プロジェクトマネージャーの転職 その12 - 面接の心得・一般論 -
書き手Kの個人的な転職体験談を徒然に書いてきましたが、ようやく面接にこぎ着けました。
今回は私の通った転職までの4段階
モヤモヤ: 将来に不安を感じ、ただ漫然と探す
シャキッと: 自己分析をし、ターゲットを絞る
ワクワク: 応募の準備をする
ドキドキ: 応募、選考(特に面接)
のうち、第4段階の第4話です。
バックナンバー
第1段階(だた漠然と現状に不満を募らせ、やさぐれた割には頭の中がお花畑だった頃):
プロジェクトマネージャーの転職 その1 - やさぐれた中年 -
第2段階(自分の価値観などを整理しようとミッション・ステートメントを書こうとし始めた頃)
前半: プロジェクトマネージャーの転職 その2 - 自分探しの沼 -
後半: プロジェクトマネージャーの転職 その3 - ミッションステートメント -
番外: プロジェクトマネージャーの転職 その4 - ルサンチマンとの闘い -
第3段階(ポジションを探しながら履歴書などを準備した頃)
前半: プロジェクトマネージャーの転職 その5 - 異業界に挑戦したい -
中盤: プロジェクトマネージャーの転職 その6 - 自分を売り込むストーリー -
後半: プロジェクトマネージャーの転職 その7 - 履歴書(CV)を書く -
延長戦: プロジェクトマネージャーの転職 その8 - カバーレターを書く -
第4段階(刷新した書類で果たして今度はうまくいくのか、期待と不安が半々だった頃)
第1話: プロジェクトマネージャーの転職 その9 - LinkedInから応募する -
第2話: プロジェクトマネージャーの転職 その10 - 欧州転職エージェント事情 -
第3話: プロジェクトマネージャーの転職 その11 - いよいよ応募してみる -
転職への道 第4段階 ドキドキ編 第4話
前回まで書いてきたように、私は基本的にはLinkedInでポジションを探していました。以前は、そもそも何がしたいのか、ということがはっきりとしていなかったので、自動車メーカーに応募してみたり、空飛ぶタクシーを開発しているベンチャーに応募してみたりと節操がなかったのですが、今やミッションステートメントもあるわけで、それに従って自動車以外の業界でこれまでの経験が活かせそうなポジションに応募しました。
新しい武器を手に入れた効果は・・・?
これまで色々と偉そうに書類の書き方などを語ってきた訳ですが、果たして効果があったのか・・・
結論を言うと、効果はあったが飛び道具とまではいかない、といったところでした。
以前にお話しした「キャリの3要素の法則」(以前の記事)に従って応募しようとはしたのですが、結局、中々全てを満たすポジションも出てこないのと、募集要項だけでは具体的にどのような業務、プロジェクトを想定しているのか分からないことも多いので、多少間口を大きくして鉄道、航空業界の「技術系のプロジェクトマネージャー」ポジションに応募しました。その結果、鉄道業界は幾つかのポジションで書類審査を通って面接に呼ばれましたが、航空業界では面接に至ることはありませんでした。
これは、鉄道業界のポジションは、車両やシステム開発に携わるものだったのでこれまでの経験に近かった一方、航空業界は整備や機体のリニューアルに関わるものでこれまでの経験とはかなり離れていたからだと考えています。つまり、「キャリアの3要素の法則」の「業界」だけでなく「専門分野、職種」も被りが弱く、法則からは外れてしまっていたわけです。同じプロジェクトマネージャーでも航空業界は特に開発、認可のプロセスが複雑、厳格なため、業界の経験が必要とされているようです。
どんなに履歴書をしっかり書いても、「キャリアの3要素の法則」から外れると中年おじさんの転職はやはり厳しいと実感しました。
突然電話が鳴る
晴れて書類で合格となると面接の日程を決めるための連絡がくるのですが、これが大体どの会社でも電話なのです。本当にいきなりかかってきます。メールだと何往復か必要になりますが、電話だと数分で決められるからでしょうね。最近は詐欺のような電話もありますから、全く知らない番号からかかってくると戸惑いますが、ポジションに応募した後は心の準備はしておいた方が良いでしょう。
大きい会社だと大体人事部から電話がきますが、それも実際に面接をする人ではなく、面接の日程調整だけやっている人(インターンや、若手、ひょっとしたら外部委託の可能性も)の場合が多いです。だからと言ってぞんざいに受け答えして良い訳はありませんが、必要以上に緊張する必要はありません。
面接は最低でも2 - 3回
大体どこの会社でも、面接で登場する人達は以下のカテゴリーに分類できます。
所属部署のマネージャー(将来の上司): 言うまでもなくありませんが、専門知識のレベル、経験の有無、チームメンバーとマッチするかをチェックします。
所属部署の募集ポジションと同等レベルの従業員(将来の同僚): 将来の上司が面接するのは当然として、最近ではチーム面談を採用している会社も多く、将来の同僚数人と面談するケースもあります。最終的に一緒に働くのは彼等なので、「いい感じでコミュニケーションできるか」が判断されます。チェックリストがある場合もあるようですが、結構直感によるという話も聞いたことがあります。
人事部: これは説明の必要がありませんが、所属部署が専門知識のレベルを判断するのに対し、人事部は主に雇用条件(給料、勤務地)がマッチしているかと一般的なソフトスキルをチェックしていることが多いです。私は一度、何の脈絡もなく突然ダイバーシティへの考え方を聞かれたことがあります(会社の求める一般的なソフトスキルの一部なのでしょう)。
コンピテンス評価員: ちょっと意味が分からないかも知れませんが、マネージャーレベルのポジションで登場することがあります。大きい会社はマネージャーになるのに一定の研修を行うことが多いのですが、要はいきなり社外からマネージャーレベルに入社する人がその研修を受けたのと同等の実力があるのかをチェックするということです。どうやって、ということは後ほど(多分、次回か次々回ぐらいで)詳しく説明します。研修内容との比較になるので研修センターの講師が面接官になるケースが多いようです。そして、大企業の場合研修センターの講師は大抵外部の委託ですので、私の時はフリーランスの講師のような人が出てきまた。
(場合によっては)役員: 会社によっては役員面接があるようですが、私はこれまで超巨大企業しか応募してこなかったので、当然役員面接の経験はありません、、、何を見られているのでしょうね??
これらの面接官とどの順番で何回面接するかは会社によります。
あまり参考にはなりませんが、私が経験したのは、一番手の凝ったケースで 2(将来の同僚)+3(人事部) => 1(将来の上司) => 4(コンピテンス評価員) 、オーソドックスなケースで 1(将来の上司) => 1(将来の上司)+3(人事部) や 3(人事部) => 2(将来の上司)というものがありました。
ですので私が体験したのは面接2 - 3回のケースだけですが、中には面接を5回以上実施する会社があると聞いたことがありますので、最初の面接の最後に全体の流れを確認するのが良いでしょう。
面接の心得 - まずは一般論から
ここから実際に面接で何を話せば良いのかという話をしていきますが、今回は大前提もしくは一般論をお話しします。次回以降、上記の登場人物毎に注意事項を書いていくつもりです。
大前提としては、
履歴書を書いた時に考えた自分を売り込むストーリー(以前の記事)に沿った話をする
各売り込みポイントについて具体的な例(過去のエピソード)を挙げられるようにしておく
これらの話をメモを見て読むのではなく、自分の言葉で語れるよう、しっかりと頭に入れておく
つまり、履歴書も込みで売り込みストーリーに一貫性を持たせ、具体例を挙げることで話にリアリティを持たせることが重要となります。
ちょっと子供っぽいですが、面接前に一度頭の中で、こう聞かれればこう答える、とシミュレーションしておくと本番でかなり余裕が出るのは確かです。もちろん、大抵の場合シミュレーション通りの質問ではなく予想外の質問が出ますので、ある程度場数を踏んで、こんなことも聞かれるのか、と経験を積み上げておくことをお勧めします。
以上、自分の売り込み方に関する話でしたが、その他基本的なこととして、
売り込みたい気持ちは一旦抑えて、まずは相手の質問に簡潔に答える
相手が話している時に遮ったりせず、まずはしっかり話を聞く姿勢を見せる
何事もバランスが大事だと心得る
以上3点、当たり前のことではありますが挙げておきたいと思います。
どこかの会社のカリスマ社長にでもならない限り、基本的には「この人と一緒に働けるか」ということが見られています。質問に答えない、話を聞かない人と一緒に働きたいと思うでしょうか?議論や交渉に強い、濃いキャラクターを売りにしたい場合でも、相手の話を聞かないでも相手が感心してくれるような、相手を魅了してしまうようなトークができない限りは、当たり前の会話のキャッチボールができることを見せる方がよっぽど無難です。
とにかく「余裕のある対応」を心がけて下さい。焦ると、相手の質問に答えないまま自分の売り込みストーリーを強引に始めてしまったり、相手がまだ喋っているのに遮ってしまったり、どちらも印象は良くありません。売り込みたいことは山ほどあるし、時計の針はどんどん回ってしまうでしょうが、聞かれてもいない内容を無理やり詰め込むより、相手の質問に沿ってそこに絡められる話に絞った方がよっぽど好印象です。
最後のバランスの話ですが、話す時間 vs 聞いている時間、成功談 vs 失敗談、ポジティブな話 vs ネガティブな話、こういったことがどちらか一方に偏りすぎないように気をつけて下さい。とかくうまくいった話ばかりをしがちですが、絶対に問題に突き当たったことがあるはずなので、うまくいかなかった経験、それをどう乗り越えたのか、そこから何を学んだのか、そういう話もしっかり混ぜることで現実味が増し、人間臭さが共感を呼ぶことになるので、失敗(からの復活)談を引き出しに持っておくことをお勧めします。
今回は、面接までの顛末と、面接の心得の一般論についてお話ししました。
次回からは、面接官(のカテゴリー)毎に注意すべきことについて書いていこうと思います。
(書き手 K)