智略格闘技マンガ「喧嘩商売」「喧嘩稼業」は最高の漫画である。
「喧嘩商売」「喧嘩稼業」より面白い格闘技漫画は無い。
いつの時代も少年漫画・青年漫画の華といえば、そう喧嘩です。
ワンピースだってドラゴンボールだって、喧嘩漫画です。
あしたのジョーやサラリーマン金太郎だって喧嘩漫画なんです。
漫画の喧嘩は大きく2パターンあり、
⑴主人公がトレーニングや過酷な訓練で強いものを打ち負かす
⑵主人公が強いものと戦い、覚醒して負かす
これが王道の喧嘩シーン。
さて、本題の「喧嘩商売」「喧嘩稼業」という漫画の醍醐味は上のパターンではなく、「喧嘩」シリーズ(※「喧嘩稼業」「喧嘩稼業」)は、卑怯な主人公がルールに乗っ取りながら頭脳を使い勝負に打ち勝つ。決して王道では無い喧嘩漫画です。そう、頭脳を張り巡らせた知略喧嘩漫画なんです!
改めてあらすじを紹介すると、
「最強の格闘技とは何か?」をテーマに、
「喧嘩に強くなりたい高校生が様々な格闘家と対峙していき、
日本を代表する格闘家が集まるトーナメントに参戦する」
と、文字にすると非常にスタンダードな王道漫画に思えます。
しかし、この男子高校生はただ単純に武術やトレーニングをして喧嘩の技術を高めるだけでなく
卑怯とも取られる知略をフルに使い、相手を倒していくという話なんです。
例えば、夜に体育館に空手家を呼び寄せて、急に電灯を消して暗い状況で喧嘩を始めたり、
ポケットに入っていたピーナッツを猛毒の種だと嘘ついて相手に飲ませたり、
トーナメントで一つ前の試合でリングに仕掛けられた●●で相手を倒したりと、
スポーツマンシップなど一切無しの、基本的にはやったもん勝ち。
もちろん、知略を使うのは主人公だけでは無く、
主人公の師匠は、剣豪との真剣を使った試合で、刀をぶん投げて片腕を切ったり、
合気道の達人は、最強格のキャラが自宅に押し寄せてきたら、
「戦う前に服を着替えたい」と言って、車で逃走したり、
上述の隻腕の剣豪が、「腕から電撃出せる技がある」とハッタリかましたりと、
出てくるキャタクターのほとんどが、頭脳を張り巡らせた戦いを展開します。
格闘技漫画なのに「あ、あのシーンに意味があったんだ」という伏線も多く、
1度読むだけでなく、何度も読み返して楽しめる、最高の作品です。
また魅力はその知略戦だけではなく、
登場する格闘家・武道家のエキセントリックな設定です。
「殴られれば殴られるほど勃起するドMボクサー」
「殺人経験のある極悪元金メダリストの柔道家」
「記憶が72時間しか持たないインドネシア武術、シラットの達人」
「843戦無敗の筋肉が異常発達した横綱」などなど。
ほぼ全てのキャラクターが、
大盛りのラーメン二郎にチーズとカレー粉とキムチをトッピングして、
さらにチャーシューを増やした「これでもか!」というラーメンのように、
情報がパンパンに詰まったボリュームの、
ヤバい・強い・おかしいという強者ばかり。
しかも、それがこの漫画の中だとなぜか設定に説得力があり、
不思議と違和感を感じなく読めるのです。
もちろん、格闘技漫画として重要なバトルシーンでの、
「肉体と肉体、技と技の応酬」自体もめちゃくちゃ面白い。
「バキ」「タフ」「修羅」にハマらなかった人もぜひ一読を!
ただ、今後ハマった人に注意なのは、
この「喧嘩」シリーズ、連載スピードがかなり遅く、
「ハンター×ハンター」のように次の連載がいつになるのか
見通しがつかない作品のため、
ストーリーの続きを待てない人にはかなり辛いと思います。
ギャンブル漫画「嘘食い」や野球漫画「ワンナウツ」などが
好きな人にはオススメしたい漫画です。