「大学生 死んだ魚の目問題」
2020年 7月
私は県内の国立大学に通う1年である。
ピチピチの1年生が、なぜ皆、死んだ魚のような目をしてミーティングに参加するのか。
今回はその理由を暴露したい。
大学生にとって大事ではない時期はないのだが、特に初めの年はこれからの大学生活に勢いをつけるという大きな課題を背負った時期である。
それがコロナウイルスの影響によって、実行することが大変困難な状況にあるのは紛れもない事実。
まず、同科の生徒と会わないので関係が広がらない事や、授業が遠隔になりもどかしくなる事は承知の上である。
だがしかし。
授業を授業時間の半分で切り上げて、適当な説明をする教授が存在する事、課題の量が例年の倍になる事は承知していない。要求されてもしたくない。
挙げ句の果てには連絡が取れなくなる名誉教授さえ、いる。
そんな人間には「アホコラ」と言い飛ばしてやりたいところではあるが、今回の「大学生死んだ魚の目問題」を引き起こした中心人物は授業をしない数学教授である。
この教授、名誉教授である。
彼は授業をしない代わりに、pdf形式の2ページの鬼やば激ムズ解説と1ページの地獄卍鬼畜問題をホームページにぺらっと載せ、その後6日間はお休み。
こんな薄っぺらくて大学2年でやっと習うような問題が1年の私たちに解けるわけもなく、TA(アシスタント)の大学院1年生が夜の2時まで起きて解答のヒントを制作し、それを頼りに私たちは問題を解いてゆく。
そしてなんと驚くことに私たちが支払う学費は全てTAでもなく、代理教授でもなく、TAの先輩が必死に解説を考えてくれていた時に、自室で横になっていたヨボヨボ名誉教授に入るのである。
いい時代になったものだ。
これが道理であるのならば私の子供の名前は「名誉」に決定である。
この、理不尽な講義(?)と孤独感に挟み撃ちにされることで大学生の目は死ぬのだ。
私は来週からこの世界で夏休みを迎える。