泣いてくれたからです。(ママ)
この児童は、「殺された」から「泣いてくれた」という解釈が加わりました。
最後まで「お悩み中」だった児童は、
兵十が取ったうなぎを取ってお母さんが死んじゃったからおわびにクリとかを持っていってあげて兵十が喜んでて嬉しかったけど最後兵十に銃打たれたから
↓
ゴンは最後に銃で打たれたけどゴンは、兵十にくりや松たけをごんが持っていってることを知ってほしかったから最後に兵十が知ってくれたから
この児童にはどちらも「最後」にという言葉にこだわったため最後まで悩み続けたことが見えてきます。
このnoteを書きながら、よく見ると児童の解釈が広がっているのがわかりました。もう少し変化を読み取らせてあげれば・・と反省しています。
5 もう一つごんに向けて手紙を書く
今回「幸せ」派が圧倒的に多かったので、
もう一つ解釈の幅を見たいために、ごんへ手紙を書かせる活動をしました。
児童の一人の手紙を紹介します。
兵十のうなぎをぬすんじゃってごん様はどんな気持ちでしたか。けれどもごん様は一人ぼっちのきつねで、悲しかったし、食べるものがないからぬすんじゃったんですよね。
それともごん様は、さみしいから、兵十のうなぎをぬすんで、仲良くなりたいし、あいてというか、遊んでもらってほしいだけですよね。
あと、ごん様は、くりや松たけなどをもっていったし、ごん様は悪くないですよ。
天国へ行っても、兵十とごん様仲良くしてください。
この児童の文章には若干読み間違いがあります。
しかし、「ひとりぼっち」、「さみしい」、「仲良くなりたい」、「遊んでもらいたい」という一人ぼっちで寂しいごんの思いを読み取っています。
最後に
今回は4年生国語科「ごんぎつね」の学習で、
児童の読解力を深める手立てとして
「ごんは幸せだったのか?」という「切り口」をもって授業に取り組みました。
また各場面ごとにごん、兵十それぞれの立場で日記を書くことによって両者の思惑の「ズレ」にも気づかせました。
課題としては、こうした解釈の時間が不十分だった点にあります。
私は国語の専門ではないので、不十分な点もあるかと思います。
ご教示いただければ幸いです。